モールに出店するか?それとも自社ECを立ち上げるのか?それが問題だ。
- 2019.09.262024.01.30
「ECサイトを実際に構築し、運営にも関わった方に、《制作者視点》でエピソードを語っていただく連載記事《ECどたばた奮闘記》」
▼前回のEpisodeはこちら
今回は「モールECに出店?自社EC開設?どっちが先か?」について。
「ライター」でもあり「ECサイト構築の制作会社」でもあるという珍しい方「しばやん」さんと出会いまして、本連載を担当いただくことになりました。
ECサイトの構築までの話、そして開店してから巻き起こった出来事を赤裸々に書いていただいています。
これから自社ECサイトに取り組む方の「転ばぬ先の杖」となれば幸いです。
それでは「しばやん」お願いします!
ライター業を営む傍らECの運営代行やwebサイトのディレクションも行う筆者が、自身が実際にサポートしたECサイトの立ち上げから、挫折・売り上げ目標を達成するまでの体験談を赤裸々にご紹介。
この記事は、これからまさに『ECサイトを運営しよう!』とお考えの方に、是非、読んでいただきたいコンテンツです。
目次
モールに出店?自社ECの立ち上げ?いずれがベストの選択なのか
ECサイトと聞いて、楽天・Amazonという2大モールをはじめ「ECサイト=モール」を連想される方も多いでしょう。
アパレルであればZOZOTOWNが思い浮かぶ方も多いですね。
それほど大手の通販モールは、ECサイト市場において、高い認知とシェアを誇っています。
◇ 高い自由度はあるものの、集客には独自のノウハウが必要な自社EC。
その他モールと自社ECの違いは、数多あるネット記事ですでに紹介されているでしょうからここでは割愛します。
ただECを立ち上げる際、大多数のサイトのオーナーや担当者は、これらモールへの出店と自社ECサイトの立ち上げのいずれを選択するのか迷われているのは事実。
実際ここでご紹介するサイト担当者も、ECサイトを運営するにあたって何社もの同業他社に調査を実施されました。
その返事は異口同音に、「まずはモールに出店せよ!」というもの。
会社のオーナーである社長さんも、大手モールへの出店を念頭に置いておられました。
そんな折、私はECサイトの制作や運営サポートの相談をいただいた訳です。
モール出店ではなくあえて自社ECの立ち上げを進言
それもあって、ご相談を受けてからクライアントからの第一声は「大手モールへの出店、自社サイトの立ち上げどっちがいいのか?」というもの。
結論からいうと、この問題はどちらがいいのか?ではなく「どちらから出店するのか?」が正解。
先ほどもEC市場において大手モールの存在は大きい、というお話をしました。
具体的な数字を記述すると2017年におけるEC市場シェアは、Amazonが20.2%で楽天が20.1%、ついでYahoo!ショッピングが8.9%です。
なんとこの3社だけで、EC市場全体の49.2%のシェアを誇っている訳ですね。
この数字をご覧になっていただければお分かりだと思いますが、メジャーモールへの出店はEC展開を考える以上必須だといえます。
※JETRO報告書より出展
モール集客力だけに依存したEC戦略は危険
今まで、いくつかのECショップの立ち上げや運営を行ってきましたが、メジャーモールで成功を収めたショップにはいくつかの傾向が見て取れるように思います。
モールに訪問される方々は、購入や購入を視野入れた気分でもってサイトを閲覧しています。
このような背景から購入へのプロセスが容易なわけですが、「モールへの出店=即売り上げが見込める」という単純な構図は描けません。
なぜならメジャーモールへは80~86万ともいわれるショップが出店しており、競合ショップ同士でし烈な競争を繰り広げているからです。
こんなことを書くと、「身もふたもないコトをいうな!」というお叱りがくるかも?ですが、モール内での競争を勝ち抜くもっとも有効な手段は潤沢な広告料と価格訴求です。
顧客に適したサイトづくりや適切なセグメンテーションなど、他にも取り組むことはありますが、セール時に自店が出現しなければサイトにお客さんは訪れません。
同時に同じ商品であれば、価格でソートをかけられて選別されてしまいます。
自社ECは広告出稿と価格訴求だけに頼った戦略では立ち行かない
広告による出現率の向上と、低価格表示による価格訴求以外でお客さんを増やしていくのであれば、リピート率の向上を含む既存顧客への丁寧なアプローチが必要になります。
しかし残念なことに、メジャーモールのいくつかは顧客情報を自社で管理したりお客さまに直接連絡を取ることができません。
またモール外での収益化には、SEOやページ構成、SNSに対する様々な対策とノウハウが必要です。
『モールでの成功店が、自前サイトの運営で必ずしも成功しない』
原因だと考えています
つまり自社サイトの運営も視野に入れているのであれば、最初から自社ECサイトの立ち上げを行う方が、“モールでの運営グセ”がつかないのでは?と考えたわけです。
自社サイトECの運営を最初に行うことをお勧めするもう一つの理由は、サイト運営を通じて、webマーケティングを理解できること。
webでの商売は、リアル販売と違って顧客の動向やステータスに対するデータリングが容易です。ここで得たノウハウは、クライアント自体の会社運営にも活かせるはずです。ただモールでは、顧客データの収集や管理ができません。
このような考察からクライアントには、
モールへ出店するだけであれば、比較的費用をかけずにすみますしね。
まとめ
EC事業をお考えなのであれば、メジャーモールの存在を無視して戦略を立てることはできません。
しかしモール内での成功が自社ECサイトの運営ノウハウに結びつくのか?と聞かれると、必ずしもそうではないと思います。
ECサイトを自社で運営する構想があるのであれば、モール出店と同時に、カート選びも含めたECサイトの立ち上げ準備も進めなければなりません。
自社サイトにおいて、カートが果たす役割は非常に大きい。
自社ECの自由度は確かに高いのですが、ことカートに関してはASPやSaaSモデルを選択するのが現実的です。
数あるASPやSaaSの中から自社に最適なカートを選ぶのは難しい、とお感じになるかもしれません。
カートを選ぶ際は単に費用だけに目を向けるのではなく、サポートや導入ショップの販売実績も調べて選びたいものですね。
次回のおはなし
クライアントの社内で自社独自のECサイトを運営する調整がつき、制作の予算も確保できました。
しかしいざサイト制作を始めると
クライアントのこだわりが強すぎてサイトの基本デザインが決まりません。
確かにデザインは大事だけれど、はたして当初の計画期日を変更してまで作りこむ必要はあるのか?
サイトオーナーがデザインにこだわる理由は、自社(自店)のブランド力向上もあるでしょう。
しかしもっと大きな背景として、「売れないことへの不安」があると思います。
我々サポートチームはあるエピソードを伝えることで、サイトオーナーに提案したデザインプランに納得いただくことに成功!
結果としてスケジュール通りサイトをオープンさせることができました。
では我々はどのようなエピソードを伝えることで、オーナーの不安を解消させることができたのでしょう?
それは・・・。
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「モール依存症」
ともとれるもの。