ヘッドレスコマースはメリットがあるがハードルが高い!理由を詳しく解説
- 2024.10.092024.10.09
ヘッドレスコマースとは、フロントエンドとバックエンドを切り離して開発や運用を行うECサイトのアーキテクチャです。従来のECサイトよりも柔軟性や効率性が高く、グローバルな企業では導入されはじめており、日本でも注目を集めています。
本記事では、ヘッドレスコマースの定義やメリット、デメリットについてわかりやすく詳しく解説していきます。ヘッドレスコマースを導入するか悩んでいる方や興味がある方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次
ヘッドレスコマースとは
冒頭でも紹介した通り、ヘッドレスコマースとは、フロントエンドとバックエンドを切り離して開発・運用を行うECサイトの構築方法です。
現代では、スマートフォンやパソコンのブラウザだけでなく、アプリケーションやウェアラブルデバイスなど、ECサイトのチャネルが多様化しています。このような多様化に柔軟に対応できるのが、ヘッドレスコマースの特徴です。
ここからは、ヘッドレスコマースの定義や従来のECサイトとの違いについて解説していきます。
定義
はじめに、ECサイトのフロントエンドとバックエンドについて理解しておきましょう。フロントエンドは、UI(ユーザーインターフェース)、つまりユーザーから見える部分の構築範囲を指します。そしてユーザーからは見えないシステムの部分は、バックエンドと呼ばれています。
ここで言うヘッドレスコマースの「ヘッド」は、フロントエンドを意味します。ヘッドレスという言葉をそのまま受け取ると、「フロントエンドがない」といった解釈ができてしまいますが、そうではありません。ECサイトを始めとしたWebサイトなどで用いられる「ヘッドレス」とは、フロントエンドとバックエンドを切り離した開発・運用の考え方を指します。
切り離したフロントエンドとバックエンドは、一般的にAPIで連携します。APIとは「Application Programming Interface」の略であり、異なるソフトウェアなどを繋ぐ仕組みのことを指します。APIが連携を担っているため、バックエンドへの影響を気にせずとも、フロント(デザインなど)のカスタマイズができるという点が、ヘッドレスコマースの特徴です。
従来のECとの違い
従来のECサイトとヘッドレスコマースの大きな違いは、フロントエンドとバックエンドが切り離されているか、一体化しているかといった仕組みの部分にあります。ほかにも細かな違いを表にまとめました。
従来のECサイト | ヘッドレスコマース | |
システム構造 | フロントエンドとバックエンドが一体化したモノリシック構造 | フロントエンドとバックエンドが分離された構造 |
開発の柔軟性 | フロントエンドの変更にはバックエンドの変更も必要になることが多い | フロントエンドを独立して開発・更新可能 |
チャネル対応 | 主にWebサイト中心 | 多様なデバイスやプラットフォームに対応可能 |
開発コストと時間 | 比較的低コストで短期間での構築が可能 | 初期の開発コストと時間が高くなる傾向がある |
従来のECサイトは、フロントエンドのデザインなどを変更するため、バックエンドの変更もセットで必要になるケースが多くあります。そのため、バックエンド側の開発が完了するまで、フロントエンドの変更に着手できないなど、工数的な課題が発生することもありました。
一方でヘッドレスコマースは、フロントエンドとバックエンドを分離して開発可能なため、迅速なリリースが実現します。
また近年のECは、Webサイトだけでなく、アプリケーションやウェアラブルデバイスなど様々な方法で商品を購入できることが主流になってきています。ヘッドレスコマースであれば、バックエンドの基盤は既存のままで対応できるチャネルを増やすことが可能になります。
ヘッドレスコマース導入によるメリット
ヘッドレスコマースは、バックエンドの影響を気にせずにフロントエンドのカスタマイズを行えます。ほかにもヘッドレスコマースには、下記のようなメリットがあります。
- 柔軟性と拡張性が向上する
- マルチチャネルに対応できる
- サイトのパフォーマンスが向上する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
柔軟性と拡張性が向上する
ECサイトを運用するにあたって大切なのが、市場の変化に迅速に対応し、ユーザーの体験を最適化することです。ユーザーの体験に関わるUIやUXの改善を迅速に行うことで、ECサイトの売り上げを最大化できます。
ヘッドレスコマースであれば、フロントエンドのUIやデザインをスピーディーに変更できるため、顧客のニーズを取り入れた改修スピードが上がり、結果的に顧客満足度の向上につながります。
マルチチャネルに対応できる
ヘッドレスコマースは、APIを介してバックエンドと連携するため、パソコンやスマートフォンなどのWebサイト以外のチャネルに対応できます。
バックエンドの基盤は既存のままで、チャネルを増やせるのがヘッドレスコマースのメリットです。マルチチャネルに対応することで、顧客とのタッチポイントを増やし、より幅広い顧客層にリーチすることができるようになります。
サイトのパフォーマンスが向上する
ヘッドレスコマースは、APIを活用するため、ページの読み込み速度を向上させられます。サイトの読み込みスピードは、ユーザーの離脱に大きく影響するため、従来のECサイトからヘッドレスコマースに変更することで、サイト離脱率を抑える効果も期待できるのです。
また、ヘッドレスコマースは、フロントエンドとバックエンドが分離されているため、大量のトラフィックに対してもパフォーマンスが落ちづらいとされています。開発・運用の柔軟性以外にもサイトのパフォーマンスが向上するのは、大きなメリットといえるでしょう。
ヘッドレスコマース導入する際のデメリット
多くのメリットがあるヘッドレスコマースですが、下記のようなデメリットも伴います。
- 開発コストが高い
- 技術力の高いエンジニアの採用が必要となる
- 幅広いツールと連携が必要なため難易度が高い
メリットだけでなく、デメリットについても理解しておきましょう。
開発コストが高い
ヘッドレスコマースは、開発コストが高いのがデメリットとしてあげられます。フロントエンドとバックエンドの開発に加え、API連携に関する検証や修正を繰り返しテストしていくため、従来のシステムよりも時間がかかります。
ほかにも既存のECサイトからヘッドレスコマースに移行するケースは、バックエンドの仕組みを変えなくてはなりません。ヘッドレスコマースへの移行は難しいとされており、従来の手法以上に時間や費用がかかる場合があります。
幅広いツールとの連携が必要なため難易度が高い
ヘッドレスコマースは、フロントエンドとバックエンドが切り離されているため、異なるツールやシステムを組み合わせて構築を行います。コンテンツ管理システム(CMS)やカートシステム、顧客管理システムなど各機能を実現させるには、幅広いツールを統合しなくてはなりません。
また異なるシステム間でデータを連携させるには、トラブルシューティングやメンテナンスも必要になります。幅広いツールとの連携が必要なため、難易度が高くなる傾向にあります。
社内に高い技術力や知識を持ったエンジニアがいない場合は、新規で採用するか、ヘッドレスコマースの実績がある開発会社に外注する必要があります。
ヘッドレスコマースを進めるには体制が必要
ヘッドレスコマースを進めるには、様々な人材を集め、円滑に進められるような体制が必要になります。API間のインターフェースを設計や管理、構築できるエンジニアに加え、UI改善に取り組めるマーケティング担当者も欠かせません。
またAPI連携に関する開発テストなどにはコストもかかります。全体を円滑に進められるような体制に加え、生産性を確保しておくことが大切です。
ヘッドレスコマース導入に迷ったらfutureshopへご相談ください
ネットショップのヘッドレス化を含め、ECサイト構築・リニューアルに迷っている方はfutureshopへご相談ください。
また、細かな機能や価格の詳細、詳しい事例などを知りたい場合もお気軽にお問い合わせください。
まとめ
ヘッドレスコマースとは、フロントエンドとバックエンドを切り離し、開発・運用できる構築方法です。バックエンドへの影響を気にせずに、フロントエンドをカスタマイズできたり、マルチチャネルに対応していたりなど様々なメリットがあります。
一方で開発コストがかかるうえに、開発・運用の難易度が高い傾向にあるのがデメリットです。難易度の高さなどからヘッドレスコマースの導入に悩んでいる方は、一度futureshopにご相談ください。様々な事例や経験をもとに運営者様に最適なご提案をいたします。