ECのチャット接客効果とは?ツール導入で問い合わせ改善・CVR向上の事例
- 2022.04.202022.11.22
EC業界で今、オンライン接客の手段として「チャット」に注目が集まっています。メールや電話よりも問い合わせのハードルが下がり、会話形式でのコミュニケーションによってきめ細かい接客が実現するためです。チャットを活用して購入前の不安を解消し、ニーズに沿った商品提案によってECサイトのコンバージョン率(CVR)やリピート率の向上につなげるネットショップも目立ち始めました。
今回、futureshopをご利用中のアパレルECサイト「ozie」の柳田敏正社長に、チャットツール導入後の成果を語っていただきました。2021年7月に弊社が主催したオンラインセミナーにも登壇し、ECサイトにおけるチャットツールの意義を解説してくださった柳田さま。その後日談をぜひご一読ください。
目次
ozieが「チャネルトーク」活用でリアルな顧客接点を増加!チャット利用数は5倍、購買転換率は38%達成
創業1924年の歴史を持ち、販売する500点以上の商品すべてがオリジナル商品のシャツ専業メーカーozie(オジエ)。ozieを提供される株式会社柳田織物の柳田さんは、前職ではバーニーズジャパンの販売員として活躍し、100人近くのEC専門家をインタビューするYoutubeチャンネル「ECの未来」も運営しています。 今回はそんな接客のプロである柳田さんに、チャット接客の成果や活用のポイントについてお話を伺いました。
コロナ禍をきっかけに、EC設立当初の想いをチャット接客で実現
──チャネルトーク導入の背景を教えてください!
コロナ禍が大きなきっかけになりました。弊社はワイシャツなどのオフィスウェアを販売していますが、在宅勤務が主流になりオフィスウェアが必要なくなったお客様が増加した為、このままではまずいなと危機感を感じました。またコロナ禍で実店舗の人手が余るようになった大手ブランドが次々とECでチャット接客を始めました。今まで効率化を重視する傾向があったECで、接客スキルが高い実店舗の人たちが接客を始めたら勝てなくなるという危機感もありました。
そして私自身、ECを始めたきっかけが「バーニーズの接客を1対多で提供したい」からだったんです。そのため、弊社スタッフは全員が接客スキルがあり、リアルのショールームや電話接客など顧客接点を作っていました。コロナ禍をきっかけに「このままではいけない。原点に戻り、リアルな接客に近い形でお客様と接し、顧客接点を増やして差別化したい」という思いが強まり、チャット接客の導入を決めました。
──導入前の社内の反応はどうでしたか?
普段は導入前にスタッフの反応を聞くのですが、ここに関しては「やらないといけない!」と強い危機感を感じた為、私の独断で決めました。しかし、改めて聞いてみたところ、疑問は感じなかったものの「果たしてやりきれるのかな?」や「問い合わせが沢山来てしまったらどうしよう」などといった不安は抱いていたそうです。
PDCAを回し、購買前の問い合わせが5倍増、CVRも38%に向上
──導入直後、実際はどうでしたか?
当初「チャットが沢山来てしまったらどうしよう!」という心配がありましたが、その心配は不要でした。チャットを設置しただけでは、お客様からのチャットでのお問い合わせが全然来なかったからです(苦笑)。今思えば他力本願だったかもしれません。お客様との接点を増やす為にチャネルトークを導入したのにも関わらず、チャットが来なかったら意味がないと思い、まずはチャットでの問い合わせ件数を増やす事に集中しました。
──改善を繰り返し、どのように数字が変化していきましたか?
チャネルトークの担当者にどうすればチャット件数を増やせるのかを相談し、まずは顧客の問題解決をスムーズにするためのチャットボットを設置しました。チャットボットの導入で、問い合わせ件数が1.5倍に増えました!お客様としては、どんな問い合わせをすれば良いかイチから考える手間(エフォート)を減らせることや、チャットボットのボタンを押すうちにお客様の頭の中で質問が明確になることで問い合わせ件数が増えたと考えます。さらにその後、マーケティング機能を導入し、問い合わせ件数が3.6倍にも増えました。結果として、導入直後の5倍となる月83件の問い合わせが来ました。
まず興味があるボタンを気軽にクリックしてもらいつつ、解決すればOK。解決しない場合には、「スタッフに相談する(上記以外のお問い合わせ/ギフトコンシェルジュに相談)」ボタンを押してくださるため、問い合わせのハードルが下がります。
──チャット数が増えても対応できていますか?
現状、2人の接客スタッフが他業務と兼業しながら対応していますが、十分対応できています。気になった瞬間に気軽に質問できるチャットが増えている分、メールでの問い合わせが減っています。スタッフの立場からしても、よりスピーディーに対応できるようになりました。また、メインのお客様が、LINEミニアプリなどをあまり活用しない40~50代男性であるためこれまでLINE公式アカウントから届いていた問い合わせも減り、チャネルトーク経由での問い合わせが増え、徐々に一元化されています。
チャット全体の45%が購買につながる質問、購買率は34%にアップ!
──購買につながるチャットボットを設定するコツはありますか?
最初は、現状で一番多い質問のみ設定しておいて、他の問い合わせが増えてきたらシナリオに追加しています。商品ページはありますが、情報量が多すぎるとかえって不便になってしまうため、全ての情報を記載できません。情報が足りない部分は、チャットで質問してくださったら解決して差し上げられるため嬉しいですし、問い合わせが増えてきたらシナリオに追加すればチャットボットの精度を高められます。シーズンによっても質問内容は変化するため、最初に設定しすぎるのはかえって良くないです。ボットに完成はないと思います。タグの統計で、多い問い合わせを確認しながら、日々改善するのがおすすめです。
──購買につながる接客チャット運用のコツはありますか?
お客様に安心していただきたいため、まずは「こんにちは」などとすぐにお返事をします。さらに、類似した質問は、コンテンツを作成しておき、URLを送ることで、より素早く問題解決ができます。
──リピーターの方からの反応や購買数字の変化はいかがですか?
チャネルトークを利用したことによって、リピーターのお客様が問い合わせをしてきてくれることが増えたことが良かったです。リピーターのお客様は新規のお客様よりもチャットの窓口があることで、より気軽にお問い合わせすることができます。相談しやすい窓口があるというのはリピーターを増やす鍵になると思います。実際、チャットの54%がリピーターの方からの問い合わせです。なかには5年ぶりに問い合わせをして購入してくださったリピーターさんもいらっしゃいました。
電話とチャットを併用し、スピーディーかつ丁寧な顧客対応の実現
──電話とチャットを併用した接客スタイルについて教えてください。
ご年配のお客様から電話で、「この商品が欲しい」などと、問い合わせをいただくことがあるのですが、電話だけでは具体的な商品のご案内が難しいです。 その際、電話中にサイトを開いてもらい「サイトの左下のチャットボタンを押して、『あ』など打って飛行機マークを押してください!」とお願いしてチャットに誘導しています。チャットで商品のURLを共有しつつ、電話で「この中で気に入った物はありますか?」「このまま電話で注文しますか?」などと、スムーズかつ購買に繋がる顧客対応ができるようになりました。
また、ご年配のお客様に限らず、プレゼント購入をご検討のお客様の場合にも、チャットを活用してお客様の要望に合わせてURLを送り接客することによって、スムーズに対応できそのまま購入していただけました。チャットを導入する前から電話での購買相談は積極的に受けてきたのですが、チャットを導入、併用することによって、以前より丁寧に接客し、購買に誘導できるようになりました。
リアルな接客と変わらないチャット接客で差別化
──アクセスログを活用し、お客様を誘導し購入に繋げる。
電話ではお客様がどのページを見て問い合わせをしてきてくださったのかが分かりません。しかし、チャネルトークではアクセスログが見れるため、お客様がどの商品を見ていたのかが一目瞭然です。これはオフラインでの接客場面において、お客様が何度も来店されると店員の記憶に残ったり、商品を真剣にみている時の表情を読み取ってスタッフが接客するのと似ています。アクセスログを見ることによって、「こちらの商品もお探しですか?」「合わせてお召しになるとお似合いですよ」などと、お客様を自然と購買に誘導でき、売り上げに繋げられています。
──その他、チャネルトークを導入して良かった点はありますか?
ozieがECサイト構築ツールで利用しているfutureshopさんのサポートが素晴らしいのですが、チャネルトークも同様に、数々の相談を通して、親身に寄り添ってくれるサポート力がすばらしいです。最初はお問い合わせが来なくて悩んでいたのですが、相談にのっていただき、様々な機能を適切に活用することで、問い合わせ件数を5倍以上に増やすことができました。寄り添ってサポートしてくれることをありがたく感じています!
──今後、ECはどうあるべきだと思いますか?
コロナ禍を経てECの競合が増えている中で、他社との差別化ができないECは生き残れないなと思っています。ECで、接客ツールを利用して、リアルと変わらないきめ細かな接客をすることで顧客接点を増やすことは、価格勝負とは別の差別化になります。
「どこ/誰から買うか」や「モノよりコト」だけではなく、そこに「こころ」が必要だという話を知人から聞いたのですが、接客でも、その「こころ」を掴むことがポイントだと思います。ソフトタッチのコミュニケーションをうまく活用することによって、熱狂的なファンを作ることができ、集客にも繋げられるからです。
また、セレクトショップのコンシェルジュのように、お客様からの問い合わせに瞬時に対応して接客することで、値段が高くても、安心感を与えることができ、お客様から選ばれるブランドになると思います。 このような理由からも、「接客」はEC成功の重要な鍵になると思いますね。