2024年4月からGmail利用者にメルマガが届かなくなる?ガイドライン変更の影響と対策
- 2024.03.292024.07.19
Googleが提供しているフリーメール「Gmail」の送信者ガイドライン(以下、ガイドライン)が変わり、迷惑メール対策の要件が追加されました。
Gmailの個人アカウントにプロモーションメールやメルマガなどを送信する場合、送信ドメイン認証の設定やTLS接続、購読を簡単に解除できるフォームの設置といった要件を満たしていないと、メールがGmailからブロックされたり迷惑メールフォルダに振り分けられたりする可能性があります。
ガイドラインは2024年2月から部分的に適用されており、4月以降は適用範囲が拡大されます。ガイドラインを満たしていない事業者さまは、メールがGmail利用者に届きにくくなり、ECの売り上げに悪影響が出るかもしれません。
ECサイトの会員登録にGmailアドレスを使っている消費者は多く、EC業界にも大きな影響がある今回のガイドライン変更。その内容と必要な対策を解説します。
※futureshopをご利用中の店舗さまの対応方法については、futureshopのオンラインマニュアルで詳しく解説しています。未対応の店舗さまは必ずご確認ください。
目次
ガイドライン改定のポイントと対策
今回のガイドライン改定は、Gmailの個人アカウント(末尾が@gmail.comまたは@googlemail.com)宛てにメールを送るすべての送信者が対象です。なお、1日(24時間以内)に5000通以上のメールをGmail個人アカウント宛てに送信したことがあるドメインは「一括送信者」とみなされ、それ以外の送信者よりも厳しい要件を満たす必要があるため注意してください。
一括送信者とは?
一括送信者とは、Gmailの個人アカウントに対して、24 時間以内に5000 件以上のメールを送信したドメインです。この条件を1 回以上満たしたドメインは、恒常的に一括送信者とみなされます。
詳しくはこちらをご覧ください。
送信者に求められる対策
ガイドライン改定によってメール送信者には送信ドメイン認証の設定、TLS接続、メール購読をワンクリックで解除できる仕組みの実装などが義務付けられました。
なお、この内容は3月15日時点のガイドラインにもとづいています。ガイドラインは随時更新されますので、ガイドラインの最新情報を併せて確認してください。
出典: メール送信者のガイドライン
(1)送信ドメイン認証の設定
メールで使用しているドメインに「SPFレコード」「DKIM」「DMARC」を設定します。これらは送信ドメイン認証技術と呼ばれ、メールの送信元を検証し、なりすましやフィッシングメールからメール受信者を守るための仕組みです。
一括送信者は「SPFレコード」「DKIM」「DMARC」のすべてを設定する必要があります。それ以外の送信者は「SPFレコード」または「DKIM」を設定すればガイドラインの要件を満たしますが、将来的に一括送信者になる可能性も考慮し、3つすべて設定しておいた方が良いでしょう。
「SPFレコード」「DKIM」「DMARC」の詳細や、futureshopの設定方法については、futureshop虎の巻をご確認ください。
(2)TLS接続
メール送信時に TLS 接続(データを暗号化してプライバシーや安全性を確保する仕組み)を使用する必要があります。
(3)メール購読をワンクリックで解除できる仕組みを実装
一括送信者がマーケティングやプロモーションを目的としたメールを送信する場合、メールの購読をワンクリックで解除できる仕組みを導入する必要があります。なお、トランザクションメール(パスワードの再設定、予約の確認、フォーム送信の確認など)は対象外です。
GoogleのQ&Aによると、この要件を満たしていないメールが自動的にブロックされたり、迷惑メールに分類されたりすることはありませんが、ユーザーにとって不要なメールが迷惑メールとして報告されることを防ぐために、購読をワンクリックで解除できる仕組みが必要です。
メール送信者のガイドラインのワンクリックでの登録解除の要件を満たしていないメールが自動的に拒否されたり、迷惑メールに分類されたりすることはありません。
ただし、ワンクリックでの登録解除を利用していない不要なメールは、受信者から迷惑メールとして報告される可能性が高くなります。迷惑メールに分類されたメールが増えると、今後、同じ送信者から配信されるメールが迷惑メールに分類される可能性が高くなります。
また、一括送信者は、ワンクリックでの登録解除を含め、メール送信者のガイドラインのすべての要件を満たしている場合にのみ、緩和策の対象となります。
futureshopのメール配信システムは、2024年01月24日のバージョンアップで登録解除フォームを実装済みです(※メール配信にfutureshop以外のサービスをご利用の場合は、ご利用サービスの提供元にお問い合わせください)。
(4)迷惑メール率を0.1%未満に維持
Gmailのモニタリングツール「Postmaster Tools」において、迷惑メール率を0.1%未満に維持し、0.3%を超えないようにする必要があります。Googleによると、ユーザーから報告される迷惑メール率が 0.1% を超えると一括送信者のメール配信に悪影響がおよびます。2024年6月以降は、迷惑メール率が0.3% 以上になるとメール配信への悪影響はさらに大きくなるようです。
迷惑メール率を低く保つためには、一般的に次のような対策が有効です。
- Gmailのガイドラインを遵守する
- 希望者だけにメールを送る
- 購読解除フォームを分かりやすい場所に設置する
- メールに送信者情報や連絡先などを明示し、安心感を高める
- メルマガ配信リストを定期的にクリーニングする
Postmaster Toolsのご利用にはドメイン認証が必要です。利用開始方法についてはfutureshop虎の巻をご確認ください
(5)その他
Internet Message Format 標準に準拠
送信するメール形式は、Internet Message Format 標準に準拠する必要があります。なお、futureshopからメールを送信する場合は対応不要です(メール配信にfutureshop以外のサービスをご利用の場合は、ご利用サービスの提供元にお問い合わせください)。
From:ヘッダー
「差出人・送信者(From)メールアドレス」は、店舗ドメインのメールアドレス、またはECサイトで管理しているドメインのメールアドレスを使用してください。
ARCヘッダー
メーリングリストなどを使ってメールを転送する場合は、ARCヘッダー(転送されたメールの正当性を認証する仕組み)を追加する必要があります。
ガイドライン適用のスケジュール
本稿で解説したガイドライン改定は、2024 年 2 月から部分的に適用されています。4月以降はガイドラインの要件を満たしていないメールが受信拒否されるなど、適用範囲が広がるので注意してください。
2024 年 4 月より、ガイドライン非準拠のトラフィックは拒否されるようになります。拒否は段階的に行われ、影響が及ぶのは非準拠のトラフィックのみです。送信者には、一時的な違反措置の適用期間の間に、ガイドラインに準拠するよう必要な変更を加えていただくことを強くおすすめします。
メールに登録解除のリンクをすでに記載している送信者は、2024 年 6 月 1 日までに、すべての商用メール、プロモーション メールにワンクリックでの登録解除を実装する必要があります。
futureshop店舗さまの対応
ECサイト構築プラットフォーム「futureshop」をご利用中で、ガイドラインに未対応の店舗さまは、futureshopのオンラインマニュアル「Gmail メール送信者のガイドライン(迷惑メール対策)への対応について」をご確認ください。
なお、futureshopのご契約ドメインのドメイン管理するネームサーバーが「ns*.future-s.com」が設定されている場合、「SPFレコード」「DKIM」「DMARC」の設定は、プラットフォーム側で対応済みです。また、ワンクリックでの登録解除への対応についても、futureshopで送信するメールマガジンには、プラットフォーム側で対応済みですので、自動的に設定されます。
ただし、設定されている差出人・送信者(From)メールアドレスのドメインが契約ドメインと異なる場合など、店舗さま側での対応が必要な項目もありますので、すべての店舗さまにマニュアルのご確認をお願いしております。
まとめ
メールマーケティングは顧客のファン化を進める上で欠かせない施策です。メール会員を増やすために、さまざまな施策に取り組んでいるEC事業者さまも多いでしょう。せっかくメール会員が増えても、Gmailの利用者にメルマガやプロモーションメールが届きにくいと、会員基盤を十分に活かすことができません。何より、メール利用者にとって安心・安全なメールマーケティングを実現するために、ガイドラインを遵守することが大切です。
ガイドラインの適用はすでに始まっています。ガイドラインに未対応の事業者さまは、メールの設定を早急にご確認ください。