【イベントレポート】創業110年の老舗がライブコマースを実演!&温泉街コスメの窮地を救ったライブ配信のコツとは?

ライブコマースセミナーのメイン画像

ライブコマースって実際、日本でどうなの? 中国で爆売れしてるらしいけど、日本では浸透してないよね。」と思う方も多いかもしれませんが、実は日本でも小さな広がりを見せ始めています。

その現状と可能性をお伝えすべく、2024年9月6日、大阪産業創造館セミナーイベント「大阪から世界へ ライブコマースで広げる販路拡大の可能性」が開催されました。

創業110年の老舗豆菓子メーカー「楽豆屋」と、コロナ禍で窮地に陥った温泉街のスキンケアブランド「姫ラボ」が、新たなチャレンジとして始めたライブコマースの成果を中小企業向けに公開。会場ではライブ配信の実演もあり、参加者の方々は「これなら自社でもできそう!」と目を輝かせていました。

大阪産業創造館さまとの共催イベントを開催

このイベントは、関西の中小企業がビジネスチャンスを掴むためのプロジェクト「O-TEX2025」の一環として開催されたもの。主催は大阪産業創造館さまで、会場にはライブコマースへの関心が高い事業者やマーケティング担当者の方々にお集まりいただきました。

▼大阪産業創造館イベント詳細ページ
【O-TEX2025】<販路拡大セミナー>
大阪から世界へ ライブコマースで広げる販路拡大の可能性

ここで遅ればせながら、自己紹介を。フューチャーショップの稲生と申します。

筆者である稲生のプロフィール画像

私自身がこの2年ほど、Live cottageという自社ライブコマースツールをお伝えしていきながら、数々の事業者さまに関わらせていただき、現場で生の声を聞く中で、ライブの面白さと可能性を感じるようになっていました。

そしてイベント当日も、登壇者の話を聞くうちに、「やっぱりライブ配信って、可能性があるなぁ……」と改めて実感。この記事では、イベント当日の様子や、ご参加者の方々からいただいた感想などをお届けしていきます。

第一部:ライブコマースの日本における意味と役割

まずは、私が登壇させていただいた「ライブコマースの基礎知識」のセッションからスタート。ここでは、「ライブコマースって何?」という基本的な解説から始まり、「SNSライブ」と「自社ライブ」の違い、さらには「中国」と「日本」での活用背景の違いについてもお話ししました。

稲生からライブコマースの基本を紹介

特に強調したのは、「ライブコマースは短期的な売上向上の手段ではなく、お客さまとの関係性を感じながら、出演者と視聴者の双方が楽しむことで信頼関係が築かれていく場でもある」という点。この信頼関係が、回り回って新規顧客の獲得やリピート購入にもつながっていくことを、事例を交えて解説しました。

そしてまた「ライブコマース」と聞くと、いわゆるバナナの叩き売りのような「ライブ中に買わないと損だよ〜!安いよ安いよ〜!」と、いかにライブ中に売るかを意識しがちですが、ライブ中に生まれる衝動買いは、それほど多くは発生しません。(極端な安売りをライブ限定でやるなら話は別ですが……)

では、どこで売上が生まれるのか? Live cottage のご利用店舗さまでは売上の多くは、アーカイブ配信の積極活用により生まれています。「アーカイブ経由の売上」が「ライブ配信経由」の10倍以上というケースも珍しくありません。

稲生のセミナーの様子。ライブの様子をプロジェクターに映しながら解説した

参加者の方々は、熱心にメモを取りながら聞いてくださり、「なるほど、こういった形で活用ができるのか、とイメージできました。」との感想をアンケートでいただきました。私としても、「これからライブ配信に挑戦してみたい!」という気持ちが芽生えるきっかけになったことを感じ、嬉しい限りでした。

第二部-前半:ライブコマースの活用状況とインバウンド需要

続いての第二部では、株式会社ユウキノイン代表取締役の酒匂さまが登壇。大阪産業創造館 経営相談室 経営サポーターでもある酒匂さまから、中小企業におけるライブ配信の活用状況、増加傾向にあるインバウンド需要の、その奥にあるニーズの調査方法を実体験から解説。参加者からは「そんな方法があったとは……」と驚きの声があがっていました。

ユウキノイン社・酒匂さまご登壇の様子

第二部-中盤その1:ライブコマースの実演

ここでいよいよ、創業110年の老舗「楽豆屋」の北野さまによるライブ配信の実演へ。実演前に、ライブ実施の背景などをお伺いした後に……

楽豆屋さまに、ライブ実施の背景などをお伺い

会場の一角に設置された配信ブースに、北野さまがスタンバイ!

楽豆屋さまがスタンバイ

参加者が配信ブースの周囲を囲み、北野さまを見るわけではなく、手元のスマホを見ているという異様な雰囲気に。(スマホでライブ視聴画面を見ながら、チラチラと北野さまを見る状況)

楽豆屋さまのライブを見学

北野さまはライブ配信に慣れているとはいえ「こんなに囲まれながらライブをやるのは初めて」と少し緊張されていました。しかしライブが始まればいつもの軽快なトークで、コメントにリアクションをしながら場を盛り上げていきます。この状況で……さすがです!

当日のライブの様子。コメントで感想や質問が寄せられている

参加者からは「商品説明だけでなく、豆菓子の魅力や製造過程の裏話まで語られると、思わず買いたくなってしまう。食べてみたくなる。」との声が自然とあがっていました。

私は陰ながら、会場のご参加者さまに聞こえるようにとマイクを持ってサポートしていましたが、あの声量なら必要なかった気がする……

楽豆屋さまのライブコマースは、セール開催時の配信だけでなく、ゲリラライブの実施や、趣味の野球トーク配信等で、お客さまといっしょに楽しみながら関係性を深められています。詳細は、以前のインタビュー記事をご確認ください!

楽豆屋インタビュー ライブコマース

創業110年の豆菓子をライブコマースで販売!テレビショッピングで学んだ“売れる配信術”【食品・楽豆屋】

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第二部-中盤その2:ライブコマースの活用事例解説

島根の玉造温泉街から生まれたスキンケアブランド「姫ラボ」の神門さまからは、ライブ配信を長らく続けている意図とこれまでの経緯についてご説明をいただきました。

「姫ラボ」神門さま登壇のご様子

姫ラボさまは、コロナ禍での観光客激減を機にライブ配信を開始し、「地域の魅力を伝えながら商品を販売する」というスタンスで、温泉街の街ぶらライブ配信や、地元島根の事業者さまをゲストにお迎えする形の番組を持つなど、独自の配信スタイルを確立されています。

視聴者の方々からは「島根に行ってみたい」「ライブで見た商品を買いたい」といったポジティブな反応が寄せられるようになり、既存のお客さまとのコミュニケーションが活発に。そういった地道な配信活動を継続してきたことで、EC売上アップや新しいお客さまとの出会いが生まれていく流れがあり、そのストーリーに会場からは大きな反応がありました。姫ラボさまに関しても、以前にインタビューさせていただいた記事がありますので、よろしければご確認ください。

[日本のライブコマース事例]温泉街から配信!ファンが集まる人気ライブの作り方【化粧品・姫ラボ】

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第二部-後半:パネルディスカッション

最後に行われたパネルディスカッションでは、登壇者全員が集まり、それぞれのライブ配信の経験談や成功の秘訣を披露。

パネルディスカッションの様子

楽豆屋の北野さまが「お客さまをお友達のように感じながら配信しています。」と話した言葉には、姫ラボの神門さまも大きくうなずき、「私も本当にライブしてるのが楽しくて」と、ライブ出演者同士だからこそわかる感覚を共有して、盛り上がっておられました。

姫ラボの神門氏が「スタッフ全員でチームのように、それぞれの得意分野を活かしてライブ配信を実施している。」というスタンスには、私も気付きを得ました。社内の一部の人間だけがライブに関わる形にするのでは、社内での温度差が生まれ「私には関係ない」となったり「私ばかりが大変な想いをしている」となってしまう。

そうではなく、出演するしないに関わらず、全員がいっしょにライブを作り上げる一員なんだと思えるような関わりを意識されていることが、姫ラボさまの配信が長く続き、ファンが生まれている要因なのだと感じさせられました。

中小企業がライブ配信をする意味と目的とは?

EC事業者への日常的なお問合せ内容は、その多くが「困り事やトラブル」に関する連絡です。ところが、ライブ配信を実施することで普段は可視化されにくい「お客さまが喜ばれている声」がコメントとして確認することができるようになり、会社全体の士気が向上する効果があります。

また、そのコメントは単なるコメントではなく、ECサイトで最も重要といってもいい「レビュー」と同様の効果をもたらします。コメントを見た視聴者が「え、そんなにいいの?」「じゃあ、私も買ってみようかな」と、間接的に購買意欲を高めていきます。

さらにライブ配信だけで完結するのではなく、アーカイブをECサイト内に埋め込む「二次活用」により、CVアップを実現していきます。ライブの二次活用までを視野に入れると、ライブ配信の実施は、すなわち「CVアップにつながる動画コンテンツを生み出している」という二重の意味を持ちます。さらには動画をYouTubeにアップすることで、YouTubeからの新たな顧客導線も生まれます。

たしかにライブ配信は、事前準備や人員のリソースが掛かります。だからこそ、ライブコマースはライブ配信だけで終わると、非常にもったいない。コメントが入った動画のレビュー効果や、二次活用、さらに中長期的なファン育成の視点を持つことで、本当のライブコマースの意味が見えてきます。

さらにライブ施策を継続する上で重要となるのが成果確認です。「Live cottage」は、ライブ配信やアーカイブ動画の成果が確認できます。「視聴者数の推移」「入室/退室状況」「商品クリック数」等を確認することができ、EC売上への貢献状況も確認可能です。

Live cottageによる分析画面

サービス詳細は、ウェブサイト( https://www.livecottage.jp/ )よりお気軽にお問い合わせください。

参加後のご感想「興味はあるけど大変そう」から「やってみたい」に。

イベント終了後、「ライブコマースを活用するイメージができた」「目の前で実演を見ることができたのがよかった」など、様々な声をいただきました。参加者の方々からさまざまな感想が寄せられました。一部のコメントをご紹介します。

「ライブコマースの疑問が8割解決しました!」

「これなら自分たちでもやってみたいと思いました。」

「他社の成功事例を聞くことで、自社での導入のヒントを得られました。」

「ライブ配信を取り入れることで、顧客との距離が近くなる可能性を感じました。」

ご参加者さまの人数は想定の200%。イベント後のアンケートではご満足度100%のイベントとなりました。

■楽豆屋の北野さまよりコメント

いつもは事務所でスタッフと配信しているので、参加者の方々に囲まれながらのライブは初めての新鮮な体験でしたが、みなさんに「これぐらいカンタンに取り組める」ということをお伝えできてよかったです。ライブ仲間が増えていくことを願っています。楽しんでやっていきましょう!

講演中の北野さま

■姫ラボの神門さまよりコメント

まだまだお伝えしたいことはありましたが、「配信への出演には抵抗があるスタッフもいるので、そういったスタッフには、配信で使う小道具の準備をしてもらったり、配信の企画を考えてもらう等で、なんらかの形でライブ配信に全員が関わる状況をつくっている」という話が響いたと言っていただけてうれしいです。

姫ラボ 神門さま

イベントにご参加いただき、誠にありがとうございました!

この度は、イベントにご参加いただき、誠にありがとうございました。今後もフューチャーショップは「Live cottage」を通して、ライブ配信を通じたお客さまとのコミュニケーションが広がる未来に向けて、様々な事業者さまとのコラボレーションや活用ノウハウの提供に取り組んでまいります。

自社ライブコマースツールの「Live cottage」とは

「Live cottage」は、ライブ配信やアーカイブ動画からの購入導線を設置し、EC売上への成果状況を確認できるシステムです。

ライブ配信は配信後の振り返りにより、配信内容をブラッシュアップをしていく必要があります。成果を判断できる指標が確認でき、動画の二次活用も含めて施策が展開できることで、CVアップとファン育成の両面からライブコマースに取り組むことができます。

Live cottage入退室状況データの表示例。

サービス詳細は、ウェブサイト( https://www.livecottage.jp/ )よりお気軽にお問い合わせください。

ライブコマース成功事例インタビュー

イーコマースマガジンでは、他にもライブコマースに取り組まれている企業さまをインタビューしています。こちらもぜひご覧ください。

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