検索対策SEOとSNSで“脱広告依存” ! 小さな自社ECが大手に勝つためのコンテンツマーケティングを伝授
- 2019.08.272024.01.30
「利益が残らない広告依存から抜け出すために、コンテンツマーケティングで自社ECサイトの売り上げを伸ばしたい」
EC事業者さまのこうした声を受け、弊社フューチャーショップは、検索対策やコンテンツマーケティングをテーマとしたセミナー「商品特化・地域特化で勝ち取る『検索No.1』 SNSとコンテンツの局地戦で中小企業が大手に勝つ方法」を東京と大阪で開催しました!
講師を務めたのは、タキシードや燕尾服のネットショップ「NOVIA NOVIO(ノービアノービオ)」を運営している株式会社NFL 販売営業部マネージャー/株式会社パーシヴァル CMO 酒匂雄二さん。
酒匂さんはブログをコツコツと書き続けたことで同社の燕尾服の売り上げを爆発的に伸ばすなど、コンテンツマーケティングで多くの実績をお持ちです。
今回のセミナーでも、たくさんの成功事例を挙げながら、中小ネットショップがすぐに実行できるSEO対策やSNS活用などの方法を解説してくださいました。
自社ECサイトを運営しているEC事業者さまを中心に、満席となる60人以上にご参加いただいた、7月18日・都内開催のセミナーをレポートします!
目次
燕尾服の売り上げが急増「すべてはブログから始まった」
酒匂さんはコンテンツマーケティングによって燕尾服をヒットさせた自身の経験を踏まえ、中小企業にとってコンテンツマーケティングが必要な理由と、成功させるためのポイントを解説しました。
株式会社NFL 販売営業部マネージャー/株式会社パーシヴァル CMO 酒匂雄二(さこう・ゆうじ)氏
大阪生まれ。ネット通販会社、ゲーム会社を経て紳士礼服メーカーの株式会社NFLに入社。卸売・実店舗・自社ECサイト「NOVIA NOVIO」を統括。
利益が残らない「薄利多売・広告依存」から脱却するために、ブログ・SNSを活用し、年間1000万円以上の広告費削減に成功。同時に、自社ECの売上を2年で400%UP!イーコマース事業協会主催の第9回全国ネットショップグランプリ(2017年)にて「準グランプリ」を受賞。
株式会社NFLは、タキシードや燕尾服、モーニングなどフォーマルな衣装の専門店。
企画・製造を手がけるメーカーであり、量販店への卸売りや、東京・南青山の実店舗で小売りも行う製造小売業です。
EC事業は自社ECサイトを中心に、楽天市場やYahoo!ショッピングといったモールにも出店しています。
燕尾服とは、指揮者やオーケストラの演奏家などが着用している正礼装のこと。
ニッチな商材で、価格は一式10万円以上と高額であることから、2008年ごろまでは「ECでは3年で2着しか売れない、完全な死に筋」(酒匂さん)だったそうです。
転機が訪れたのは2008年の秋。フジテレビ系のドラマ「のだめカンタービレ」の衣装に「ノービアノービオ」の燕尾服やタキシードが採用され、会社は一躍注目を集めることに。
さらに、「のだめ」がきっかけとなり、同社の燕尾服は国内最大級の交響楽団「読売日本交響楽団」の舞台衣装にも採用。
評判はさらに広がり、今では多くの俳優やタレントが「ノービアノービオ」の燕尾服を愛用しているそうです。
死に筋だった燕尾服が今では「1シーズンで数十着が売れる人気商品」(酒匂さん)に育ちました。
ドラマの衣装採用は運だけではない
「ノービアノービオ」の燕尾服がドラマ「のだめカンタービレ」の衣装に採用された理由について、酒匂さんは「運だけではない」と強調します。
「のだめカンタービレ」の制作スタッフが撮影用の燕尾服を発注する際、インターネットで「燕尾服 メーカー」といったキーワードで検索していました。
その結果、酒匂さんが書いたブログにたどり着き、衣装の採用につながったそうです。
酒匂さんはドラマ「のだめカンタービレ」が放送される以前から、燕尾服に関するブログをコツコツと書き続けていました。
当時、Googleなどの検索エンジンで「燕尾服」を検索すると、検索結果の上位は「ノービアノービオ」のブログが表示されていたそうです。
そういった地道なブログ活動=コンテンツマーケティングがあったからこそ、ドラマの衣装への採用につながったということです。
でも、5年後、10年も継続して売り上げを伸ばしたいなら、絶対にコンテンツマーケティングに取り組むべきです。
コンテンツを作ることは、お店や商品に対する愛情と時間の投資。
時間はかかりますが、コツコツやっていけば(コンテンツマーケティングは)裏切りません。
キーワードを盛り込んだブログやSNSを量産
酒匂さんはドラマの放送後、コンテンツマーケティングをさらに強化してきました。
「のだめ 燕尾服」のキーワードを盛り込んだブログやSNSを量産。
「のだめ 燕尾服」の検索結果の1ページ目を「ノービアノービオ」の自社ECサイトやブログ、Twitter、facebook、YouTubeなどのコンテンツで独占したそうです。
その後もブログやSNSを発信し続け、「燕尾服」だけでなく「アスコットタイ」や「ラペルピン」といったキーワードでも「ノービアノービオ」のコンテンツがGoogleの検索結果の上位に表示されるようになり、広告依存からの脱却に成功。
さらに、検索エンジンから自社ECサイトへと見込み客を集客し、オンラインから東京・南青山の実店舗へと誘導するOtoO戦略で売り上げ伸ばしました。
「燕尾服」「アスコットタイ」「ラペルピン」といったキーワードで検索結果の上位に。インターネット広告費を削減し、広告依存から脱却した
酒匂さんは中小ネットショップが大手サイトに勝つための戦略として、小さなマーケットで検索シェアを高めることが重要だと強調しました。
マーケットの規模が小さくても、検索結果のシェアで1位になれば、十分にビジネスとしてやっていける。
これが「小さな会社の大きなSEO」です
コンテンツ発信のコツは「好きなこと」を等身大で書く
ブログを書くことがSEO対策に効果を発揮し、集客につながるとしても、文章を書き慣れない人にとってはブログを続けるのは簡単ではありません。
酒匂さんは、ブログやSNSに投稿するコンテンツを作り続けるコツを、次のように説明しました。
見栄を張らない、嘘をつかないことが大切です
「好きなこと」をブログに書いてコンテンツマーケティングに成功した事例として、酒匂さんがコンサルティングを行っている結婚式場のブライダルプランナーの事例を紹介しました。
コンテンツマーケティング成功事例
新卒のブライダルプランナーは、サンリオのキャラクター「シナモロール」が大好きで、「シナモロールを装飾にたくさん使った結婚式を作りたい」という目標を持っていたそうです。
そこで、「シナモロールだらけの結婚式を作りたい」というテーマでブログを執筆。
すると、「シナモロール」が大好きだという見込み客がそのブログを読み、実際に結婚式場に相談に訪れたそうです。
コンテンツを作るときのコツ
SEO対策に有効な言葉の使い方とは?
ブログやECサイト、サポートレートサイトなどでSEO対策を行う場合、ユーザーの検索意図を意識し、検索されやすい言葉を使うことが重要です。
酒匂さんはこの点について、「お客さんが感じた『あれは何だろう?』という疑問に対して、お客さんが普段使っている言葉で答えることが大切」と指摘しました。
例えば、タキシードを着るときに使う「カマーバンド」という商材のSEO対策を行う場合、「カマーバンド」というキーワードを使っても効果は上がりにくい。
なぜなら、多くの検索ユーザーは「カマーバンド」という名称自体を知らないことが多いからです
ですから、ショップ側も「タキシードを着用するときに、お腹に巻く、腹巻のような帯状のアクセサリーがカマーバンド」という表現を使うことが必要。
お客さんが普段、普通に使っている言葉を、ページに落とし込むのがSEOの基本です。
「カマーバンド」を説明するときは、「タキシード 腹巻き」とか「タキシード お腹に巻く」と表現する。お客さんが普段使っている言葉で書くことが大切
ロングテールのキーワードを重視する
現在のGoogleの検索エンジンは、「RankBrain」と呼ばれる人工知能を使ったアルゴリズムによって、検索ユーザーごとにリアルタイムに検索結果の順位が決まると言われています。コンテンツそのものの質が影響するのはもちろんのこと、関連性が高いページからの言及数(被リンク数)も影響。さらに、検索ユーザーの閲覧履歴や位置情報なども影響します。
「RankBrain」現在のアルゴリズムの特徴を踏まえ、酒匂さんは「ロングテールを意識することが重要」だと指摘しました。
例えば、東京・品川の焼肉屋さんが自社サイトのSEO対策を行う場合、「焼肉 食べ放題 品川駅 オススメ」といったロングテールで対策した方が検索結果の上位に表示されやすい。
ロングテールのキーワードで検索するユーザーは、購入欲求が強いためクリック率も高い。
自社ECサイトとワードプレスのようなCMSを連携し、ロングテールを意識したブログを書くと良いでしょう。
Googleの検索エンジンの特徴を説明する酒匂さん
キーワードを考えるときのコツ
検索クエリは目的に応じて主に3種類に分かれる。
複数の意図を持つクエリで検索対策を行うのがポイント。
②インフォメーショナルクエリ(Know) →情報収集を目的とした検索
③トランザクショナルクエリ(Do/Buy) →取引、購入、申込みなどを目的とした検索
何かをやりたい(Do)+何かを知りたい(Know)+特定のサイトに行きたい(Go)
例)「北海道 観光 ガイド」
観光=Do、おすすめの観光スポットを知りたい=Know、観光ガイドのサイトに行きたい=Go
- 最初は「自分たちのことを誰も知らない」という事実を受け入れること
- まずは「何を売っているのか」を伝えること
- コンテンツの組み立て方は「5W1H」が基本
- その商品は、いつどこで、どのように使うもので、なぜ必要なのかを書く
- 購入方法や問い合わせ窓口など、記事の出口を忘れずに
大阪の食品加工機械メーカーがブログのアクセス数を1カ月で10倍にした事例
酒匂さんは株式会社NFLに勤めながら、他社へのコンサルティングも手掛けています。
セミナーではコンサルティング先の成功事例を挙げながら、コンテンツを作るコツを解説しました。
その中から、食品加工機械メーカーがブログのアクセス数を10倍にし、売り上げも大きく伸ばした事例を紹介します。
ユーザーの傾向を知る
同社はウェブサイトの運営に年間3000万円のコストをかけていたものの、ウェブ経由の集客が頭打ちになっていました。
そこで、コンテンツマーケティングを強化するためにユーザーの傾向を調査。
Googleアナリティクスでサイトのアクセス数を分析したり、顧客にFAXやメールでアンケートを実施したりして、ウェブサイトのアクセスの傾向を分析しました。
その結果、午前中は沿岸部の海産物加工会社のアクセスが多く、夕方は製菓メーカーのアクセスが多いことを突き止めました。
そして製菓メーカーは、日中にデパートやコンビニへの出荷を終え、夕方の落ち着いた時間帯にアクセスが増えるんです。
コンテンツのセグメントを実施
ユーザーの傾向を把握した同社は、メルマガの配信時間と配信対象のセグメントを実施。
朝のメルマガは海産物加工会社を意識し、夕方のメルマガは製菓メーカーの社員が読んでいることを意識して文章を変えたそうです。
例えば、午前に送るメールの書き出しは「今年はサンマが不漁みたいですね。漁獲量は去年の1/10・・・」といった内容。
一方、夕方に送るメールは「昨日、会社帰りにコンビニでスイーツを食べました・・・」といった書き出しに変えました。
ユーザーに合わせたコンテンツ
Googleアナリティクスでアクセス分析を行った結果、サイト閲覧者の年齢は25歳前後が突出して多いこともわかりました。
若い社員がサイトを閲覧していることを踏まえ、可愛らしいキャラクターのイラストを使うなど、親しみやすいデザインへと変更。
専門用語はできるだけ使わず、業界経験が浅い人でも分かりやすい文章へと変えたそうです。
業界に入って2~3年の若手の社員は、機械の専門用語を見てもピンときません。
お客さんが知りたいのは、自社の食材の加工や容器詰めができるのかどうかということ。商品を購入したら何が実現できるのかを、分かりやすく伝えるコンテンツに作り替えました。
アクセス10倍を実現したシンプルな方法
このメーカーでは、1ヶ月でブログのアクセスを10倍に増やした実績があります。
アクセスが増えた理由は、顧客が普段使う言葉でブログを書いたから。
それまでは、食材の総称は抽象的な表現、あるいは専門用語で表現していたそうです。
しかし、「お客さんはそんな抽象的な言葉を現場で使うのだろうか?」という疑問を持ち、キーワードを細分化、ロングテールやニッチなワードに特化した表現に変更。
これが、アクセス数の急増につながりました。
ニッチなワードも、当てずっぽうで使ったわけではなく、顧客が問い合わせの電話口、メール、FAXなどで実際に使っている言葉を採用したそうです。
このメーカーは、今では「食材 加工方法 機械」「食材 容器 機械」といった複合キーワードで検索結果の上位を独占。
コンテンツマーケティングで成果を上げ続けているそうです。
Googleの中の人に聞いた「SEO対策で大切なこと」
酒匂さんはGoogleのクローズドコミュニティ「Google Dance Osaka」に登壇した経験もお持ちです。
セミナーでは、Googleの検索エンジンの開発エンジニアから直接聞いた話も披露しました。
つまり、「愛と情熱を持って、ページを作るしかない」と。
みなさんのオンリーワンのページで、商品やサービスについて愛をもって語る。それが唯一無二のコンテンツになるというメッセージだと受け取りました。(酒匂さん)
Googleの開発エンジニアから聞いたSEOの基本を説明する酒匂さん
Twitter、facebook、Instagramの実践的な活用法
ブログやSNSは、目的に合わせて使い分けることも大切です。
「ノービア ノービオ」では 【ブログはSEO対策】 【Twitterは拡散】 【facebookは関係構築】 【InstagramはABテスト】 に使うことが多いとのこと。
また、SNSごとのユーザー属性を踏まえ、発信するコンテンツの内容も変えているそうです。
SNSの使い分け
- ブログ(SEO:新規来店・売上増)
- Twitter(瞬発力:認知度UP・メディア露出時に有効)
- Facebook(関係構築:リピーター獲得・囲い込み)
- Instagram(直感:若い世代の検索・ABテスト)
SNSの活用事例
▼Twitterのアンケート機能を使い、商品化や発注数量を判断
▼顧客をモデルに起用してfacebookページに掲載。友達の友達へと拡散し、クチコミが広がっていく
▼Instagramは商品写真のABテストに活用
例えば、曜日や時間帯ごとのアクセス数を、デバイス別に分析し、アクセスが少ない時間帯の広告をやめることで広告費を削減できます。
最後に酒匂さんは、コンテンツマーケティングを成功させるポイントについて、次のようにまとめました。
お客さまの「分からない」「見つからない」「あれは何?」という悩みを解決し、「あなたが探しているものを、私が取り扱っていますよ」ということを教えてあげる。
そして、お客さまの目的を達成できる場所=自社ECサイトへと導いていくことです。
東京会場では自社ECサイトを運営しているEC事業者さまを中心に、満席となる60人以上が参加
まとめ
酒匂さんが解説したコンテンツマーケティングのノウハウは、どれもご自身の経験や、コンサルティングの成功事例を踏まえているため、具体的ですぐに実践できるものばかりでした。
当日のセミナー会場では、記事では紹介できなかったたくさんの企業の成功事例が公開されたほか、芸能人が起点となって商品が拡散していくクチコミマーケティングなど、貴重なお話もたくさん聞くことができました。
フューチャーショップでは、自社ECサイトのコンテンツマーケティング関連のセミナーを今後も積極的に開催していく予定です。
また、コンテンツマーケティングで「具体的に何をすれば良いか分からない」「コンテンツを作っても成果が上がらない」「SNSの活用方法が分からない」といった悩みを抱えているEC事業者さまを対象に、サイト構築や運営のご相談にも対応しております。お気軽にお問い合わせください。
セミナーは、ほぼ「無料」で開催しております!
多彩な内容のセミナーをご用意させてもらっておりますので、ぜひ定期的にチェックし、お気軽にお申し込みください。
■ その他のセミナーレポートはこちらから
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