自社ECの生き残り戦略を3時間で学ぶ!EBS理事長・吉村氏によるECマーケティング講座
- 2019.10.082023.01.13
競争が激しさを増すEC業界で、ネットショップが勝ち抜くためのマーケティング施策を学ぶセミナー
「~中小企業のための”漫談調だけど真面目な”マーケティング講座~ 3時間で学ぶネットショップサバイバル7つの考え方」を大阪で開催しました!
講師を務めたのは、ネットショップの運営や中小企業経営をテーマに多数の講演とコンサルティングを手掛け、一般社団法人イーコマース事業協会(エビス:EBS)の8代目理事長を務めている吉村正裕さん。
EC業界のトレンドが大きく変わり、ネットショップが淘汰の波にさらされる今、中小ネットショップが生き残るために取り組むべきことを徹底解説してくださいました。
事前予約で早々に満席になるなど、人気が高かった本セミナーのようすをレポートします!
目次
満席の約40人が参加、遠方からお越しの方も
当日の参加者は満席の約40人。
関西以外の遠方から足を運んでくださった方もいらっしゃいました。
スライド枚数578枚、マーケティングの基本を濃縮した3時間
講師として登壇した吉村さんは、ネットショップの運営や中小企業経営などをテーマに、年間約100カ所でセミナーを行っている人気講師。
ECの黎明期である1998年、家業の造り酒屋でEC事業を立ち上げて成功させた実績を持ち、その後はコンサルタントやセミナー講師としても活躍されています。
2014年からは中小企業基盤整備機構で中小企業支援アドバイザーを務めているほか、2018年4月には日本最大のEC団体である 「一般社団法人 イーコマース事業協会」の第8代理事長に就任しました。
今回のセミナーは休憩を挟みつつ、合計3時間の長丁場。
しかも、吉村さんが用意したスライドの枚数は、なんと578枚。ネットショップ運営に関するマーケティングの基本が濃縮された、とても内容の濃いセミナーでした。
これだけのボリューム感ですが、そこは“噺家(はなしか)”と評されるほど、話術に定評がある吉村さん。
軽妙なトークでマーケティングの基本を噛み砕いて解説。ときに会場の参加者に質問を投げかけたり、演習を挟んだりして参加者を飽きさせません。
- ECの事業戦略の立て方
- 市場でのポジショニング
- ターゲットの設定
- 3C分析
- マーケティングミックス(4P)
- ブランディングの取り組み方
…など、ネットショップ運営に必要なマーケティングを体系立てて解説する吉村さんの話に、参加者が引き込まれていくようすが印象的でした。
売れるネットショップに必要な「マーケティングの7つの考え方」を解説
吉村さんは、ネットショップが生き残るために必要なマーケティングの考え方として、次の7つを挙げました。
- あなたの会社の使命や価値観は何?
- どこでナンバーワンになるか?
- お客さまは誰か? (顧客価値と商品価値)
- 選ばれるには”理由”が必要
- 何をどこで、どうやって売るのか ?
- ブランディングとは、何なのか。
- 大前提が崩れたら…その時の備えは?
ECの実務家出身であるだけに、経営理念から現場レベルの施策まで、幅広いテーマを網羅。
ネットショップの運営方法をこれから勉強していく参加者はもちろんのこと、ECの経験が長い参加者も、マーケティングの基本をあらためて学べる内容になっていました。筆者もセミナーを聞きながら、自身の仕事について思考の整理が進むなど、大変ためになりました。
それでは、吉村さんによるセミナーを紹介します。
ECの倒産件数が2018年に過去最多、ネットショップが生き残るために必要なこととは?
吉村さんは、2018年にEC事業者の倒産件数が過去最高だったことなどを上げ、「ネットショップを取り巻く環境は、厳しさを増している」と指摘しました。
ー 吉村さん
「多くのネットショップにとって、Amazonが年々脅威になっていると思います。Amazonは圧倒的な品ぞろえで、商品を短時間で届け、卸値よりも安いような価格で商品を販売してしまう。その結果、国内のEC化率が上昇しているにもかかわらず、売り上げが落ち込むネットショップが増えました。
こうした時代に、中小零細ネットショップがどう生き残るか、真剣に考えなくてはいけません」
ネットショップが生き残るために必要なこととして、
吉村さんは「変えてはいけないもの、守るべきものを守ると同時に、変えるべきものは革新を積み重ねていく」と説明。
「生き残りに必要なことは、その企業『らしさ』を守ること」と強調しました。
老舗企業の経営手法にも精通している吉村さんによると、長く続く企業は商品やサービス、販売手法などを市場環境の変化に合わせて柔軟に変えている一方で、経営理念や屋号・社名は変えない傾向にあるそうです。
ー 吉村さん
「その会社『らしさ』を守り続けるために必要なのが、家訓や綱領、社是、すなわち経営理念です。会社のあり方や、商いの仕方など、その会社らしさを追求し、会社の存在意義を問い続けることが大切です」
その会社「らしさ」を追求するとは、具体的にどういうことでしょうか。
その一例として吉村さんは、「セレクトショップECは、商品をセレクトする“基準”(こだわり)について社内で共通認識を持ち、その基準を顧客に伝えること」などを挙げました。
ネットショップのビジネスモデル別の特徴・必要な条件・販売方法と現状
続いて吉村さんは、ネットショップのビジネスモデルを「単品通販型」「セレクトショップ型」「品揃え型」の3つに分類した上で、それぞれの特徴と必要な条件、販売方法、現状などを説明。
さらに、実際のネットショップの成功事例・失敗事例を挙げながら、成否を分けるポイントを解説しました。
- Type1 アイテム数が少ない → 単品通販型
- Type2 アイテム数が中くらい → セレクトショップ型
- Type3 アイテム数が多い → 品揃え型
例:「セレクトショップ型」の特徴と必要な条件、販売方法と現状。※クリックすると画像が大きくなります。
自社製品のベネフィットを整理し、ターゲットを明確化する方法
続いてのテーマは、企業が製品を通じて顧客に提供する「ベネフィット」を明確にする方法について。
講演の内容は、より実務的なものへと移ります。
吉村さんは、商品のベネフィットには「機能的ベネフィット(スペック・機能など)」と「感情的ベネフィット(商品によってもたらされる良い変化)」、さらに、商品を買ったことで得られる「コト・体験」があり、ECサイトを通じてそれらを顧客に訴求することが重要だと強調しました。
ー 吉村さん
「商品の機能的ベネフィットの先に、感情的ベネフィットがあります。さらにその先には、商品を買ったことで何かが出来るようになったり、何かを得られたりする「コト・体験」があります。機能的ベネフィット・感情的ベネフィット・コトの3つをひっくるめて、お客さんは商品を買っていると考えてください」
さらに吉村さんは、「同じ商品でも、ターゲットが変われば、見せ方も変わる」と指摘。
商売の基本は「誰に」「何を」「どう売るか」であると説明した上で、
「ターゲットを絞り、そのお客さまについて知ることが、マーケティングの一丁目一番地」と説明しました。
ターゲットを絞り込む際は、年齢や性別、居住地域といった「限定条件」だけでなく、時間とともに条件が変化する「都度条件」を考慮することも重要とのこと。
そして、「限定条件」と「都度条件」を踏まえてキャッチコピーや写真、訴求方法を変える方法について、ネットショップの具体例を挙げながら説明しました。
このほか、自社の強みを見つける方法、自社がナンバーワンになれる領域を決める方法、製品・価格・流通経路・プロモーションのマーケティングミックス(4P)の決定方法など、顧客から選ばれるために必要なマーケティング理論を解説。
また、ECサイトの離脱率を下げるための「不取り(訪問者を失望させない方法論)」や、売れるキャッチコピーを作るセオリーといった、すぐに使える実践的なノウハウも公開してくださいました。
リピーターを増やすブランディングの考え方
ネットショップのリピーターを増やす上で欠かせないことの1つが、ブランドを確立すること。
特に自社ECサイトで継続的に売り上げを伸ばすためには、指名買いの顧客を増やすことが不可欠です。
吉村さんは「ブランディング」の定義について、「企業側が顧客に伝えたいブランドアイデンティティと、顧客側が抱いているブランドイメージを一致させること」と説明。
ブランドアイデンティティを整理するための演習を行なったほか、企業側でコントロール可能なブランド要素を具体的に挙げながら、ブランディングの方法論を解説しました。
※クリックで画像が大きくなります
不確実な時代だから、危機管理も徹底する
ネットショップが生き残るために必要なテーマの7つ目は「危機管理」。
すでに発生した危機への対応に加え、危機を未然に防ぐ「リスクマネジメント」も重要だと指摘しました。
ー 吉村さん
「現代は不確実な時代。AIの進化などによって、これまで当たり前だと思っていたことが、根底から崩れることも少なくありません。危機が発生したときに狼狽しないように、備えておくことが大切です」
そして、危機管理に精通し、吉村さんが師匠と仰いだ故・佐々淳行氏の言葉を紹介しました。
- 最悪に備えよ
- 悲観的に準備し 楽観的に対処せよ
- 楽観的に準備し 悲観的に対処するのは最悪である
- 平時のときこそ、心に地獄絵図を描く そうすれば有事に狼狽することは減らせる
- 『何もなかった』のと『何もないようにした』のとは 天と地ほどの差がある
ー 吉村さん
「いざというときに、どう対処するか、平時のときにこそ整理しておくことが大切です。これを怠ると、実際に危機が発生したときに、場当たり的な対処になり狼狽します」
吉村さんは、危機管理の具体例の1つとして、事業運営が上手くいかなかった場合の対応方法を決めておくことを推奨。
例えば、ネットショッップの事業運営に行き詰まったら、次のような順番で対策を打つと良いそうです。
セミナーの最後に吉村さんは、売れるネットショップの6条件をあらためて説明。
そして、セミナー参加特典として参加者に提供された、事業戦略を作るためのワークシートに言及し、
「今日の3時間を無駄にしないために、できれば24時間以内にこれを完成させて、具体的な行動に落とし込んでください」と参加者に訴えかけ、セミナーを締めくくりました。
◇ ◇ ◇
今回のセミナーは、ネットショップを運営する際に必要なマーケティングの基礎知識を体系立てて学び、ECの事業戦略を見直す良い機会になったと思います。
参加者の皆さまには、EC業界で勝ち抜くヒントをお持ち帰りいただけたのではないでしょうか。
弊社フューチャーショップはこれからも、EC事業者さまの売上拡大や事業の成功を後押しするために、さまざまなセミナーを開催していきます。
今後開催予定のセミナーは、弊社セミナーページに随時掲載していますので、ぜひご覧ください。
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