ECサイトのデザインのポイントとは?使いやすさに徹底したこだわりを
- 2016.12.082024.03.10
ECサイトを成功させるには機能面だけでなく、デザイン性も重要です。ECサイトのデザインとは、サイトの構成や見た目を設計することであり、サイト内で商品をどう見せるかを決めるということでもあります。
今回は、売り上げを大きく左右するECサイトのデザインについて、その重要性や売り上げにつながるポイントなどをご紹介します。
目次
ECサイトのデザインの重要性
実際に商品を手に取れる実店舗とは異なり、ECサイトで商品の魅力を伝えるのは、商品の写真や説明のテキストのみです。デザインは写真やテキストをユーザーにわかりやすく、魅力的に見せる役割を担います。
見た目の印象=売り上げではない
「見た目がオシャレでかっこいいECサイト」や「デザイン性が高く、最先端の技術を使ったECサイト」が大きな売り上げを上げるわけではありません。
良いデザインのECサイトとは、ユーザーが商品や情報を見やすく、商品が魅力的に見えるように設計されているサイトを指します。
ユーザーの導線がよく考えられているため、買い物がしやすく、どこをクリックすればどんな情報が得られて、次に何をすればいいかが直感的にわかりやすく設計されているのも特徴です。
ECサイトはオリジナリティが大切
ECサイトのデザインには、オリジナリティも大切です。公式テンプレートには限りがあり、人気のテンプレートを使うと、他社と似たデザインになることがあります。しかし、それではいくらわかりやすくても、ユーザーは魅力を感じないでしょう。
ECサイトのデザインは、ユーザーがブランドに抱くイメージを大きく左右します。
公式のテンプレートをそのまま使うのではなく、自社の特徴やブランドイメージに合わせてカスタマイズし、オリジナリティを出しましょう。オリジナリティのあるデザインは、ユーザーからも愛着を持たれます。
▼ECサイトのデザインの作り方・決め方についてはこちらの記事でも解説しています。
サイトデザインを考える前に決めること
まずはECサイトのコンセプトを決めます。ここでは、コンセプトや方向性の決め方を解説します。
ブランディング
ECサイトをデザインする前に、自社のブランドイメージを明確にしましょう。ECサイトのデザインだけを考えていると、ブランドイメージに沿って作られた商品と、サイトのデザインがマッチせず、ユーザーに余計な先入観を与えたり、混乱させてしまったりするおそれがあります。
自社のブランドイメージが確立している場合は、ECサイトのロゴ、レイアウト、配色、バナーなどのデザインをブランドイメージに合わせて考えましょう。
ECサイトと商品がトータルでブランディングされることで商品が魅力的に見え、ユーザーの購買意欲を刺激します。
ペルソナ(ターゲット)
ペルソナとは、ターゲットとして定めた顧客層のことです。ECサイトを構築するときにはペルソナを設定し、訴求したい相手を明確にしましょう。ペルソナを設定することで、ターゲット層に受け入れられやすいデザインのECサイトを制作できるので、売り上げ増にもつながります。
ペルソナは、「20代女性」「会社員」といった大まかな属性だけでなく、住んでいる地域、年収、趣味嗜好など、できるだけ細かく設定することがポイントです。それによって、ターゲット層をより具体的にイメージできます。
伝えたい情報
ECサイトで最も伝えたいことは、商品の情報です。ほかにもブランドのコンセプトや会社概要、商品の活用法などさまざまな情報がありますが、情報が多すぎるとユーザーの視点が商品からずれてしまうおそれがあります。
情報をうまく伝えるためには、初めに情報を整理して優先順位を付けた上で、サイト構造の設計に反映させましょう。ECサイトのデザインは、ユーザーが情報の場所を直感的にわかるように設計することが大切です。
競合他社との差別化
競合他社との差別化は、ECサイトのデザインを考えるうえで重要な要素です。特にオンラインの世界では、類似のサービスや商品が乱立している中で、自社のウェブサイトのデザインや機能を際立たせることが求められます。
具体的には以下のフレームワークを用いることで「競合とどう変化をつけるか」「自社の強みはどこにあるか」をアウトプットしやすくなります。
3C分析
3C分析とは自社(Company)、顧客(Customer)、そして競合(Competitor)の3つの視点で分析するフレームワークです。
競合のサイトデザインや提供している機能、サービス内容を詳細に調査し、自社の強みや弱みを明確にします。これにより、競合とは異なる独自の価値提案やサービスを設計する手助けとなります。
STP分析
STP分析とは「セグメント」「ターゲティング」「ポジショニング」の観点から、狙うべき市場と自社の立ち位置を考えるフレームワークです。
まずは市場をセグメント化しましょう。その上で利益をもたらす可能性があるターゲットを定めます。また自社の商品やサービスの市場における位置付け(ポジショニング)を考え、競合との違いを明確に打ち出します。
SWOT分析
SWOT分析とは自社の強み(Strengths)を最大限に活かし、弱み(Weaknesses)を補完する戦略を練るためのフレームワークです。
市場の成長機会(Opportunities)や新しいトレンドを捉え、競合がまだ取り組んでいない分野への進出を検討することで、差別化を図ることができます。一方、脅威(Threats)となる要素には早急に対応し、リスクを最小化します。
これらのフレームワークを活用することで、競合他社との差別化を図りながら、顧客にとって魅力的なサイトデザインやサービスを提供する方向性を明確にしましょう。
ECサイトの評価は第一印象で決まる
ユーザーはECサイトを見ると一瞬で「好みか、そうでないか」を判断し、好みでなければ離脱してしまいます。その判断をファーストビューと言います。
ファーストビューを意識する
ECサイトを制作するには、ファーストビューを意識する必要があります。ユーザーの第一印象は、その場でサイトを離脱するか、そのまま買い物をするかを決める重要なポイントです。ユーザーの第一印象が良ければサイトの離脱回避につながり、サイト内の回遊率が高くなることが期待できます。
ファーストビューとはトップページの中で最初に画面に表示される部分で、利用する端末によって範囲や画面に表示される情報量が異なります。PCではファーストビューにあたる範囲が広く、スマホでは狭くなります。
ただし、画面に情報を詰め込みすぎると見づらくなるので、優先順位を付けて情報量を減らすほうが効果的です。近年はPCよりもスマホからのアクセスが増えています。ECサイトをデザインするときは、スマホからの見やすさや使いやすさを重視しましょう。
印象的なデザインを配置する
ファーストビューには、できるだけ印象的なデザインを配置しましょう。例えば、最も伝えたいキャッチコピーやイメージフォトでショップの世界観を表現します。
メインとなる商品の画像を大きく表示する方法も一般的ですが、その場合はフラッグシップモデルやブランドイメージを象徴するアイテムに絞り込みます。
もちろん、万人向けのデザインや写真というのは存在しません。そのため、ペルソナで設定したターゲット層の好みに合わせたファーストビューの設定が大切になります。
売れるECサイトのデザインのポイント
ECサイトのデザインは、売り上げに大きく影響します。ここでは、売り上げにつながりやすいECサイトのデザインを具体的にご紹介します。
商品を主役にする
売り上げにつなげるためには、商品が魅力的に見える写真と、商品を使っている場面が想像できるような記事が必要です。
ECサイトを制作するときには、デザイン性の高さにこだわりがちですが、主役はあくまで商品です。商品を引き立たせ、売り上げにつなげることを考えて、デザインを考えましょう。
ボタンをわかりやすくする
ボタンははっきりとした色と形にして、見つけやすい位置に配置しましょう。サイトのデザインに合わせた凝ったボタンにするよりも、ボタンであることをわかりやすく設定することが大切です。
ユーザーが商品を購入しようと思っても、購入ボタンがどこにあるかがわからなければ、購入に至らず離脱してしまいます。「購入に進む」などの重要なボタンは、ページの上部と下部に複数配置するのも効果的です。
リンクや次のアクションにつなげる箇所も目立たせるようにしましょう。特にスマホでは画面が小さく、リンクやボタンがわかりにくくなるため、PCサイト以上にはっきりさせる必要があります。
デザインは常に改善を繰り返す
ECサイトは、完成した時点で制作が終わりではありません。新商品を追加したり、売り切れの商品を非表示にしたりというメンテナンスが必要です。
ペルソナを設定した上でサイト運営の戦略を練り、コンセプトに沿ってデザインを仕上げたつもりでも、ターゲット層に評価されず、売り上げにつながらないこともあります。
その場合は改善策を講じるとともに、どの改善策が効果を発揮したのかがわかるように、アクセス解析を導入して分析しましょう。
デザインを変更するときにはA/Bテストを行い、コンバージョン率の変化を計測して次の改善策を考案する際の参考にします。このように改善と分析を繰り返しながら、サイトをより良いものに変えていく作業が必要です。
「ユーザーの行動データ」をベースに改善する
ECサイトのデザイン改善を行う際、感覚や経験だけに頼るのではなく、ユーザーの実際の行動データを基にした客観的な分析が必要です。データを活用することで、ユーザーのニーズや課題を正確に把握し、サイトの使い勝手やデザインを継続的に最適化することができます。
感覚や経験に頼ると、まずチーム全体の意思決定が鈍ってしまいます。「本当にこれが正しいのか」という疑問が残ったまま改善をすると、効率が悪くなり、スピード感が下がるので注意です。
その点、ユーザーデータをもとにすることで、論理的に改善ができます。「ページAの離脱率が悪いからこのページをシンプルにしよう」「ボタンAが押されていないから目立たせよう」など、ゴールが明確になるのが魅力です。
そのうえでマーケティングオートメーション(MA)ツールは、ユーザーの行動データを収集・分析するための有効な手段の一つです。ECサイトにおいては、ユーザーの行動データを詳細に分析し、サイトのデザインやコンテンツの改善点を明確にするのに役立ちます。
ECサイトのデザインのトレンド
インターネットに関連する技術の進化に伴い、ECサイトのデザインも変化しています。2024年のECサイトデザインのトレンドを5つ紹介します。
パララックス・アニメーション
パララックスとは「近くにあるもの」が「遠くのもの」より速く動いて見える現象を指します。この現象を活用したパララックス・アニメーションは、スクロール操作と連動するアニメーションです。この技法には、おもに3つの表現スタイルがあります。
1つめのスタイルでは、スクロール操作に合わせて画像が動きます。ランディングページでよく見られるスタイルであり、画像が滑らかに現れて登場します。例えばNikon 1 AW1のサイトではスクロールとともに、カメラ製品が移動したり、文字情報が出現したりします。これによりユーザーはスクロールをしたくなります。
参考:Nikon「Nikon1AW1」
2つめのスタイルは、画像がスクロールとは異なる速度で移動するスタイルです。一部の画像をスクロール速度からずらして表示するケースもあり「視差」というパララックスの基本概念を象徴する方法です。
3つめは、紙芝居のようにセクションが重なり合いながらスクロールするスタイルです。このようなパララックス・アニメーションを取り入れたWEBデザインは「Le Mugs」や「The Walking Dead」「Dave Gamache」といった海外サイトで多く採用されています。
スクロールテリングデザイン
スクロールテリングデザインは、紙芝居のようにスクロール操作によって物語が展開するスタイルのデザインを指します。スクロールによるダイナミックな演出が特徴で「物語が進んでいくような体験」をユーザーに与えます。
縦長のLPのようなサイトが一般的なものの、スクロールで下に移動するだけではなく、途中で左右に動くデザインも増えてきています。
手書き風イラスト
WEBデザイン界では、シンプルかつフラットなデザインが流行している一方で、手書き風のテキストやイラストを用いたデザインも人気を集めています。
手書き風の要素を取り入れることで、デジタル空間に「あたたかみ」や「手作り」の雰囲気が加わります。またデザインに意図的な違和感を与えて「独特のアクセント」として機能する効果も期待できます。特に、筆・ペンで書かれたような文字は日本語の表現に適しており、日本国内のECサイトでよく使われています。
3Dグラフィックと3Dアニメーション
Web上に3Dの要素を取り入れることで、表現の範囲が拡張できます。最近では「グラフィック」や「アニメーション」でも3Dが注目されています。
かつては、ブラウザ上で3Dを表示するにはプラグインが必須でした。しかし、2011年3月に「WebGL」が登場したことで、PCサイトはもちろんのことスマートフォンサイトでも、3Dグラフィックやアニメーションがプラグインを使用せずにを表示できるようになりました。これにより、3Dを取り入れたWebサイトは増加傾向にあります。
マイクロインタラクションCTA
スマートフォンでは、タッチ操作を前提に「触って操作できる部分を、動的な視覚効果で明確に示す工夫」が施されています。たとえば「iPhone 14 Pro」では、「ダイナミックアイランド」というデザインが採用されています。画面上の黒いバー部分は、触れることで変形・拡張することが可能であることが直感的にわかるようになっています。「画面の表示」と「操作機能」をシンクロさせて操作自体を楽しいものに変えることで、ユーザーの負担を減らして心理的にもプラスに作用します。
また、パソコンでWebサイトを閲覧する際に「カーソルが特定の要素に触れると視覚的に変化する」といった効果があれば、クリック時に安心感を与えます。そのため「マイクロインタラクション」は、ユーザーが行動を起こす際の心理に大きく作用している効果です。
デザインとは見た目ではなく、サイト全体を設計すること
海外の有名デザイナーが作成したオシャレでかっこ良く、凝ったデザインのECサイトなら、売り上げが上がるというわけではありません。
ブランドイメージに合っていて商品の良さが引き立っているデザインと、ユーザーが迷うことなく使える、わかりやすい設計のECサイトのほうが、商品が魅力的に見えて購買行動にもつながりやすいものです。
ECサイトをデザインするときは、見た目を飾ることにこだわるだけでなく、サイト設計を軸にしながらユーザーの使い勝手を常に念頭に置いて工夫することが大切です。
futureshopでは、購入までの導線を設計できるデザイン機能をご利用いただけます。