IT導入補助金2024の内容や申請手順を解説!ECサイト制作ソフトウェアは対象外に?

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ECサイトの構築などにかかった費用の一部を、補助金として受け取ることができる「IT導入補助金」。2024年2月中旬頃から申請受付が開始されます。企業の生産性向上やDXなどの取り組みを対象として、最大450万円が補助されます。

本稿では「IT導入補助金2024」の内容や申請手順のほか、応募枠の種類や申請の注意点についても解説します。ただし2024年版は制度変更に伴い、「ECサイト制作」機能を有するソフトウェアについては補助金の対象外となりますのでご注意ください。

【この記事では、以下のことが分かります】

  • IT導入補助金2024の概要
  • 補助金申請の条件
  • 補助金申請の手順
  • IT導入補助金2024の注意点
  • ECに関連する他の補助金

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    「IT導入補助金2024」とは?

    IT導入補助金2024(サービス等生産性向上IT導入支援事業)は、生産性向上などに取り組む中小企業や小規模事業者を対象に、ITツールの導入経費の一部を国が補助する制度です。

    補助金の対象はソフトウェアの購入費だけでなく、クラウドサービスの利用料、ハードウェア(PC・タブレット・など)の費用、ツール導入時のコンサルティング費用も含まれます。

    なお2024年1月時点の情報のため、最新の情報は各自ご確認ください。

    2024年1月追記

    2024年度のIT導入補助金には、「ECサイト制作は本類型の対象にはなりません。」との記載がございます。詳しくは下記ページをご覧くださいませ。
    12月11日更新 IT導入補助金2024の制度概要について | IT導入補助金2023(後期事務局)

    【補助金の対象(一例)】

    • ソフトウェアの購入費用
    • クラウドサービスの利用料
    • セキュリティ対策ツールの導入費用
    • ITツール導入に関するコンサルティング費用
    • システムの保守・サポートといった役務にかかる費用
    • PCやタブレットなどハードウェアの購入費

    IT導入補助金2024の対象となるITツール

    IT導入補助金2024の対象となるのは、IT導入補助金事務局に認められた「IT導入支援事業者」が提供し、かつ、事務局に事前登録されたツールや役務に限られます。

    「IT導入支援事業者」とは、申請者(中小企業や小規模事業者)のパートナーとして、ITツールの説明や導入などのサポートを行う事業者のこと。補助金の交付申請や実績報告など、事務局に提出する各種申請の手続きもサポートします。

    2024年のIT導入支援事業者は、2024年2月16日から登録申請の受付が始まり、その後採択される流れです。

    IT導入補助金2024の対象業種

    IT導入補助金2024の対象となる業種は、飲食業、旅館業、卸売業、小売業、運輸業、サービス業、製造業、建設業、医療、介護など、幅広く認められています。

    ただし、対象は「中小企業」や「小規模事業者」などであり、その定義は業種ごとに資本金や従業員数によって定められています。公募要項に記載された定義をご確認ください。

    IT導入補助金の活用事例

    過去のIT導入補助金に採択された事業者の、生産性向上などの取り組みの事例も公開されています。ITツールを選択する際の参考にしてください。

    ただし、2022年度以前のIT導入補助金に採択された事例であり、2024年度の申請要件とは異なる場合もあります。申請する際はIT導入補助金2024の交付規定・公募要項を必ずご確認ください。

    IT導入補助金2024の4つの申請枠

    IT導入補助金2024において、中小企業や小規模事業者が単独で申請できるのは「通常枠」「インボイス枠」「セキュリティ対策推進枠」です。

    また、複数の中小企業・小規模事業者が連携して申請する「複数社連携IT導入枠」もあり、2023年度の「デジタル化基盤導入枠(複数社連携IT導入類型)」を引き継ぐかたちとなる見通しです。

    申請する枠によって、応募条件や受け取ることができる補助金の額が異なります。それぞれの申請要項を確認し、自社の課題解決や生産性向上につながるものを選択してください。

    (1)通常枠

    通常枠は「中小企業」「小規模事業者」などが自社の課題・ニーズに合ったITツールの導入を支援する枠です。たとえば「顧客管理システム」や「会計ソフトウェア」「在庫管理システム」といった業務が円滑化できるITツールが対象となっています。

    対象となるのは、以下の1種類以上の業務領域に対応できるソフトウェアです。

    引用:IT導入補助金2024「通常枠

    補助額は、対応できる業務領域が1~3の場合は5万円~150万円未満(補助率1/2)となります。4以上の業務領域に対応できる場合は150万円~450万円以内(補助率1/2)です。

    IT導入補助金2023との違い

    IT導入補助金2023との違いは、以下の3つです。

    • デジタル化基盤導入枠が廃止
    • ECサイト制作が対象外に
    • インボイス枠の新設

    2024年のIT導入補助金における主要な変更点の1つに「デジタル化基盤導入枠」の廃止があります。この枠組みは、中小企業や小規模事業者が会計、受発注、決済、ECソフトを導入する際、労働生産性の向上を支援し、インボイスに対応した企業間取引のデジタル化を促進することを目的としていました。

    令和5年度の補正予算案によると、この「デジタル化基盤導入枠」が廃止される代わりに新設される「インボイス枠」が内容を引き継ぐと予想されています。

    また、デジタル化基盤導入枠はECの関連ソフトも対象となっていました。インボイス枠はインボイス対応ツールなどが対象のため、IT導入補助金2024では、対象外となっていることを認識しておきましょう。

    (2)インボイス枠

    2024年度に新設されたインボイス枠は、インボイス制度への対応に特化した枠です。インボイス枠には「インボイス対応類型」と「電子取引類型」があります。

    インボイス対応類型は、インボイス制度に対応できる「会計」や「受発注」「決済」の機能があるソフトウェアや「機能拡張」などのオプションも対象です。さらに「導入コンサルティング」や「保守サポート」などの役務や「PC」「POSレジ」といったハードウェアも対象となります。

    最大350万円の補助が受けられ、企業規模や導入した品目によって補助額が以下のように変動します。

    引用:IT導入補助金2024「インボイス枠(インボイス対応類型)」 

    電子取引類型は「インボイス制度に対応した受発注システム」が対象であり、発注者が費用を負担したシステムを導入して、受注者である「中小企業」や「小規模事業者」などに無償でアカウントを供与する場合に支援が受けられます。

    最大350万円の補助が受けられ、企業規模や導入した品目によって補助額が以下のように変動します。

    引用:IT導入補助金2024「インボイス枠(電子取引類型)

    (3)セキュリティ対策推進枠

    サイバー攻撃に対するセキュリティー対策を目的に、ITツールを導入する中小企業・小規模事業者に対して、サービスやツールの導入費用の一部を補助する制度です。補助金額は5万〜100万円、補助率は1/2以内。サービス利用料の最大2年分が補助の対象となります。

    独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているサービスのうちIT導入支援事業者が提供し、かつ、IT導入補助金事務局に事前登録されたサービスが補助の対象です。

    「サイバーセキュリティお助け隊サービス」は、IPAのサイバーセキュリティお助け隊サービスリストから確認してください。

    (4)複数社連携IT導入枠

    複数社連携IT導入枠は、2023年度の「デジタル化基盤導入枠(複数社連携IT導入類型)」を引き継ぐ内容となっています。複数の中小企業・小規模事業者が連携してITツールを導入することで「生産性の向上」を実現させる取り組みを支援する枠です。

    対象となるのは、会計ソフトや決済ソフトなどの「基盤導入経費」や、消費動向分析にかかった費用、代表事業者が参画事業者をとりまとめるために使った事務費や旅費などの一部も含まれます。

    最大3000万円の補助が受けられ、企業規模や導入した品目によって補助額が以下のように変動します。

    引用:IT導入補助金2024「複数社連携IT導入枠

    補助金の申請手順 8つのステップ

    「IT導入補助金2024」の申請は、次の8つのステップで進みます。IT導入補助金の申請を検討している方は、まずは全体の流れを把握してください。

    引用:IT導入補助金2024「新規申請・手続きフロー

    【ステップ 1】IT導入補助金2024の内容を理解する

    IT補助金2024のWebサイトや、応募枠それぞれの交付規定を読み、IT導入補助金2024の内容を理解してください。

     

    【ステップ 2】「IT導入支援事業者の選定」と「ITツールの選択」

    補助金の申請は「IT導入支援事業者」と一緒に行います。自社の業種や事業規模、経営課題を踏まえて「IT導入支援事業者」と「導入したいITツール」を検討してください。

    【ステップ 3】アカウント取得と経営チェック(みらデジ)

    申請には「gBizIDプライム」のアカウント(ID・パスワードなど)が必須です。また、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)の「SECURITY ACTION」を宣言することも必要になります。

    さらに、「みらデジ」と呼ばれる経営チェックを受けることも申請の条件です。「みらデジ」とは、中小企業庁が実施する中小企業・小規模事業者の経営課題をデジタル化により解決することをサポートする制度。詳しくは「みらデジ」のWebサイトをご確認ください。

     

    【ステップ 4】交付申請

    IT導入支援事業者と商談を進め、交付申請の事業計画を策定した後、申請マイページから申請に必要な情報を提出します。申請者(中小企業・小規模事業者)は以下の流れで交付申請を行います。

    1. IT導入支援事業者から「申請マイページ」の招待を受け、代表者氏名などの申請者基本情報を入力
    2. 交付申請に必要となる情報を入力し、書類を添付
    3. IT導入支援事業者が、導入するITツールの情報や事業計画値を入力
    4. 「申請マイページ」上で入力内容を確認し、申請に対する宣誓を行った上で、事務局へ提出

     

    【ステップ 5】ITツールの発注・契約・支払い

    IT導入補助金2024事務局から「交付決定」の連絡を受けた後、ITツールの発注・契約・支払いを行います。なお、補助金の交付決定の連絡が事務局から届く前にI Tツールの発注・契約・支払いなどを行った場合、補助金の交付を受けることができませんので注意してください。 

    【ステップ 6】事業実績を報告

    補助事業の完了後、実際にITツールを導入し、支払いを行ったことを証明する書類を提出します。実績報告は以下の流れで行います。

    1. 申請者(中小企業・小規模事業者)が「申請マイページ」から事業実績報告に必要な情報を入力し、事業実績報告を作成
    2. IT導入支援事業者が事業実績報告の内容を確認し、必要情報を入力
    3. 申請者が最終確認し、IT導入補助金2024事務局に事業実績報告を提出

     

    【ステップ 7】補助金交付の手続き

    実績報告が完了し、補助金額が確定したら、「申請マイページ」で補助額を確認できるようになります。内容を確認した後に、補助金が交付されます。

    【ステップ 8】実施効果の報告

    ITツール導入後の効果を提出します。決められた期限内に「申請マイページ」から必要な情報を入力し、IT導入支援事業者の確認を経て提出します。

    IT導入補助金2024の注意点

    IT導入補助金2024を申請する際の注意点を解説します。

    補助金の交付は枠ごとに1回まで。複数枠への申請は減点になることも

    IT導入補助金2024で補助金の交付を受けられるのは、通常枠・セキュリティ対策推進枠・デジタル化基盤導入枠のそれぞれ1回までです。なお、審査で不採用になった場合には、同じ枠に再度申請することが可能です。

    なお、IT導入補助金2024において、同一の申請者が複数の枠に応募した場合には、追加で申請した枠の審査で減点対象となり、審査が通りにくくなる場合があるため注意が必要です。例えば、「デジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型)」にすでに申請している事業者が、追加で「通常枠」にも申請した場合、「通常枠」の審査では減点対象になります。

    また、IT補助金2023(前年度)で補助金の交付を受けた事業者が、IT導入補助金2024(今年度)に申請する場合にも、枠によっては審査で減点対象になったり、審査要件を満たさなかったりすることがあります。

    申請に関する詳しい条件については、各応募枠の交付規定をご確認ください。

    申請後すぐに補助金を受け取れるわけではない

    IT導入補助金を申請しても、すぐに補助金を受け取れるわけではありません。IT導入補助金2022では、申込の締切日から交付決定までの日数の目安として1カ月半ほどかかるとアナウンスしていた時期もありました。また、交付が決定してからITツールを導入し、事業実績報告が完了してようやく補助金が交付されます。申請から交付まで数カ月程度かかる前提でキャッシュフロー計画を立てる必要があるでしょう。

    賃上げ計画が未達成なら返金を求められる場合も

    従業員の賃上げが条件になっている応募枠で補助金を受け取ったにもかかわらず、賃上げ計画が未達成だった場合には、返金を求められることがあります。

    例えば、「通常枠B類型」では下記のような賃金引上げ目標が申請条件となっており、事業計画終了時点で目標を達成できなかった場合、補助金の返還を求めるとしています。

    以下、IT導入補助金2023Webサイトより引用

    • 事業計画期間において、給与支給総額を年率平均1.5%以上増加させること。ただし、被用者保険の適用拡大の対象となる中小企業・小規模事業者等が制度改革に先立ち任意適用に取り組む場合は、年率平均1%以上増加させること。
    • 事業計画期間において、事業場内最低賃金(事業場内で最も低い賃金)を地域別最低賃金+30円以上の水準にする。

    ※例外規定あり。詳しくはIT導入補助金2023のWebサイトをご確認ください。

    ECサイトリニューアルでも活用できる?

    futureshopでは、同じプラットフォーム同士のECサイトリニューアルでIT導入補助金を活用できたケースがあります。現在、CMS機能にcommerce creatorを導入していない店舗様は、初めてcommerce creatorを導入して、リニューアルを実施する際にIT導入補助金対象となった事例があります。

    現在futureshopを契約済みでcommerce creatorを初めて導入する場合も、お気軽にお問い合わせください。

    その他ECサイト構築に使える補助金(ご参考)

    ECサイト構築やECシステムの導入などに使える補助金は、IT導入補助金の他にもあります。EC事業の強化や新規参入を検討している事業者さまは参考にしてください。

    小規模事業者持続化補助金

    「小規模事業者持続化補助金」は、自社の経営を見直して持続的な経営を行う小規模事業者を対象に、販路開拓や業務効率化にかかった費用の一部を補助する制度です。

    EC関連では、ECサイトの構築・更新・改修・開発・運用などの経費が補助対象になり、リニューアルも含まれます。また、新サービスを紹介するチラシの作成や配布、新商品の試作品開発に伴う経費なども対象です。

    なお、補助金を申請できるのは、小規模な法人や個人事業主のみ。常時雇用の従業員数は「商業・サービス業」が5人以下、製造業は20人以下といった条件があります。

    詳しくは、全国商工会連合会の「小規模事業者持続化補助金」のサイトなどをご確認ください。

    小規模事業者持続化補助金の概要

    出典:小規模事業者持続化補助金<一般型>ガイドブック P3

    事業再構築補助金

    「事業再構築補助金」は、中小企業や中堅企業を対象に、新規事業への参入や業態転換などにかかる費用の一部を補助する制度です。例えば、実店舗で商売している小売店がECを始める場合、ECサイトの構築費用などの一部が補助されます。

    従業員数などに応じて最大8000万円の補助を受けられるなど、補助金の上限はIT導入補助金より高く設定されています。その分、補助を受ける条件も細かく設定されていますので、詳しくは中小企業庁の「事業再構築補助金」のページをご確認ください。

    ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金

    「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」は、働き方改革や被用者保険の適用拡大、賃上げ、インボイス導入といった制度変更に直面する中小企業や小規模事業者を支援するための補助金です。

    革新的なサービスの開発や試作品開発、生産プロセスの効率化などを目的とした設備投資の費用の一部が補助されます。

    製品開発や生産性向上、海外事業拡大、DX、賃上げ、CO2削減といった目的ごとに応募枠が設けられており、従業員数などに応じて100万〜4000万円の補助金額が設定されています。

    詳しくは、全国中小企業団体中央会の「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」のページをご確認ください。

    まとめ

    IT導入補助金ではECサイト制作が対象外なものの「小規模事業者持続化補助金」や「事業再構築補助金」「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」などの補助金の活用が可能です。

    ECサイトの構築やECシステム導入を検討している方は、補助金の利用をご検討ください。

    ▶︎SaaS型ECサイト構築プラットフォーム「futureshop」にご質問やご相談は、こちらからお問い合わせください

    こちらの記事では、ECサイト構築のポイントや、全ての工程について詳しく解説しています。
    参考にしてください。

    ECサイトの構築ガイド|費用、手順、サービスをわかりやすく解説

    2022-07-12