巣ごもり消費で食品ECに起きた激変とは?PV390%アップの「おとりよせネット」に聞く、グルメニーズの変化
- 2020.06.252023.05.10
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、巣ごもり消費が加速。
外出自粛のムードが漂い、おうち時間を楽しく過ごそうと、食品のお取り寄せのニーズが顕著に増えました。
そんな背景のなか、5月に株式会社フューチャーショップが主催のオンラインセミナー「今、何がお客様に喜ばれているのか? 食品ECメディアが語る現状と施策事例」を開催。
スピーカーとして登壇したのは、お取り寄せ情報ポータルサイト「おとりよせネット」を運営するアイランド株式会社の方々。おとりよせネット編集長の伊藤梢さん(右上)、利用ショップのサポートを担当する石川妃咲さん(左下)と田中愛さん(右下)です。
4月、コロナ禍で例年よりもアクセスが伸びた「おとりよせネット」には、消費者のどのようなニーズが集まったのでしょうか?
「食品ECの現状」をテーマに語られた濃い1時間を、特に印象的だったポイントに絞りながらレポートします。
目次
消費者の購買意欲をアップさせ、ネットショップに誘導! お取り寄せの情報ポータルサイト「おとりよせネット」
まずは「おとりよせネットとは?」について、石川妃咲さんにお話いただきました。
2003年11月に設立された、お取り寄せに特化した情報ポータルサイト「おとりよせネット」。
月間PVは約370万(2018年12月時点)、メールマガジン会員は約65,000人、商品数は約5,100点(2019年11月時点)です。
ユーザーデータを見ると、性別は「女性」が72%、年代は「30〜50代」が80%、世帯年収は「500万円以上」が42%。
経済的に余裕があり、食やお取り寄せに興味・関心の高い30〜50代の女性がアクティブユーザーです。
特徴は、GoogleやYahoo!といった検索エンジンに強いこと。
「お取り寄せ 人気」などのワードで検索すると、検索結果の上位に「おとりよせネット」のページが表示されます。
メインコンテンツは
・ 人気商品の情報がひと目でわかる 「ランキングページ」
・ 季節やイベントのテーマに沿った商品を紹介する 「特集ページ」
・ 食や通販に精通した人がイチオシ商品を紹介する 「達人おすすめページ」
…そしてもう1つ
・その中でも最も注目度の高いのが弊社メイン機能でもある 「モニター審査」 です。
そんな「おとりよせネット」は、商品の紹介をする情報ポータルサイトであり、ECの販売プラットフォームではありません。
EC事業者は「おとりよせネット」を通し、モール店舗や独自ドメイン店舗に送客できます。
サイト内に掲載された「口コミ」「コンテンツ」といった第3者の視点を介することで、消費者の購買意欲をアップさせた状態で、ネットショップへと誘導できるのがメリットです。(石川さん)
人気を集めるグルメは「ストックできる」「調理が手軽」「飽きない」の三拍子。消費者ニーズの変化
続いて、「巣ごもり消費の加速に伴う、消費者ニーズの変化」について、おとりよせネット編集長の伊藤梢さんにお話いただきました。
2019年4月と比べ、2020年4月はPVが390%、UUが260%アップした「おとりよせネット」。
巣ごもり消費が加速するにあたり、グルメのお取り寄せニーズも増加しています。
Googleトレンドを見ると、東京都ほか6府県に緊急事態宣言が出された4月7日から12日後、4月19日あたりから「お取り寄せ」のワードでの検索数が急増。
新型コロナウイルス感染症の影響で外出自粛となり、これまで人に贈られることも多かったお取り寄せグルメのニーズが「おうち時間を充実させるため、おいしいグルメを味わいたい」と変化しているのです。
ニーズが変わったことで、ユーザーに求められる商品の傾向も変化しました。
買い物の回数が減って長期保存できるものや、自宅での食事回数が増えて手間なく作れるものが好まれています。
また、実店舗をもち打撃を受けているショップへの応援として、フードロスをなくす支援として、グルメを取り寄せる動きも出ています。
そんな背景を踏まえ、特に注目されているグルメジャンルは「おかずや惣菜」「スイーツ」です。
例えば、手作り惣菜を販売するRF1(アール・エフ・ワン)」の「店長のこだわり セレクトセブンを例に挙げてみましょう。
冷凍保存が可能で自宅にストックしやすい・レンジで温めるだけなので調理が手軽・7種類の惣菜がセットで飽きずに楽しめるという3つの観点から、人気が高まっています。
今後も、お取り寄せグルメの需要は続くと予想できます。
なぜなら、今回の自粛でECでの商品購入を体験し、便利だと実感。購入のハードルが低くなり、日常的にお取り寄せを楽しむ層が増えると考えられるからです。
「おとりよせネット」ユーザー向けに実施した「新型コロナウィルス感染症流行に伴う『ネット通販(食品)』に関するアンケート」では、「今後、ネットで食品を購入する回数は変わりますか?」という質問に対し、84%の人が「増えると思う」と回答しました。
具体的には「ネットスーパーの利便性がよくわかったので、これからも買い物に出る余裕がないときは利用したい」「食事を作る回数を減らしたい」「ネット通販が楽しみになってきた」といった声が届いています。
外出自粛を機に“自分のために”お取り寄せをして、お取り寄せグルメの魅力を発見し、これからも利用したいと考える消費者が増えたのです。
こういった消費の波にうまく乗るには、「社会が求めるものを届けられるか」が重要になるでしょう。
2020年4月、アメリカのディズニーリゾートによるチュロスのレシピ公開や、チーズケーキブランド「Mr. CHEESECAKE」による人気商品のレシピ公開は、大きな話題を呼びました。
こうした企業の動きは、「消費者におうち時間を楽しんでほしい」という思いによるもの。
SNSが人々の生活に根付いた時代において、“社会のため”を起点とした行動をきっかけに、その企業やブランドを知ることも少なくありません。
「今、世の中の人にとって役立つ商品や情報は何か」と考えて、提供していく。
そんな企業の姿勢や理念に共感して、消費者がファンになっていくのです。 (伊藤さん)
2020年4月に、前年比248%を記録! 伸びているショップの施策事例
最後に、「伸びているショップの施策」について、田中愛さんにお話いただきました。
お取り寄せグルメの需要が増えるなかで、群を抜いて売り上げを伸ばしたEC事業者は「おうちごはん応援セール」「送料無料」など、早々に施策を打っていました。例えば、精肉・肉加工品を販売する名産松阪牛 牛松本店の売り上げは、2019年と比べて、2020年1月は91%、2月は103%、3月は110%でした。
需要が少ないタイミングであるうえに昨年10月の増税の影響もあり、注文が落ち着いていたといいます。
しかし、4月に入ってからは一気に前年比248%を記録しました。
5月も10日の時点で前年比200%を超え、売り上げが伸び続けています。
そんな同ショップが「おとりよせネット」で行っているのは、広告出稿や口コミの活用といった施策です。
4月は在庫が追いつきそうになく、途中で広告出稿をストップしていました。もし在庫が追いついていたなら、4月の売り上げは前年比300%を超えていたかもしれません。
「おとりよせネット」でできる施策のなかでも、購入を後押しする施策としてEC事業者からの注目度が高いのが「モニター審査機能」です。
モニター審査機能とは、「おとりよせネット」の会員のなかからモニターを5名選出し、商品を実食した感想を書き込んでもらうもの。
感想コメントのほかにも、「味・おいしさ」「パッケージ・包装・お届け状態」「コストパフォーマンス」といったオリジナル項目による星評価や、実食した際の写真投稿など、消費者目線の口コミ評価で商品を紹介しています。
モニター審査機能で口コミを集めることにより、得られるメリットは3つ。
- ひとつ目は、日頃からお取り寄せを楽しむ消費者が、商品のおいしさや魅力を紹介することにより、商品に対する信頼度がアップすること。
- ふたつ目は、モニターの手元に届くところからが審査対象であるため、「梱包が雑だったらどうしよう」など、消費者が購入前に抱く不安を払拭できること。
- みっつ目は、売り手側が気づかない商品の新たな魅力や、意外な評価ポイント、改善点を知るきっかけになること。
「ハサミがなくても切れたら便利」といったリアルな声が届くため、商品改善や今後の商品開発につなげられます。
このモニター審査機能は、初回は無料で利用できます。集めた口コミは、ECサイトや商品パッケージ、店頭看板など、二次活用が可能です。
実際、競合に埋もれず、自社の売り上げを伸ばすのは簡単ではありません。
しかし、先ほど紹介した「名産松阪牛 牛松本店」のように、日頃から集客施策を強化しているネットショップは、他社と比べて成長していますね。(田中さん)
まとめ
外出自粛であまり外に出られず、「おうち時間を楽しく過ごすため、おいしいものを食べよう」「3食作るのは大変だから、グルメをお取り寄せしよう」といったニーズから需要が高まった食品EC。
なかでも、売り上げを伸ばすネットショップは、今後を見据えながら「おとりよせネット」の機能を積極的に使っていました。
巣ごもり消費が加速したなかで、消費者の気持ちに寄り添い、先手を打って施策を実施していくことが、成功のカギになるのではないでしょうか。
フューチャーショップは、SaaS型ECサイト構築プラットフォーム「futureshop」の提供を通して、食品ECはもちろん、EC業界全体を応援したいと考えています。
また、futureshopは食品ECの販売に強い「予約販売」「定期販売」「ギフト包装選択」等の機能ももちろん、SEOの対策もしっかりと行っていただけます。
ご興味ある方はfutureshopの詳しい機能をご紹介した資料をご用意しておりますので、ぜひご請求ください。
今後も、セミナーや当メディア、E-Commerce Magazineを通して、ネットショップの運営に役立つ情報をお届けしていきます!
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