ランチェスター戦略から学ぶネットショップ勝利の法則・第3回(最終回)大局観編
- 2021.04.012022.11.22
こんにちは。EC実践会for futureshop の講師をしています水上 浩一と申します。第1回は「ランチェスター戦略6つの視点・売上高構成比率とキー・プロダクト」についてお伝えし、第2回では「(1)“現場主義”に則った顧客インサイト分析」についてお話させていただきました。
第3回となる今回は(2)“定量データ”に基づいた経営戦略の策定という側面を兼ね備えた「大局観」について説明をさせていただきます。
経営戦略には「全社戦略・事業戦略」があり、その上で「マーケティング戦略」を構築していくのが定石です。全社戦略は「経営理念」や「ビジョンの策定」に関する内容となり、新刊の内容とは異なりますので本記事では割愛させていただきますが、事業戦略については新刊「ネットショップ「勝利の法則」 ランチェスター戦略」(マイナビ出版刊)の中で、
2)バリューチェーン分析
を中心に説明しています。マーケティング戦略については、
を軸に「ターゲットの絞り込み」を中心にして説明しています。
目次
実は活用が難しい3C分析とランチェスター戦略の関連性
3C分析とは、
- Customer(市場・顧客)
- Competitor(競合)
- Company(自社)
という枠組みで、自社の強み・事業環境・競争優位性について分析をしていき、業界の主要成功要因(KSF=Key Success Factor)を明確にしていくことを目的とします。
しかし、3C分析は「言うは易く行うは難し」で、シンプルな故に、それぞれの項目に数多くのフレームワークが存在するため、どれをどのように利用したら良いのか?また利用してどのような問いに対する仮説を導きだすのか?等、非常に高度な分析が必要なフレームワークなのです。
そこで、新刊では、大胆にもランチェスター戦略第二法則と、弱者の戦略と言われている6つの視点と3C分析との関連性についてまとめてみることにしました。特に「自社(リソース)」に対する分析には「一点集中」を適用してみました。
それによって「ビジネス・インパクト」の最も大きい「ブランド化」「顧客インサイト分析」への一点集中について、第二章を丸々割いて説明しています。その他の視点の3C分析への活用は第三書、第四章で解説させていただいております。ぜひ参考にしてください。
バリューチェーン分析で強みとボトルネックを見つける
ランチェスター第二法則をマーケティングに活用した場合の公式は、
となりますが、本書では「(生産性を高めるための)効率化」を自身のビジネスでどのように実装していくか?について検討するためのフレームワークを3つ提示しています。
そのうちの1つが、「バリューチェーン分析で《強み》と《効率化させる場所》を見つける」というフレームで、先ほどの3C分析における「自社の強み」についてバリューチェーン分析を活用して明確化する方法です。
「自社の強み」については、セミナー内のワークショップで受講者の方に分析してもらっていますが、他社のことは客観的な視点を持てるので、鋭い分析ができることがあります。その一方、自社のこととなると客観的な視点を持つのが難しいため、うまく分析できないことがほとんどです。これは私自身に関しても同じですので、分析者がダメだと言っている訳では無く、自社の強みを客観的に分析することはやはり難しいということを示唆しています。
そこで、バリューチェーン分析を活用して、「自社の強み」と「効率化させるポイント」を発見する方法を検討します。
バリューチェーンという概念は、マイケル・ポーターによって提唱されました。ポーターは、企業を分析する際、企業が提供している顧客価値を起点に、それがどのようなプロセスで価値提供に至っているのかを探っていきました。
その結果、価値提供に対して直接的に貢献している機能を「購買物流」「製造」「出荷物流」「販売・マーケティング」「サービス」という5つに分け、
価値を間接的に支援している機能を「全般管理」「人事・労務管理」「技術開発」「調達活動」の4つに分解して考察し、
顧客に提供しているトータルの価値から「9つの活動の総コスト」を引いた値を「マージン」として企業が生み出している価値であると定義したフレームワークを提唱しました。
ここでは価値の連鎖における強みとボトルネックを分析するのが狙いですので、支援活動は割愛し、主活動を本書なりにアレンジして次の6つの項目で分析していきます。
1) 研究開発(R&D)
2) 原料調達
3) 製造
4) 流通・配送
5) 販売・配送
6) サポート
6つの項目において「強みとなる項目」と、「ボトルネックになっているか、ボトルネックになりそうな項目」を抽出して具体化していきます。そして「強み」を具体化することで競合他社との「差別化」を検討していきます。「ボトルネック」を発見した場合は、その解決策を検討していきます。ボトルネックの解決策を検討するフレームワークも新刊で紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
実は、バリューチェーン分析は、3C分析の中でも活用しています。
弱者の戦略と言われている6つの視点の1つ、「差別化」の軸で、先ほどの6つの項目ごとに、「規模の経済(スケールメリット)」が効くか?「範囲の経済(シナジー)」が得られるか?「経験曲線」によるコスト削減が実現するか?を検討しています。
- 「規模の経済(スケールメリット)」とは、一般的には、規模の経済とは、事業規模が大きくなればなるほど、単位当たりのコストが小さくなり、競争上有利になる効果のことです。
- 「範囲の経済」は、既に持っている資源を他事業と共有化することにより、一つの単独事業では実現できないコストメリットの獲得を目指すことです。シナジーとも言います
- 「経験曲線」は、製品の累積生産量が増加するに従い、製品1単位当たりの生産コストが一定割合で減少することを言います。作業スタップの習熟度や作業方法の標準化(マニュアル化)により実現可能となります。
バリューチェーン分析を活用した「規模の経済」「範囲の経済」「経験曲線」による評価は、コスト構造分析の方法の一つです。今回はそれを「差別化」要素として「KSF=Key Success Factor業界の主要成功要因」の明確化を目的に解説いたしました。
狙うべき市場とターゲットを「STP」と「6R」で分析
マーケティング戦略において、「一点集中」の章では、3つの視点を提示しています。
(1)商品の一点集中
(2)市場の絞り込み(一点集中)
(3)ターゲットの一点集中
「(1)商品の一点集中」については、EC実践会独自のフレームワークがあり、そのアップデート版を新刊では初公開しています。(2)市場の絞り込み(一点集中)、(3)ターゲットの一点集中については、マーケティングのセオリーとしてフィリップ・コトラーの提唱した「STP分析」を使っています。
「STP分析」とは、
- セグメンテーション(Segmentation)
- ターゲティング(Targeting)
- ポジショニング(Positioning)
の略です。これは同時にマーケティングの手順を示しています。
- セグメンテーションでは、市場を細分化して市場の全体像を把握します。
- ターゲティングでは、細分化した中から狙うべき市場を決定します。
- ポジショニングでは、競合他社との位置関係を決定、自社の立ち位置を明確にします。
ポジショニングについては、先ほども説明したランチェスター戦略の「差別化」が該当します。「セグメンテーション」や「ターゲティング」を行うときには、同時に「6R」というフレームワークを使うと便利です。「6R」とは
★ Realistic scale(十分な規模かどうか)
★ Rate of growth(成長性)
★ Rival(競合の状況)
・ Rank(優先順位)
・ Reach(到達可能性)
・ Response(測定可能性)
特に★をつけた3つがここでは重要です。新刊では特に「Rate of growth(成長性)・Rival(競合の状況)」について要所要所に様々な形で触れていますので、ぜひご活用ください。
「Realistic scale(十分な規模かどうか)」の視点は、「市場規模・一人当たりの消費量」という2つの視点があります。
・市場キャパシティ(市場自体の売上規模、ネットショップにおける売上規模感)
・ターゲットキーワードの月間平均検索数(ネットショップにおける集客数を予測する指標)
・ターゲットキーワードのなかでも、特にビッグキーワードの属性分散性があるか?
・消費額(1回の購入でどの程度の金額を支払ってくれるか?)
・消費期間(平均的にどのくらいの期間需要があるか?利用頻度があるか?)
この2つの指標を見るということはつまり、「LTV(Life Time Value:ライフタイムバリュー)顧客生涯価値」を指標として分析することになります。新刊ではこれらのフレームワークを活用して、「シニアファッション」における具体的な市場分析を行っていますので、ぜひ参考にしてください。
最後に
新刊「ネットショップ「勝利の法則」 ランチェスター戦略」(マイナビ出版刊)の内容を、3回に渡り解説させていただきました。本記事だけでもかなりのボリュームがありますが、新刊で具体的な事例解説と一緒にお読みいただくと、さらに理解が深まるかと思います。ぜひ、お手にとっていただき、ネットショップの売上・利益のアップにお役立てください。ありがとうございました!
セミナーで新たな発見&事例を公開します!
新刊の5章で説明していまる「売上高構成比率」に関しては第1回の記事でお伝えさせていただきましたが、この3月に新たな事例が誕生いたしました。
新刊執筆時点では発見出来ていなかった新しいパラメータ(変数)について、4月15日のセミナーで最新事例と共にご紹介させていただきます。事業戦略、マーケティング戦略を策定するのに非常に効果的かと思いますので、ぜひご期待ください!
本記事を更に深める内容の水上 浩一氏を講師「ランチェスター戦略」セミナーレポートは近日公開
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