「PayPay」や「d払い®」を自社ECに導入するとどうなる?集客と売上への効果を徹底解説【前編】
- 2020.07.152024.11.28
自社ECサイトで使われる決済方法には、さまざまなものがありますが、いま特に注目を集めているのがID決済(※クレジットカードを含む既存の決済方法ではなく、他のサービス事業者が提供する決済サービス。いわゆる「○○Pay」のこと)です。
実店舗でのキャッシュレス決済はここ数年で一気に普及しました。そして2020年、いよいよ自社ECサイトでも実店舗で使われている「キャッシュレス決済」が本格的に導入され始めています。
弊社が提供しているSaaS型のECサイト構築プラットフォーム「futureshop」も、すでに連携している「AmazonPay」「楽天Pay」「ApplePay」に続き、2020年8月から「PayPay」、2020年11月からは「d払い」と連携します。
「PayPay」と「d払い」は国内における決済の利用率で1位と2位という調査結果(※1)もある決済サービス。
それぞれ数千万人のユーザーを抱え、巨大なポイント経済圏を持つため、自社ECサイトに導入することで集客効果や売上増加への影響が期待されています。
そこで今回、「PayPay」や「d払い」を自社ECサイトに導入するメリットをみなさまに知っていただくため、オンラインセミナー「『PayPay』と『d払い』は、Eコマースに何をもたらすか?その実力を知る。」5月に開催しました。
「PayPay」を提供しているPayPay株式会社の担当者と、「d払い」を提供している株式会社NTTドコモの担当者をお招きし、サービスの概要やメリットなどを解説していただきました。
さらに、ワイシャツのECサイト「ozie」を運営している株式会社柳田織物の柳田社長と、ドライフルーツとナッツのECサイト「上野アメ横 小島屋」を運営している株式会社小島屋の小島専務にもオンラインでご参加いただき、「PayPay」と「d払い」への期待感を率直に語っていただきました。
多くのEC事業者さまから反響があったオンラインセミナーを、前後編の2部構成でレポートします!
※1 引用元:MM総研 個人消費動向・EC・キャッシュレス決済市場調査(19年10月)
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目次
セミナープログラムと登壇陣ご紹介
スピーカー:株式会社フューチャーショップ 執行役員 セールス&マーケティングマネージャー 安原 貴之
第二部 2800万の登録ユーザー数で、自社サイトへの集客貢献!PayPayオンラインとは。
スピーカー:PayPay株式会社 営業統括本部 オンライン営業本部オンライン営業部 課長 藪井 亮兵氏
第三部 dポイントユーザがもたらす「2000億pt」が自社ECにもたらす衝撃!d払いとは。
スピーカー:株式会社NTTドコモ プラットフォームビジネス推進部 パートナー推進室 アライアンス担当 担当部長 津田谷 光治氏
第四部 ネットショップ経営者が語る「PayPay」と「d払い」への期待度は?
スピーカー:株式会社柳田織物 代表取締役 柳田 敏正氏 / 株式会社小島屋 専務取締役 小島 靖久氏
第一部 自社ECで利用される決済方法はどう変化してきたか?futureshopでみる利用動向
第一部では弊社の安原が講師を務め、「futureshop」で構築した自社ECサイトにおけるID決済の利用状況について、「futureshop」の店舗さまのデータを踏まえて解説しました。
クレジットカードとID決済の合計で6割以上
「futureshop」は2015年9月にAmazonPay、2016年2月に「楽天Pay」、2017年10月に「ApplePay」と連携しました。
最初に導入した「AmazonPay」の導入店舗数は、2015年9月時点で約150店舗(全体の7.5%)、すべての決済に占める決済比率は2.17%でした。
それが4年後の2019年9月時点では導入店舗数が約1100店舗(44%)、決済比率は16.82%に増えています。
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「futureshop」がID決済と連携した当初は、「クレジットカードの利用層がID決済にスイッチするのではないか」との懸念も聞かれました。
しかし、実際はクレジットカード決済の比率は落ちていません。
代引きやコンビニ決済を辞めるEC事業者さまが増えていく中、近年は「AmazonPay」の利用割合が増えています。
クレジットカード決済とID決済を合計すると、決済比率は全体の約64%を占めています。
消費者は初めて使う自社ECサイトにクレジットカード情報を入力したくないと考えることも少なくありません。
そのため、カード情報を入力せずに買い物ができるID決済は、自社ECサイトにおける新規顧客の獲得に有効とされています(安原)
ID決済の利用件数は昨対2倍以上
「futureshop」をご利用中のすべての店舗における2020年4月度の決済件数を決済方法別に集計したところ、「ID決済」の件数は前年同月比209%(約2.1倍)でした。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛の影響で、ECサイトの利用が伸びる中、クレジットカード決済や代引きなど、すべての決済方法が前年同月を上回っています。
とは言え、支払い時に配達員との接触を伴う「代引き」や、外出が必要な「コンビニ払い」は伸び悩む傾向も見られます。
一方、ID決済はPC・スマホともに大幅に伸びており、特にスマホでは前年同月比224%(約2.2倍)と大きく伸びました。
安心・安全に購入できるID決済が、よく利用されている傾向があります。
ECサイトにID決済を導入していれば、“お家時間”でECを利用するユーザーを取り込める可能性がある。
こうしたトレンドを受け、「futureshop」は「PayPay」と「d払い」に対応することを決めました(安原)
- 実店舗での買い物ができず、ECの利用が増加している
- EC初心者の購買が増加し、安心で簡単なID決済が選ばれる傾向
- 在宅勤務が増え、自宅でPCに向かう時間が増えているため、PCからの購入も増加傾向
第二部 2800万の登録ユーザー数で、自社サイトへの集客貢献!PayPayオンラインとは。
第二部では、PayPay株式会社の藪井さんが登壇し、「PayPayオンライン決済」の概要や、自社ECサイトに導入するメリットを解説してくださいました。
「PayPayオンライン決済」とは?
オンライン決済は「残高チャージ」のみ
「PayPay」の支払い方法はプリペイド式の「残高チャージ」のほか、実店舗での支払いであればクレジットカードと紐付けて決済したり、後払いで決済したりすることが可能です。
「PayPayオンライン決済」の決済方法は「残高チャージ」のみ。
クレジットカード決済や後払いをオンライン決済で使うことはできません。
藪井さんによると、現在、「PayPay」の利用者の多くは「残高チャージ」のみを利用しているそうです。
「PayPay」が行なっているキャンペーンのほとんどは「残高チャージ」が対象です。また、セブン銀行ATMで「残高チャージ」を行えるなど、簡単にチャージできる仕組みが整いました。そのため「残高チャージ」の利用者が増えています。
「PayPayモール」や「Yahoo!ショッピング」でも「残高チャージ」しか使えませんが、問題なく運用できていますので心配いりません(藪井氏)
「futureshop」で出荷売上に対応
「PayPayオンライン決済」は出荷売上にも対応しています。
出荷売上とは、注文完了時点では「PayPay」のチャージ残高の「仮減算」を行い、出荷時点で正式にチャージ残高を減らす(減算確定する)仕組みのこと。
注文確定後に金額変更やキャンセル対応が可能です。
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注文確定時点ではチャージ残高の仮減算を行う。
注文後に金額を増額する場合、ユーザーに対して増額の通知を行い、ユーザーが承認すると金額が変わる(仮減算を行なった時点から原則30日以内)
「PayPayオンライン決済」の導入メリット
藪井さんは「PayPayオンライン決済」を自社ECサイトに導入するメリットとして、グループのサービス基盤を活用した送客支援や、キャンペーンによる売上貢献などを上げました。
PayPayのユーザーは2800万人、ソフトバンクの携帯電話ユーザーは累計4000万、Yahoo!ジャパンの月間利用社数は6700万人(アプリ合算MAUは約1.4億人)です。
ソフトバンクの携帯電話に新規申し込みすると1万円分のPayPay残高チャージをプレゼントするなど、グループのサービス基盤や顧客基盤を生かして送客します(藪井さん)
「100億円あげちゃうキャンペーン」など、大規模なキャンペーンをほぼ毎月行ってきました。
さまざまなキャンペーンを通じて年間7000億円相当のPayPay残高を市場に供給しています。2020年も毎月キャンペーンを計画しています(藪井さん)
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不正利用対策として被害額をPayPayが原則全額負担
不正決済対策としてユーザーへの補償制度や加盟店への保証制度があり、「万一、不正利用があった場合、原則として被害金額の全額をPayPayが負担する」(藪井さん)
と強調しました。
6月中に申し込むと決済手数料は永年2.99%、今後も大規模キャンペーンを計画
藪井さんはセミナーの中で、「futureshop」をご利用中の店舗さまに限り、6月中に「PayPayオンライン決済」を申し込むと決済手数料が永年2.99%(通常は3.5%)になるキャンペーンも発表。
また、今後も「PayPayオンライン決済」のキャンペーンを行う予定であることを公表し、「早めにPayPayオンライン決済の設定を完了し、今後の大規模キャンペーンに参加していただきたい」(藪井さん)と呼びかけました。
「futureshop」における「PayPayオンライン決済」の操作方法
第二部の後半では、弊社の安原が「futureshop」における「PayPayオンライン決済」の決済手順を説明しました。
「futureshop」で構築したECサイトで「PayPayオンライン決済」を使う場合、4つの決済パターンが想定されますので、それぞれの決済手順をご説明します。
なお、決済フローは開発中のため、仕様が変わる場合もあります。
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1.「PayPay」のアプリがインストールされているスマホで購入する場合
①ユーザーが商品をカートに入れ、支払い方法の選択画面で「PayPay」を選択して注文を確定すると、「PayPay」のアプリが立ち上がる。
②ユーザーが支払い完了のボタンを押すと決済が完了。ECサイトの購入完了ページに自動的に遷移する。
③ユーザーが過去にそのECサイトにログインしていればそのままログインできる。
④初めて使うECサイトなら個人情報を入力して会員登録が必要。
※画面は開発中のため、実際の仕様とは異なる場合があります
2. PayPayアプリがインストールされていないスマホで購入する場合
①ユーザーが「PayPay」のアプリをスマホにインストールしていない場合、ECサイトで注文を確定し、支払い方法で「PayPay」を選択するとすると、「PayPay」のログインページに遷移する。
②携帯電話とパスワードでログインし、ログイン後の画面で支払いボタンをタップすると支払いが完了。
③ECサイトの購入完了ページに自動的に遷移する。
※画面は開発中のため、実際の仕様とは異なる場合があります
3.PCからの購入時にPayPayアプリで決済する場合
①PCサイトで注文時に「PayPayオンライン決済」を選択し、注文確定ボタンをクリックすると、「PayPay」 のログイン画面にQRコードが表示される。
②そのQRコードをスマホの「PayPay」アプリでスキャンすると、支払い額などがアプリに表示されるので、支払うボタンをクリックすると決済が完了。
③決済が完了するとPC側の画面も決済完了に変わる。
※画面は開発中のため、実際の仕様とは異なる場合があります
4.PCからの購入時に「PayPay」アプリなしで決済する場合
①PCサイトで「PayPayオンライン決済」を選択し、注文確定ボタンをクリックした後のログイン画面で携帯電話番号とパスワードでログインすると、支払金額が表示される。
②支払うボタンを押すと支払いが完了。ECサイトの購入完了ページに自動的に遷移する。
※画面は開発中のため、実際の仕様とは異なる場合があります
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精算業務などはSBペイメントサービスが一括管理
「futureshop」をご利用中の店舗さまが「PayPayオンライン決済」を導入するには、SBペイメントサービス株式会社が提供しているオンライン決済サービスを契約する必要があります。
精算業務などはSBペイメントサービスさまが一括管理するため、加盟店側で「PayPayオンライン決済」の精算・管理を個別に行う必要はありません。
「PayPayオンライン決済」の入金サイクルは月2回の予定です。
◇◇◇
セミナーレポートの前編はここで終了です。
PayPayのオンライン決済を自社ECサイトに導入することで、新規顧客の利用促進などに期待できそうですね。
後編では「d払い」の活用法の解説や、EC事業者さまにご参加いただいたオンラインディスカッションをレポートします!
◆後編はこちらから
※ d払いは株式会社NTTドコモの登録商標です。