ECサイトのインスタ活用事例!ユーザー投稿(UGC)を売上アップにつなげるファンマーケティング
- 2024.06.182024.07.03
ECサイトの販促にInstagramを活用する企業が増えています。効果的な活用法の1つは、Instagramユーザーが投稿した商品の写真(UGC)をECサイトに掲載し、口コミのような役割を持たせてコンバージョン率アップにつなげること。一般消費者が投稿したリアルなコンテンツは、他の消費者の共感を生み、高い販促効果を生み出すことも珍しくありません。
この記事では、Instagram上でUGCを増やし、それらを活用してECサイトの売上を伸ばす方法をお伝えします。
700社以上が導入しているInstagram連携ツール「visumo」を提供している株式会社visumoの奥山賢太さんを講師に招き、ECにおけるInstagram活用法を解説していただきました。
国内企業によるInstagram活用の成功事例も多数紹介しています。Instagramを効果的に運用していきたいEC事業者さまは、ぜひ参考にしてください。
この記事は株式会社フューチャーショップが2024年3月に開催したオンラインセミナー「超実践!EC事業者が取り組むべきInstagram活用法」をもとに構成しています。
【スピーカー紹介】
株式会社visumo セールスセクションチーフ 奥山 賢太 氏
レディスアパレルメーカーでの営業およびEコマース事業でキャリアをスタート。その後、ファッション分野の広告・PR支援会社、ASPカート、ECパッケージベンダーを経て現職。現在はvisumoの提供を通じてビジュアルマーケティングを推進している。
visumo socialとは?
「visumo social」は消費者やインフルエンサー、自社スタッフなどがInstagramやXに投稿したコンテンツを商品に紐付けて、自社ECサイトに掲載(埋め込み)できるクラウドサービスです。SNSに投稿された静止画や動画をハッシュタグで検索・収集し、投稿者に利用許諾を申請する機能など備えています。導入社数はリリースから約5年で700社を超えました。
ECサイト構築プラットフォーム「futureshop」と連携した「visumo social for futureshop」も提供しており、「futureshop」をご利用中の店舗さまは個別開発を行うことなく簡単に導入することができます。
目次
UGCを起点としたファンマーケティングとは?
セミナーの冒頭、奥山さんはInstagramのプラットフォームとしての特徴や、UGCが生み出される仕組みに触れた上で、UGCを起点としたファンマーケティングを実現する方法について解説しました。
Instagramの利用者数は6000万人を超えており(※1)、日々、膨大な写真や動画が投稿されています。その中にはUGCも少なくありません。
UGCとは、User Generated Content(ユーザー生成コンテンツ)の頭文字をとった造語で、商品やサービスの利用者(ユーザー)がSNSなどに投稿したコンテンツの総称です。商品を買ったユーザーの中には「新しく買った商品をみんなに見せたい」「お気に入りの商品を多くの人に知ってほしい」「便利な使い方を紹介したい」といった心理から、商品の写真や動画をInstagramに投稿する人が大勢います。
UGCは消費者のリアルな声が反映された口コミのようなもの。InstagramユーザーがUGCに接触して商品のことを知り、オンラインショップや実店舗を訪れるなど、購買行動にも影響を与えるようになりました。
※1 Metaが開催した「Meta Marketing Summit Japan 2023」で、2023年時点の日本国内のユーザー数は2019年時点(3300万人)の2倍以上であることが公表された
UGCを購買行動につなげるプロセス
Instagram上のUGCが消費者の購買行動に与える影響について、奥山さんは「UDSSAS(ウドサス)」(※2)と呼ばれるフレームワークに沿って解説してくださいました。
「UDSSAS」とは、商品を買った消費者によってUGCが生み出され、そのUGCが他の消費者の購買行動に影響を与える一連のプロセスを説明したフレームワークです
※2 「UDSSAS(ウドサス)」は株式会社ホットリンクが提唱しているフレームワーク
【UDSSASのプロセス】
- アテンション(UGC):商品を買った人が、商品の写真/動画(UGC)をInstagramに投稿
- 商品を発見(Discover):InstagramユーザーがUGCに接触して商品を発見
- 保存(Save):Instagramユーザーがその写真/動画を保存
- 詳細検索(Search):SNSや検索エンジンで商品の詳細情報を検索
- 購入(Action):オンラインショップや実店舗で商品を購入
- 共有(Share):友人や知人に共有するため、商品の写真/動画をInstagramに投稿
Instagram上にUGCが増え、そのUGCが他の消費者の購買を促す「UDSSAS」のサイクルが生まれると、効果的なファンマーケティングが実現します(奥山さん)
UGCを増やすには「真似したくなるコンテンツ」を発信する
「UDSSAS」のプロセスを回すには、まずは起点となるUGCを増やすことが必要です。奥山さんは「Instagram上でUGCを増やすには、コンテンツを投稿する大義名分と、具体的な方法を顧客に提示することがポイントになる」と強調。その上で、「顧客が真似したくなるコンテンツをSNSやオウンドメディアなどで発信することが重要」と説明しました。
例えば、食品を使った美味しいアレンジレシピやインテリアのおしゃれなコーディネート、雑貨の便利な使い方、アクセサリーのかわいい組み合わせなど、インスタ映えする写真や誰かに教えたくなるハウツーといった“顧客が真似しやすいネタ”を提供するのがポイントです。
UGCを増やすには、ユーザーが投稿するきっかけを作ることが重要です。そのためには企業側が率先してコンテンツを投稿し、それを顧客に真似してもらいましょう。商品のプロだからこそ作れる専門性の高いコンテンツをECサイトやオウンドメディア、Instagram公式アカウントなどで発信してください(奥山さん)
UGC投稿キャンペーンも活用
UGCを増やすきっかけ作りとして、フォトコンテストなどのキャンペーンを開催するのも効果的です。テーマに沿った写真をハッシュタグ付きで投稿してもらい、受賞者の写真を公式サイトに掲載するといった企画を行うとUGCを増やすことができます。なお、プレゼントキャンペーンを行う際はInstagramの利用規約に違反しないよう注意が必要です。
現在のInstagramの利用規約では、現金や金券をプレゼントすることや、投稿者全員が当選するプレゼントキャンペーンは禁止されていますので注意してください(奥山さん)
投稿者と交流してエンゲージメントを高める
UGCを増やす上での重要なポイントとして、奥山さんは「コンテンツのコメント欄で投稿者とコミュニケーションを取ること」を挙げました。コンテンツの掲載許可を取るのはもちろんのこと、商品を買ってくれたことへのお礼や、SNSに投稿してくれたことへの感謝の気持ちをしっかり伝えることが大切です。
自分が投稿した写真が、企業の公式サイトに掲載されることを喜ぶInstagramユーザーさんは大勢います。そういった方々と丁寧にコミュニケーションを取り、UGCを積極的に投稿してくれる熱量の高いファンを増やすことを意識してください(奥山さん)
また、Instagram上のコンテンツをECサイトに掲載する際は「投稿者に掲載の許可を取ることも忘れないでほしい」(奥山さん)と強調しました。
Instagramの利用規約では、Instagram上のコンテンツを正規の方法でECサイトなどに掲載する場合には、投稿者の許可は必要ありません。しかし、コンテンツを勝手に使われることを不快に思う投稿者もいるでしょうから、必ず掲載許可を取るようにしてください。なお、掲載許可を取る際は非公開のDMではなく、公開のコメント欄を使うと、そのコメントを見たフォロワーがECサイトを訪れるきっかけになるのでオススメです(奥山さん)
ECサイトにおけるUGC活用の成功事例
UGCをECサイトの販促に活用している企業の成功事例として、奥山さんは「visumo social」を導入しているECサイトの取り組みを紹介してくださいました。Instagram上でUGCを増やし、そのUGCをECサイトに掲載して売上アップにつなげている事例です。
製菓材料の専門店「富澤商店」
1919年創業の製菓材料専門店である富澤商店さまは、料理研究家が監修したレシピや、スタッフが考案したオリジナルのレシピなど、専門性の高い3500以上のコンテンツをInstagramやYouTubeで公開しています。インスタ映えするお菓子の写真や、上手なギフトラッピングの包み方など、顧客が真似したくなるコンテンツを積極的に発信してUGCを増やしてきました。
富澤商店さまはUGCをECサイトの「みんなの#TOMIZフォト」に掲載しています。画像をクリックすると「使用している商品」が表示され、商品情報をクリックすると購入ページへ飛ぶようになっています。コンバージョン率アップにもつながっており、「UGCを経由したユーザーのコンバージョン率は全体平均の約3倍に高まった」(奥山さん)そうです。
画像出典:富澤商店公式オンラインショップ「みんなの#TOMIZフォト」のスクリーンショット
竹製品の専門店「竹虎」
1894年に竹製品製造卸業で創業し、現在はECサイト「竹虎」を運営して小売りも行っている山岸竹材店さまは、「#竹虎グラム」のハッシュタグが付いたUGCを収集してECサイトの「竹虎インスタギャラリー」や商品ページに掲載しています。
「竹虎インスタギャラリー」の掲載数は600以上。「すべて」「弁当箱」「梅干しざる」「ざる・籠」「草履・下駄」「武澄パウダー」など18種類のカテゴリで写真を絞り込んで閲覧することもできます。写真をクリックすると商品情報が表示され、クリックすると商品ページに遷移します。商品ページにもUGCを表示し、コンバージョン率アップにつなげています。
画像出典:竹虎公式オンラインショップ「竹虎インスタギャラリー」のスクリーンショット
山岸竹材店さまのECサイトは記事コンテンツが充実しており、「竹炭でミネラルウォーターを作る方法」や「竹の皮でおにぎりを包んだお弁当」など、思わず真似したくなるコンテンツも発信しています。
生地の専門店「MARUISHI」
1940年創業の生地問屋であり、ECサイト「MARUISHI」を運営している丸石織物さまは、「#生地のマルイシ」というハッシュタグが付いたUGCを収集してECサイトの作品集や商品詳細ページに掲載しています。UGCを増やすため、生地を使った服やバッグなどの写真をオウンドメディアとSNSで発信し、顧客が写真を投稿する際のヒントも提供しています。
かまぼこメーカー「鈴廣かまぼこ」
1951年創業、小田原を中心に展開している鈴廣かまぼこ様は「#かまぼこのある暮らし」のハッシュタグが付いたUGCを集めてECサイトに掲載しています。
「かまぼこのある暮らし」というオウンドメディアも運営しており、かまぼこに関する情報やハウツーを発信してきました。美味しいかまぼこの食べ方や、見栄えの良い切り方など、かまぼこ専門店ならではのコンテンツを作ってUGC作成のヒントを提供してきました。投稿してくれた顧客にコメント欄で丁寧にお礼を伝えるなど、顧客とのコミュニケーションも大切にしています。
ブランドを広めてくれるアンバサダーを増やす
顧客にUGCを投稿してもらう取り組みを進化させたのがアンバサダー制度です。アンバサダーとは、ブランドや製品を肯定的に宣伝する広報大使のような存在。著名人やインフルエンサーを起用することもありますが、近年は一般消費者をアンバサダーに任命し、UGCを投稿してもらう企業も目立ち始めました。
先ほど紹介した富澤商店さまもアンバサダー制度を取り入れています。プレミアムファミリーと呼ばれるアンバサダーは、SNSなどに写真や動画を投稿するほか、商品開発モニターとしての活動や限定イベントへの参加なども行っています。
アウトドア用品大手のワークマンさまも「ワークマン公式アンバサダー」制度を設けています。キャンプやアウトドアなど何かの専門分野に精通している人たちがアンバサダーとなって、商品のコーディネートや利用風景などをSNSに投稿するほか、新商品発表会への参加や、商品モニターなどの活動も行っています。
アンバサダーのモチベーションは「金銭以外の価値」
アンバサダーとして活動している人たちのモチベーションについて奥山さんは、「新商品をいち早く試せることや、商品開発に携わるチャンスがあるなど、ブランドと関われることに価値を感じている」と説明しました。
奥山さんによると、「visumo」を導入している企業は、一般消費者から選ばれたアンバサダーに商品を提供することはあっても、金銭的な報酬を支払っているケースはないそうです。アンバサダーはブランドのファンであることが前提であり、「商品の宣伝や商品開発に携わることができるなど、金銭以外のことがモチベーションになっている」と強調しました。
InstagramやYouTubeで数千〜数万人のフォロワーを持つインフルエンサーがアンバサダーに就任することもあり、そういったケースでは「自分のアカウントで、新商品をいち早く紹介できることが、インフルエンサーとしての価値につながる」(奥山さん)こともモチベーションになっているようです。
企業のアンバサダーになりたいInstagramユーザーはたくさんいます。そういった方々とコミュニケーションを取り、アンバサダーとして積極的に情報発信を行ってもらうことで、UGCを起点としたファンマーケティングの実現を目指してください(奥山さん)
Q&A
セミナーの最後にQ&Aも行いました。は200人を超える参加の皆さんから質問を募集し、奥山さんがその場で回答したQ&Aの一部を紹介します。
【Q1】UGCを活用するには、ハッシュタグ付きの投稿をどれくらい集めれば良いでしょうか。
【A1】まずは1年間で1000件を目標にすると良いでしょう。
【Q2】ファッションやアクセサリーのUGCを増やすコツを教えてください。
【A2】1つのブランドだけで全身コーディネートするのは難しいため、他社の製品を含んでも良いという条件で投稿キャンペーンなどを行うとUGCが集まりやすくなります。
【Q3】最近、Instagramでは「20代におすすめのブランド5選」といった読み物のような投稿も目立ちます。写真だけよりも読み物のようなコンテンツの方が良いのでしょうか。
【A3】まとめ記事やランキングなど読み物系の投稿は保存数が多くなる傾向があり、現在のInstagramのアルゴリズムでは、より多くのユーザーの目に触れやすくなります。ただし自社以外のブランドも紹介する必要があるため、その是非については会社ごとに判断してください。
【Q4】SNSに写真を投稿してくれた会員にECサイトのストアポイントを付与したいのですが、投稿者と会員情報を紐づける方法はあるでしょうか。
【A4】ECサイトに特設フォームを作り、投稿者に申請してもらっている事例はあります。特設フォームを作ることが難しい場合には、DMなどで投稿者に連絡し、会員IDを聞くといった方法もあります。
【Q5】クオリティの高い写真を顧客に投稿してらうには、どうすれば良いでしょうか。
【A5】UGCのクオリティは徐々に上がっていきます。当初はクオリティの高い写真が少なくても、地道にUGCをECサイトに掲載し続けていると、顧客はそれらを真似してクオリティの高い写真を載せてくれるようになります。根気よく続けてください。
【Q6】自社商品以外を販売しているセレクトショップでもUGCを活用することはできるのでしょうか。
【A6】消費者が他社で買った商品の写真であっても、自社のECサイトに掲載すれば販促効果が得られます。投稿者の許可を取ってUGCをECサイトに掲載してください。
まとめ
今回のセミナーでは、Instagram上でUGCを増やす方法や、UGCをECサイトに掲載してコンバージョン率を上げる方法などについて、成功事例を踏まえて詳しく解説していただきました。事例で紹介した企業のUGC活用法を実際にご覧いただくと、セミナーの内容をより深く理解できるはずです。記事中にリンクを貼っていますので、そちらもぜひチェックしてみてください。
ECサイト構築プラットフォーム「futureshop」はオプション機能として「visumo social for futureshop」を提供しています。「futureshop」をご利用中の店舗さまは、個別開発などを行うことなく、今回の記事で紹介したようなUGCマーケティングを開始することが可能です。futureshopの商品マスタに自動連携できるため、「visumo social for futureshop」への商品登録も必要ありません。ECサイトに掲載したUGCのアクセス分析やコンバージョン計測なども可能です。Instagram上のUGCを活用し、ファンマーケティングを実現したいEC事業者さまは、お気軽にお問い合わせください。
visumo social for futureshopの詳細については、こちらのページをご覧ください