「通販サイトをオープンさせたものの、集客できていない」
「売上アップにつながる具体的な施策が知りたい」
といった悩みは、通販サイトの運営担当者の方に起きがちです。
通販サイトを成功させるには、自社に最適な集客施策を「SEO対策」や「リスティング広告」などから選んで実行する必要があります。自社の「商品タイプ」に応じた集客方法を採用すれば、売上アップにつながる可能性が高いです。
本記事では「集客方法の種類」と「最適な集客方法の選び方」を中心に解説します。
目次
通販サイトの集客方法とは
通販サイトにおいて売上をアップさせるには、「人に来てもらう集客施策」が重要です。
サイトがオープンしても、訪問者がいなければ売上は見込めません。特に自社サイト(本店サイト)は「楽天市場」や「Amazon」のようなモール型のプラットフォームと異なり、自社で集客する必要性が高いです。
通販売上は「アクセス数×転換率×客単価」の方程式で計算します。集客は方程式のなかの「アクセス数」を上げることを指します。
つまり、お客様に「見つけてもらって来てもらう方法」が通販サイトの集客施策です。
集客方法の種類
集客方法には幅広い種類があります。なかでも通販サイトの集客でおすすめなのは、以下の6種類です。
- SEO対策
- ショッピング広告
- リスティング広告
- アフィリエイト
- SNS運用
- SNS広告
各集客方法の概要と運用ポイント、注意点について解説します。
SEO対策
SEO対策は「Google」や「Yahoo!」などの検索エンジンに最適化させて、自然検索の流入を狙う集客方法です。検索エンジンの検索結果において、自社サイトのコンテンツが特定のキーワードで「上位表示されること」を目的としています。
SEO対策を行う際は、以下のポイントを押さえると効果的に運用できます。
- 検索ボリュームが多く、かつ競合が少ないワードの調査
- タイトル・ディスクリプションタグの最適化
- サーチコンソールでのサイトマップ送信
- ページ表示速度の改善
- 関連ページなどの内部リンクの最適化
- コンテンツの質の向上
- 動画を取り入れたコンテンツ作り
- アクセス数増加を目指す
なお、SEO対策は「Googleコアアップデート」と呼ばれるアルゴリズムの変動により、検索結果の順位が急に落ちる可能性があります。順位変動を注視しながら、都度対策が必要です。
また購入につながるキーワードで上位表示させなければ、売上向上が期待できません。そのため「○○ + 購入」「○○ + おすすめ」といった「Buyクエリ」で検索数が多く、競合が少ないワードを探して対策する必要があります。
さらにSEO対策に即効性がないため、成果が出るまで時間がかかる点に注意が必要です。
ECサイトのSEO対策に関しては、以下の記事でも詳しく紹介しています。併せてご確認ください。
自社ECのSEOを正しく理解していますか?すぐに実行できる7つの施策や対策を徹底解説【セミナーレポート】
ショッピング広告
ショッピング広告は、商品を検索したユーザーに対して商品の詳細情報を表示できる広告です。商品名や画像、価格が表示できるため、ユーザーの購入意欲を刺激できます。
ユーザーが広告をクリックした場合のみ費用が発生するため、広告の費用対効果が柔軟に管理可能です。特にスマートフォンユーザーに効果的にアプローチできます。
ショッピング広告は、以下のポイントを押さえると効果的に運用できます。
- Googleショッピング用の項目を欠かさず埋める
- 無料枠と有料枠を使い分ける
- 商品が鮮明に写っている画像を使用する
- 商品名の最初の15文字を工夫する
- 検索に有効なワードを商品名・説明文に盛り込む
なお、競合が多い場合は「クリック単価が高くなる」「広告が掲載されにくくなる」などの点に注意が必要です。またキーワード選びを間違えると、購入意思の低いユーザーが流入するリスクがあります。
リスティング広告
リスティング広告は、特定のキーワードで検索したユーザーに対して表示されるテキストベースの広告です。ショッピング広告同様、クリックされた場合のみ費用が発生します。SEO対策で上位表示するのが難しい場合でも、リスティング広告の活用により上位表示が可能です。
リスティング広告の運用を検討している場合、狙いたいキーワードで検索すれば「どんな会社が広告を出しているか」がわかります。また「どのキーワードでいくら使って、いくらの売り上げが出たのか」が把握できるため、費用対効果がわかりやすいのが特徴です。
クリックされるごとに費用が発生するため、効果的なキーワード選定が重要です。
なお、検索結果画面にショッピング広告なども表示されるため、以前と比べると効果が出にくくなっています。また、選択するワードによっては費用対効果が合わないケースがあるため注意が必要です。
アフィリエイト
アフィリエイトは、アフィリエイターに商品を紹介してもらう方法です。ASP(アフィリエイトサービスプロバイダー)に支払う「月額費用」と、アフィリエイターに支払う「成果報酬」を払う必要がある一方で、複数のサイトに紹介してもらえます。
アフィリエイトは、以下のポイントを押さえると効果的に運用できます。
- アフィリエイター側で登録し、競合他社の出稿状況や条件を確認する
- 媒体社にどのくらいの成果が出ているかを確認する
- 自動承認せず、成果を確認したうえで承認する
- 広告出稿をはじめとしたルールを明確に記載する
- 商品の特徴や強み、バナーなどの情報を提供する
- 媒体社と積極的にコミュニケーションをとる
なおアフィリエイトは、アフィリエイターの質によって成果が左右されます。場合によっては、成果が出ないにもかかわらず月額費用だけがかかるケースもあるため、注意が必要です。
SNS運用
SNS運用は、X(Twitter)やInstagram、LINEなどのSNSを通じてターゲット層とコミュニケーションを取りながら、商品を紹介して購買につなげる方法です。無料で始められるため、成功すれば費用対効果が高いマーケティング手段になります。
SNS運用は、以下のポイントを押さえると効果的に運用できます。
- テーマを決めて定期的に発信する
- ハッシュタグを活用する
- 関連するアカウントをフォローする
- コメントやタグ付け、メンションにできるだけ早く返信する
- プロフィール欄を埋める
- フォローキャンペーンを活用する
なおSEO対策と同様、効果が出るまで時間がかかる点に注意が必要です。
SNS広告
SNS広告は、SNSのプラットフォームで表示される広告です。リスティング広告やショッピング広告と異なり、検索していないユーザーにもアプローチできるのが強みです。画像や動画でアピールできて訴求力が高く、衝動買いも狙うことができます。
SNS広告は、以下のポイントを押さえると効果的に運用できます。
- SNSの種類を絞って成果が出るように運用する
- 質の高いクリエイティブを制作する
- 出稿先ごとに画像サイズや文字数などを最適化する
- 動画の活用も視野にいれる
なお、SNS広告には「ビュースルーコンバージョン」の有無などがあるため複雑です。また「広告の出稿先選び」や「効果測定や改善」などが必要なため、運用に慣れるまでは労力がかかる傾向があります。
自社に最適な集客方法の選び方
自社に最適な集客方法を選ぶには、自社の商品のタイプを把握する必要があります。商品タイプは、以下の4種類に分類できます。
- 型番・有名ブランドタイプ
- オリジナルタイプ
- ギフトタイプ
- ニッチタイプ
商品タイプごとに特徴や適した集客方法を解説します。
型番・有名ブランドタイプ
型番・有名ブランドタイプは、商品に知名度がありニーズがあるタイプです。競合が多く、価格と品ぞろえで競争する傾向があります。
価格規制があるケースが多いため、まずはクーポンやポイント、会員価格などの特別な割引で顧客を獲得します。そして、メールマガジンやLINE公式などでリピートに持ち込む販売方法がおすすめです。自社商品やセット商品を紹介し、利益獲得を狙う方法もあります。
商品数が多くなるため、通販サイト内で探しやすい工夫をする必要があります。例えば「商品のカテゴリ分け」や「商品検索機能の改善」などです。
適している集客方法は、以下の表のとおりです。
SEO | ショッピング広告 | リスティング広告 | アフィリエイト | SNS運用 | SNS広告 |
○ | ◎ | ○ | × | △ | ○ |
型番・有名ブランドタイプは、ショッピング広告やリスティング広告(指名)が適しています。商品によっては、競合に巻き込まれにくいSNS広告も効果が出る可能性があります。
オリジナルタイプ
オリジナルタイプは、知名度がないため一般ワードでの露出が適しています。ファン作りをコツコツ進めるのが適しているタイプであり、食品やアパレル、コスメ、雑貨などが該当します。
買う理由作りが必要であり、レビューをはじめとした口コミも重要です。「会社概要」や「商品にかける思い」などを記載し、初めて商品を知った方の購買意欲を刺激する販売方法が効果的です。
また、クーポンなどで訴求力を上げながらリピートを狙うためには「会員登録」は必須となります。認知度を上げて指名検索が取れるようになると、さらに効果的です。
なお、マイナス要素があった場合はすぐに離脱される可能性があります。そのため、注文受付後もメール対応や発送などには気を抜かずに対応する必要があります。
SEO | ショッピング広告 | リスティング広告 | アフィリエイト | SNS運用 | SNS広告 |
○ | ◎ | ○ | ○ | ○ | ◎ |
オリジナルタイプは、ショッピング広告やSNS広告が適しています。SEOやSNS運用も、少しずつ効果を発揮する傾向があります。「入口商品」を作ったのちに広告をかけるのが王道の流れです。
ギフトタイプ
ギフトタイプは、需要がある時期に一気にボリュームが伸びる一方で、イベントが終わった途端に終わってしまう傾向があります。出産祝いや結婚祝い、Xmas、母の日に関連する商品が該当します。
年間イベントを把握し、イベントに向けて商品・ページを準備して露出する販売方法が効果的です。ギフトのため、ラッピングをはじめとした贈り物に重要な要素は、外さずに対応する必要があります。リピートを狙った「オフライン施策(DM)」や「メルマガ施策」なども取り入れましょう。
なお、ギフトの内容次第ではリピートが難しいため、自分買いも狙えるとさらに効果的です。
SEO | ショッピング広告 | リスティング広告 | アフィリエイト | SNS運用 | SNS広告 |
○ | ◎ | ○ | ○ | △ | ○ |
ギフトタイプは、ショッピング広告やリスティング広告が効果的です。SEOも少しずつ効果を発揮する傾向があります。目的買いのケースが多いですが、選択肢を増やせるSNS広告の運用も視野に入れましょう。
ニッチタイプ
ニッチタイプはターゲットが絞られているため、需要がある層に認知させることができれば強いのが特徴です。建築資材・工具・ランドセルなどが該当します。
ターゲットに接点が作れれば、先述した3タイプの「型番・有名ブランドタイプ」「オリジナルタイプ」「ギフトタイプ」のいずれかの動きに転じます。業界用語だけでなく、一般ユーザーでもわかる文言を使用しましょう。リピート獲得のために、会員登録を促しておくと効果的です。
適している集客方法は以下のとおりです。
SEO | ショッピング広告 | リスティング広告 | アフィリエイト | SNS運用 | SNS広告 |
◎ | ◎ | ◎ | △ | ○ | ○ |
ニッチタイプは、リスティング広告やショッピング広告、SEO対策は進めておくとよいでしょう。SNSとアフィリエイトは、扱う商品によって効果に差があります。
集客が進んできたら
自社の商品タイプに適した集客方法を実施し、集客が進んできたら「カスタマージャーニー」に合わせて、自社に足りない集客も行っていきましょう。
引用:ACADEMY 集客施策セミナー
広告費用の考え方
広告は、評価できる指標(KPI)を必ず立てたうえで運用しましょう。評価できる指標は、おもに「コンバージョン単価(CPA)」と「広告費用対効果(ROAS)」の2つです。
コンバージョン単価(CPA)
広告費用の効果を求める際に「目標CV単価以内か」「目標CV超過か」によって、必要な対応が異なります。
効果を求めるのに必要なのは「コンバージョン単価」と「目標コンバージョン単価」です。
コンバージョン単価は「広告費 ÷ 広告経由CV数 = コンバージョン単価」で求めます。一方、目標コンバージョン単価は「客単価 × 変動利益率 × 平均リピート率」で計算します。
算出結果を以下の表と照らし合わせ、数字が「目標CV単価以内」と「目標CV超過」のいずれに該当するか確認しましょう。
引用:ACADEMY 集客施策セミナー
目標CVを超過している場合は「クリック単価を下げる」「ワードの選択を変える・除外する」などの方法で調整します。
目標コンバージョン単価以内で獲得できるように運用し、目標以内であれば予算を上げて運用しましょう。
広告費用対効果(ROAS)
客単価が一定でない場合、広告費用対効果(ROAS)の目標を立てれば利益が出るように運用できます。
広告費用対効果(ROAS)は「売上 ÷ 広告費 × 100」の計算式を用いて求めます。ROAS100%の場合、売上と広告費に差がありません。200%の場合は、広告費の2倍の売上となります。平均粗利率から目標を立てましょう。
以下の計算から、広告費用対効果(ROAS)の重要度を見てみましょう。
引用:ACADEMY 集客施策セミナー
CPAが1,000円で目標に達していたとしても、客単価がさまざまな場合は薄利多売を生む可能性が出てきます。そのため、ROASによる制御が必要となります。
広告費率について
複数の広告媒体を運用すると、重複コンバージョンが発生します。そのため、広告比率も測定する必要があります。
広告比率の目安は、総売上の5%~10%程度です。利益率などによって変わるため、自社の適正を見極める必要があります。また、外注している場合は手数料も含めて適正値に収めましょう。
まとめ
通販サイトの集客に活用できる集客方法には、多くの種類があります。自社の商品タイプが「型番・有名ブランドタイプ」や「オリジナルタイプ」「ギフトタイプ」「ニッチタイプ」のいずれであるかを把握したうえで集客方法を選べば、通販サイトの売上向上につながります。
本記事で紹介した集客方法の選び方を参考に、自社通販サイトの売上アップを目指しましょう。