Instagramが実現する「発見型コマース」とは?ショップ機能の活用法を解説
- 2021.04.162024.01.30
※本記事はFacebook Japanのコマース事業部 丸山さまより寄稿いただきました。
こんにちは。Facebook Japanのコマース事業部でIndustry Managerをしています、丸山 祐子です。
新型コロナウイルス感染症の影響でデジタル化への注目が高まり、これまで以上にECビジネスへの注力や、新たにECに取り組んでいる企業が増えています。弊社が昨年実施した調査では、これまで実店舗で購入していたものをオンラインで買うようになったと回答した国内消費者は1.6倍(※1)と大きく増加しました。コロナ禍の影響は当面続くものと思われ、このような消費行動の変化は今後さらに加速するでしょう。
ECを運営される読者の皆様にとって、オンラインショッピングを楽しむ消費者が増えるのは歓迎すべきトレンドです。しかし一方で、自社商品をより多くの消費者に見つけてもらうことが、売上を伸ばすための命題となっていると思います。
Instagramの強みは、そのような課題解決にこそあります。今回は、Instagramが実現する「発見型コマース」について紹介するとともに、EC事業者の皆様にぜひ活用いただきたい最新機能「ショップ機能」についてご説明します。
商品が顧客を見つける?Instagramが実現する「発見型コマース」
まず、従来のオンラインでのショッピング体験では、「買いたいものが既に決まっている」状態で、検索によって最短時間で目的の商品にたどり着くことができるECサイトが便利と考えられていました。
ただ、この方法では消費者が既に知っている商品や、欲しいと思っている商品にしか出会うことができません。さらに、単純に買い物を楽しみたいという、ウィンドーショッピングのような漠然としたニーズも満たされないと言えます。
そこで、新規顧客を開拓したいときや、嗜好品を扱っているビジネスが、オンライン上で消費者に自社商品を発見してもらうためには、前述の「発見型コマース」が有効だと考えています。
「発見型コマース」とは、消費者が(既に知っている・欲しい)商品を検索するのではなく、欲しいものとの偶発的な出会いを生み出すことで「商品が顧客を見つける」という考え方です。
この差について例を用いて簡単にご説明します。
春物の新しい洋服が欲しいとき、従来のショッピング体験では、以下の左図のように、ECサイトで「シックなトップス」と検索します。ただ、この場合、買いたいアイテムは決まっていても、検索したECサイトで扱っていないブランドとの出会いは見込めません。また、そもそもECサイトを訪れてもらわないことには、自社商品を発見してもらうこともできません。
一方でInstagramは、個々の利用者の興味関心をもとに関連性の高い投稿や広告をパーソナライズして表示する仕組みです。そのため、いつも利用しているECサイトの出店状況やブランドの認知に関わらず、自社ブランドに興味を持っている消費者に商品を発見してもらうことが可能です。また、右図のようにフィード投稿のタイムラインに流れてきた投稿を通じて、消費者がECサイトを訪問せずとも商品を発見することができます。
このように、「発見型コマース」のポイントは消費者が欲しい商品との偶発的な出会いを生み出すことです。ではなぜ、そんなことが可能なのでしょうか。
Instagramをはじめ、弊社が提供するファミリーアプリは全世界で32億人に利用いただいています。利用者の皆様がどのような投稿や広告に興味を示しているのか、様々なアクションデータを機械学習することで、一人ひとりに最適化したコンテンツが表示されるような仕組みを構築しています。
さらにこのFacebook社の持つビッグデータに実店舗の購入状況など企業が自社で所有するデータを掛け合わせることで、精度はさらに高まります。「発見型コマース」は、Instagramだからこそ実現可能な新しいコマースのあり方なのです。
発見から購入までをシームレスにつなぐInstagram
ここからは、自社商品を発見してもらったあと、ECサイトへのトラフィック増加や売上の向上にInstagramが貢献できる理由についてご説明します。
ポイントは…
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- 認知と同時に「欲しい」を生むことができること
- シームレスにECサイトに送客する機能を備えていること
上記2つです。
まず、1つ目の認知と同時に「欲しい」が生むことができることについて詳しくご説明します。
利用者にとってInstagramは、友人や家族など大切な人と交流するための場所であると同時に、商品やブランドなど「好きなもの」と繋がるための場所でもあります。実際、利用者の90%が何らかのビジネスアカウントをフォロー(※2)しています。
また、前述の通り、Instagramは利用者ごとの興味関心に合わせて投稿や広告を表示しています。好きなものに関する情報を得たいと思う利用者に、関連度の高い情報をパーソナライズして表示することで、アクションに結びつきやすい仕組みを実現していることが、Instagramの強みです。
自身と関連度の高い商品に触れる、すなわち認知した瞬間に「自分ごと」になり、「欲しい」という気持ちが生まれます。言い換えると、たまたまフィードに流れてきた広告で紹介されている商品が目に留まり、そのまま購入したというように、アクションが起こりやすいのがInstagramだというこです。実際に弊社の委託調査でも、国内利用者の83%が「Instagram上の投稿がきっかけで行動を起こしたことがある」と回答しており、即時でない場合も44%が「ブランドサイトやECサイトなどで後日、商品確認や購入をする」と回答しています(※3)。
2つ目のポイントは、シームレスにECサイトに送客ができる機能を備えていることです。
2018年に国内で導入した「Instagramショッピング」は、自社のECサイトで販売する商品情報を投稿にタグ付けすることが可能な機能です。投稿内のショッピングタグをタップするだけで、利用者はアプリ内で商品名や価格などの詳細を閲覧することができるため、商品の購入検討までをInstagram上で簡単に行うことができます。そして商品を購入したい場合は、商品詳細ページから1タップで外部ECサイトに遷移することが可能です。
▼ futureshop 「Instagramショッピング機能 (Facebookカタログ連携)」
ちなみに日本の利用者は、このようなショッピングタグが付いている投稿から商品詳細を見る割合が他国に比べて約3倍(※4)と高く、Instagramで商品を発見して購入検討するというアクションを積極的にとっていることが分かっています。
注目の最新ツール「ショップ機能」とは?
Facebook社は昨年、コマース領域にさらに注力すべく、「ショップ機能(Facebookショップ機能)」の提供を開始しました。
前述の機能は、個々の投稿にショッピングタグを付けることで、アプリ内での購入検討から外部ECサイトへの送客を促していました。「ショップ機能」は、Instagram上にショップを開設することで商品を一箇所に集約し、リッチな見せ方で訴求することができるものです。
ショップは、Instagramの自社プロフィール画面に設置される「ショップを見る」というボタンから訪れる仕組みです。フルスクリーンで表示され、複数の商品をまとめてコレクションとして表示したり、UIの色を変更したりすることもできるため、ブランドの世界観を表現しやくなっています。特にコレクションは、利用者が商品を探しやすくなるだけでなく、例えば新シーズンの商品や、アイテム別、ブランド別、ライン別にまとめることで、注力商品や関連商品をより発見してもらいやすくなるなどの効果も見込めます。
ショップ機能は、Instagramだけでなく、Facebookも併用したいという場合にも適しています。従来はプラットフォームごとに異なる機能を個別に運用する必要がありましたが、今後はUIが統一された共通のショップを「コマースマネージャ」で管理して運用をすることができます。
従来の機能と同様に、ショップ機能も自社のECサイトを持つ企業で、弊社の定める要件を満たしているビジネスであれば無料でお使いいただけます。もちろんSaaS型ECサイト構築プラットフォームfutureshop「Instagramショッピング機能」でも連携可能です。設定方法については、Instagramの公式ビジネスサイトにて詳細をご確認いただけますので、是非ご覧ください。
Instagramでは、プロフィール画面のショップやショッピングタグをつけた投稿の他にも、利用者に商品を発見してもらいやすいような機能の導入を進めています。
昨年10月にアプリ画面のデザインを一部変更した際には、利用者ごとにパーソナライズした商品やコレクションを表示する「Instagramショップ」専用のタブを設置しました。新しいブランドや商品との出会いを求めてInstagramを訪れる利用者が、ウィンドーショッピングするような気分でタブを開き、偶発的な発見を楽しむことができる仕組みです。
まとめ
いかがだったでしょうか。Instagramが皆様のECビジネス成長に役立つポイントをまとめると、以下に集約されます。
- 消費者のニーズや行動様式が変化する今こそ、発見型コマースを取り入れ、自社に興味を持ってくれる顧客に商品を発見してもらおう
- 商品の発見(認知)と同時に「欲しい」が生まれるInstagramなら、アクションによりつながりやすくなる
- ショップ機能を活用し、ECサイトへのトラフィック増加や売上アップを目指そう
Instagramを活用してECビジネスの目標を達成するためには、ご紹介したような機能をフルに活用いただくことに加えて、顧客と継続的にコミュニケーションを取り、自社のファンを増やすことが非常に重要です。日々の投稿を通じてブランドの世界観や商品の魅力を発信し、顧客と積極的に交流することで、より多くの利用者に投稿を発見してもらったり、ショッピングタグを活用した投稿のエンゲージメントを向上させることができます。
次回は、顧客と交流するためのヒントを交えながら、Instagramライブを活用したライブコマースの実践方法と、昨年8月に導入した最大30秒の短尺動画を作成できる新機能「リール」や長尺動画のIGTVなどの動画機能を活用したコマースについてご紹介いたします。
※1 IPSOS「Tracking the Coronavirus」(日本の18~75歳2,000人、2020年4月16日~19日)
※2 Instagram内部データ(グローバル、2019年10月)
※3 IPSOS Instagram国内ユーザー調査 (弊社委託による調査、2018年10月 n=1523)
※4 Instagram内部データ(日本、2020年9月)
2013年5月Facebook入社。ブランディングを主目的とする消費財、 小売チームとダイレクトレスポンスを主目的とするコマース、旅行業界のClient Solutions Manager, Lead を経て現職
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