”脱広告依存”で自社ECの売り上げを伸ばすメディア戦略とは? トーモ・ネタフル・スマニューが徹底解説!【前編】
- 2019.04.252024.01.30
ブログやSNS、外部メディアなどを活用し、企業や商品の認知度を高めてECサイトの売上アップにつなげたい!
そんなEC事業者さまが増えていることを受け、株式会社フューチャーショップは3月7日(木)、ECの売上アップに役立つメディア・SNS・PR戦略をテーマとしたセミナー
『 脱広告依存!!集客できるブログ・SNS・PR・・・新しい時代のモノの売り方とは?中小Eコマースのメディア戦略を考えよう 』を都内で開催しました。
今回は、このセミナーの様子を前後編にわけてお届けいたします。
スピーカーとして登壇したのは、モバイルバッテリーなどのガジェットブランド「cheero」や、スマホケースブランド「RAKUNI」などを展開する株式会社トーモの東智美社長。
ブログやSNSを使った情報発信と、メディアリレーションズを通じ、ヒット商品を生み出してきたノウハウを語ってくださいました。
続いて行われたパネルディスカッションでは、ニュースキュレーションアプリ「スマートニュース」の鷹木創氏と、 株式会社フューチャーショップの稲生が加わり、株式会社トーモの事例を踏まえてEC事業者メディア戦略について議論を深めました。
そして、第2講座では、人気ブログ「ネタフル」の管理人であるコグレマサト氏がスピーカーとして登壇。
ブログ歴15年の経験を踏まえ、EC事業者がブログを運用する際のポイントなどを解説しました。
広告やモールに頼らず、ECの売り上げを伸ばすメディア戦略とは?
そのヒントが満載だったセミナー『 脱広告依存!!集客できるブログ・SNS・PR・・・新しい時代のモノの売り方とは?中小Eコマースのメディア戦略を考えよう 』をレポートします!
目次
第1部 「cheero」ダンボーバッテリーと「RAKUNI」を大ヒットに導いた株式会社トーモのメディア戦略
第1部では、株式会社トーモの東智美社長が、ヒット商品を生み出すためのメディア戦略について、自身の経験を踏まえて解説しました。
株式会社トーモ 代表取締役 東智美氏 2009年、Web・グラフィック制作を主要事業に東京都港区に株式会社トーモを設立。2011年に実父が代表を務めるものづくり企業、ティ・アール・エイ(大阪市)のスマホアクセサリーブランド「cheero」の立ち上げに参画し、モバイルバッテリー製品などの企画や営業、広報などを担当。2016年に自社ブランド「RAKUNI」を立ち上げ、スマホアクセサリーの販売事業を開始した。炎上対策コンサルティングなどを手掛ける「MiTERU」の取締役も務める。
東社長が率いる株式会社トーモは、製品企画やパッケージデザイン、Webサイトの構築などを手掛けているクリエイティブカンパニー。
ガジェットブランド「cheero」の企画からクリエイティブ制作、プロモーション、PRなどを手掛けており、主力商品の「ダンボーバッテリー」は2012年の発売以来、累計販売台数約400万台の大ヒット商品となりました。
2016年にはスマホアクセサリーのオリジナルブランド「RAKUNI」を立ち上げ、こちらもECなどで売り上げを伸ばしています。
株式会社トーモは、「cheero」ダンボーバッテリー(左)やスマホケースブランド「RAKUNI」(右)などの企画からクリエイティブ制作、PRなどを手掛け、ヒット商品へと育て上げた
「cheero」ダンボーバッテリーを大ヒットさせたメディア戦略とは?
「cheero」のダンボーバッテリーが大ヒットした裏には、東社長が仕掛けたメディア戦略がありました。
1つ目の戦略は、ダンボーバッテリーを発売するタイミングで、スマホアクセサリーの販売店を展開しているAppBank(アップバンク)と提携したこと。
2012年当時、AppBankがECサイトを新規オープンすることを知った東氏は、ECサイトのオープン日に「ダンボーバッテリー」を発売すると決定。AppBankのECサイトの目玉商品として、「ダンボーバッテリー」を大々的にプロモーションする段取りを整えました。
そして2つ目の戦略は、ダンボーバッテリーのPRをメディアに働きかけたこと。
ダンボーバッテリーは、漫画「よつばと!」に登場するロボット「ダンボー」とコラボレーションした商品です。そこで、「よつばと!」を出版しているアスキー・メディアワークスを訪問し、ダンボーバッテリーを「週刊アスキー」で取り上げてもらうよう交渉。その結果、誌面でダンボーバッテリーが取り上げられ、商品の認知度を高めることに成功したそうです。
東氏が仕掛けたこのメディア戦略は大成功し、準備していた2000台が即日完売。さらに、完売したことがネットニュースに取り上げられ、さらに人気を呼ぶ好循環が生まれ、その後も追加発売しては即売り切れる状態が続いたそうです。
株式会社トーモが実施した「cheero」ダンボーバッテリーを売るためのPR活動
炎上でさらに知名度アップ、ロングセラー商品に
最高のスタートダッシュを切ったダンボーバッテリーでしたが、発売して3カ月目、3度目の即日完売が発生したときに問題が発生。
商品を買えなかった一部の消費者が「売れると分かっているのに、なぜ商品を作らないんだ」という批判のコメントをSNSに投稿し、あっという間に炎上状態に。
この炎上を受け、東社長は即日「追加で5万台作る」というプレスリリースを発表したとのこと。さらに、WEBサイトやTwitterでもコメントを発表し、炎上を収めたそうです。
この炎上によって、結果的にダンボーバッテリーの知名度が高まり、その後のロングセラーへとつながっていきました。
しかも、炎上が発生してから収束させるまでの経緯がWEBメディアなどに取り上げられたことで、話題性がさらに高まり、売り上げがどんどん伸びていったんです
トーモ・東氏がメディア戦略で重視する4つのポイント
東社長は、「ダンボーバッテリーの事例は再現性が低い」と前置きしながらも、「企業が情報発信を行う方法や、メディア・リレーションズにおいて、応用できる部分は多い」と強調。
自身の経験を踏まえ、中小企業がメディア戦略を考える上で、重視すべきポイントを解説しました。
小さな会社が行うメディア・PR戦略について、東氏は「プレスリリースを書く、打つ」「メディアへのアプローチ」「SNSやオウンドメディアの運用」の3つを推奨し、その上で、次の4つのポイントを押さえておくことが重要だと説明しました。
- 「広告」と「広報・PR」の違いを理解する
- メディアやブロガーと良好な関係を構築する
- SNSやブログで自ら情報を発信する
- 情報発信は、社長など経営に近い人が行う
ポイント① 「広告」と「広報・PR」の違いを理解する
広告費を支払って掲載する「広告」であれば、その内容を広告主がコントロールできますが、外部のメディアやブロガーに自社のことを取り上げてもらう「広報」や「PR」では、一般的に記事の内容を企業側が決めることはできません。
東社長は、メディア戦略を考える前提として、「広告」と「広報・PR」の違いを理解しておくことが重要だと強調しました。
PRなのに、記事の内容に企業が口出しすると、メディアやブロガーさんから嫌われる原因になるので注意してください
ポイント② メディアやブロガーと良好な関係を構築する
東社長は、日頃からメディアやブロガーとの人脈作りに取り組んでいるそうです。
その理由について、「人脈があれば、SNSやオウンドメディアで情報を発信した際に、拡散効果が得られやすい」と説明しました。
また、人脈を作るために、ブロガー交流会やメディア関係者との会食などにも積極的に参加しています。
プレスリリースを打つときは、企業側が書いて欲しい情報を一方的に押し付けるのではなく、媒体の特徴や、ブロガーの性格などを理解した上で、「あなたに記事を書いて欲しい」という気持ちを個別に伝えることを重視しているそうです。
そして、記事を書いてくださった記者さんやブロガーさんには、必ずお礼の連絡を入れます。そうすることで、良好な関係が作れると思います
東社長はこうした地道な取り組みを続けた結果、メディア関係者などの人脈が広がり、それは「秘伝のプレスリスト」になっているとのこと。
今では、良好な関係の記者やブロガーと個別にやり取りを行ない、信頼関係をベースに記事を取り上げてもらいやすくなったそうです
そして、商品に対するフィードバックをもらったり、『発売する際はよろしくね』といったコミュニケーションを取ったりしています
東社長がメディアリレーションズで重視していること
東社長はメディアやブロガーに記事を書いてもらうために、相手にメリットがある情報を提供することも意識しているそうです。
次の5つの要素を意識してプレスリリースを打つと、メディアに取り上げられやすいと説明しました。
- 商品の特徴が分かりやすい
- ニュース性が高い
- 物珍しい
- 新規性がある、情報が早い
- アフィリエイトにつながりやすい
ポイント3 SNSやブログで自ら情報を発信する
東社長はSNSやブログなどを活用し、自ら情報を積極的に発信しています。
「RAKUNI」のSNSとブログのフォロワーは約3000人。東氏個人のTwitter、Facebook、YouTube、Instagram、noteのフォロワーは約1万人に達しています。
Twitterは主に情報のリリースやユーザーとのコミュニケーションに活用し、Facebookはニュースのアーカイブ、Instagramはブランディングといった使い分けをしているそうです。
フォロワーが会社と個人で合計約1万3000人になると、何かを発信するにあたって、それなりに影響力が出てくると思っています
ポイント4 情報発信は、社長など経営に近い人が行う
SNSやブログで情報発信を行う場合、「社長や経営陣が自ら運用するのが理想」と東社長は強調しました。
その理由は、商品のことを最もよく理解し、強い思い入れがある社長こそ、熱のこもった情報を発信できると考えているから。
また、SNSの投稿は土日や夜間に行うことがあり、また、メディア関係者との付き合いは深夜や休日に予定が入ることもあるため、常に働ける社長が行うのが最適だと考えているそうです。
とはいえ、物理的に難しいこともあるでしょう。そういうときは、フリーのライターさんや編集者さんと連携するのも良いと思います
第1講座のまとめ
東社長は、中小企業によるメディア戦略のポイントを次のようにまとめました。
コンタクトを取る際は、事前にメディアやブログの記事をきちんと読んで、特徴を理解した上で連絡してください。そして彼らにどのようなメリットを提供できるのかを常に考えてください。
そして、SNSやブログを運営するときに大事なことは、一発逆転を狙わないこと。
記事がメディアに取り上げられて爆発的に商品が売れるなんて、ほぼ奇跡です。
弊社のダンボーバッテリーも奇跡だと思っていて、あれは狙っても再現することはできません。
でも、今日説明したことをコツコツ続けていれば、少しずつメディアやブロガーさんから声がかかるようになると思います。大事なのは、毎日やり続けること。私は10年ぐらい、情報発信を続けています。
”脱広告依存”で自社ECの売り上げを伸ばすメディア戦略とは? トーモ・ネタフル・スマニューが徹底解説!【前編】では第1講座までをまとめさせていただきました。
「ディスカッション」〜「第2講座」は後編へ。
引き続き、お楽しみください!
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この商品が売れたら『よつばと!』も売れるから、協力して欲しいと説得したんです。