楽天やAmazonだけではなく自社ECの売上を伸ばす3つの投資

"竹内謙礼氏出版記念記事:楽天やAmazonだけではなく「自社ECサイト」の売上を伸ばす3つの投資"
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※本記事は「ネットショップ運営攻略大全」の著者で、経営コンサルタントの竹内謙礼氏に寄稿いただいた記事です。

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【終了】2021年3月23日(火) 15:00-17:00

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厳しくなるモールECの競争構造から抜け出して自社ECで飛躍する方法。

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「ネットショップ運営 攻略大全セミナー」レポート

自社ECで飛躍を目指す!SEOやSNS運用などの戦略を竹内謙礼さんが解説

2021-05-12

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こんにちは、竹内謙礼です。楽天やAmazon、Yahooショッピング等の「モールEC」での売上はあるが、「なぜか自社ECサイトの売上が伸びない」という相談をされることがあります。

そういった課題をお持ちの方へ届けばという思いで書かせていただいた書籍「ネットショップ運営攻略大全」には、自社ECサイトで使える販促ネタを月商別で書かせていただきましたが、今回の記事では、書籍に書かせていただいた内容のベースとなる「自社ECサイトの売上を伸ばしていく上で必要な3つの投資」についてお伝えしていきます。

自社ECサイトを「お荷物」から「投資先」に

売上が伸びない自社ECサイトを検証すると、以下の2つに分類されます。

  1. 楽天やAmazonを始めて「自社ECサイトでもやってみるか」で始めるパターン。
  2. 自社ECサイトを始めて「売れないじゃないか!」と楽天やAmazonを始めるパターン。

つまり、自社ECサイトを“ついで”に始めるか、そもそも売れていない自社ECサイトを運営しているか、このどちらかがスタート地点になるため、これらの自社ECサイトは長期的に「売れない」という症状に悩まされてしまうのです。

一方、スタートダッシュで自社ECサイトの運営が軌道に乗ったネットショップは、“ついで”が楽天やAmazonになるので、何年にも渡って自社ECサイトが稼ぎ頭になってくれます。このように自社ECサイトの売上が伸びない理由は、運営方法や戦略が間違っているのではなく、自社ECサイトがセカンドサイト、つまり、お荷物のサイトになっているからなのです。

もし、楽天やAmazonよりも稼ぎ頭になる自社ECサイトを構築したいのであれば、「セカンド」から「ファースト」のポジションに自社ECサイトを引き上げる必要があります。今まで楽天やAmazonに最優先で広告費や人材を投資してきた企業は、その投資先を自社ECサイトに切り変えていかなければいけません。

今ある現状を続けるか、投資して新しい売上を創り出すか

しかし、この戦略を取ってしまうと、モール系のネットショップの売上がガクンと落ちてしまいます。だからといって、中小企業の体力を考えると、自社とモール系のネットショップの二兎を追う戦略はすべてが中途半端になってしまい、共倒れしてしまう可能性が出てきてしまいます。

よくあるのが、Amazonの責任者にエース級の社員を据えて、自社ECサイトの運用にスキルの低い人材を配置してしまうケースです。中途半端な人材の配置をするのであれば、いっそのことAmazonを二人体制にしたほうが売上は作りやすいです。

また、自社ECサイトの売上が楽天の10分の1だからといって、広告費も自社ECサイトに10分の1しか投資しないケースも、無意味な戦略と言えます。楽天よりも広告運用が難しい自社ECサイトで、少額の広告投資で売上を伸ばすことはほぼ不可能です。そのような中途半端な投資をするぐらいであれば、いっそのこと自社ECサイトに投資する10分の1の広告費も楽天に突っ込んだほうが、レバレッジは効くと思います。

このように自社ECサイトの売上が低いと、その売上に見合った投資しかしなくなってしまい、いつまで経っても売上が伸びない自社ECサイトを運営することになってしまうのです。

もちろん、商材によっては両方がうまくいくケースもあります。しかし、自社ECサイトの売上を本気で取りに行くのであれば、ある程度、楽天やAmazonを犠牲にする覚悟は必要です。ネットショップに限らず、ビジネスというのは投資の度合いによって勝負が決まるものです。片手間でやっている事業は、やはり片手間の売上しか捻出することはできないのです。

自社ECに必要な「2種類の人」と「お金」を投資する3つの場所

自社ECに必要な2種類の「人」と「お金」を投資する3つの場所の説明

自社ECサイトの運営に必要な投資は「人・お金・時間」の3つです。

「人」は「運営する人」と「作業をする人」の2つが必要です。プロデューサー的な立場となる「運営する人」は、楽天やAmazonなどの経験者ではない人材を抜擢することをお勧めします。「モール系」と「独自ドメイン系」は同じEコマースでも戦略や考え方がまったく違います。Eコマース経験者よりも、ネット広告やSEOの運用経験者のほうが、柔軟な考え方を戦略に取り入れてくれます。

後者の「作業する人」とは、受注管理やページ更新のスタッフです。もし、楽天やAmazonが好調に売れているのであれば、そこの人材を割いてしまうとさらに売上が落ちてしまう可能性があるので、できる限り代用できる業務は外注に出して、現状の売上を落とさない仕組みを作るようにしましょう。

自社ECサイトの「お金」の投資先は、以下の3つがあります。

  • ネット広告
  • SEO
  • SNS

この3つのお金はすべて「集客」への投資になります。自社ECサイトとモール系のネットショップの大きな違いは、集客力の圧倒的な差です。楽天やAmazonには最初から「買いたい人」がアクセスしてきて、最初から買う気満々の人が集まります。また、楽天やAmazonはテレビCMやネット広告からもモールに集客してくれるので、お客様の「数」も圧倒的に多いのが特徴です。

一方、自社ECサイトはGoogleやSNSから集客しなくてはいけないため、「買うか買わないか分からない人」しか集まりません。知名度がない企業では自社ECサイトに多くのお客様を集められないので、必然的に楽天やAmazonと同じ売上を作ることが難しくなります。

集客に投資するお金の行き先と低コストの集客戦略

楽天やAmazonの出店料や手数料の高さに嘆く人がいますが、その料金はすべて「集客」のお金だと思って下さい。自社ECサイトでネット広告やSEOに投資するお金を、出店者でシェアして、代わりに楽天やAmazonの社員たちがやってくれているイメージです。

至れり尽くせりでネットショップに買う気満々のお客様を集客してくれると思えば、実はモールに支払っている手数料は、そこまで高いお金ではないことが理解できると思います。

しかし、逆を言えば、楽天やAmazonに支払っている手数料よりも、安いお金で自社ECサイトに集客できなければ、損をするネットショップ運営ということになります。楽天やAmazonに投資する広告費よりも、自社ECサイトに投資する広告費のほうが多くなってしまうのであれば、「自社ECサイトを運営するよりも楽天やAmazonに投資したほうが儲かる」という逆転現象が起きてしまうからです。

低コストの集客戦略を構築するためには、リスティング広告やリマーケティング広告、SEOを自社で運営する必要があります。いきなり外注に出してしまうと、運営ノウハウが蓄積されないため、いつまで経っても外注費が発生し続けることになります。

自社で集客ノウハウを蓄積して、それをいかに安く運用できるかを考えた後に、外注の広告代理店やSEO業者に委託したほうが、長期的に集客コストを抑えた自社ECサイトの運営が可能になるのです。

ただし、SNSは最初から最後まで自社で運用することをお勧めします。そのほうがお客様に商品の思いやこだわりが伝わりやすいコンテンツが作れますし、外注の業者が運営できるほどSNSはシンプルな集客ツールではありません。ファン作りやリピート客作りの要となるSNSは運営方法が千差万別です。オリジナルの販促手法を見出すつもりで運営に取り組んだほうがいいでしょう。

広告と安売りによる焼き畑農業的なビジネスとは真逆

最後の「時間」は、売上が軌道に乗るまでの時間を意味します。楽天やAmazonはお客様の質が高く、数も多いので、出店するだけですぐに商品が売れ出します。一方、自社ECサイトはネット広告やSEOの効果が表れるまでに時間がかかり、集めたお客様にお店や商品を理解してもらうのにも時間がかかります。

たとえばの話、楽天やAmazonで売上を作るのに1年かかったとすれば、自社ECサイトはその売上に達するまで3年ぐらいかかると思ったほうがいいでしょう。「そんなに待てないよ!」そう思われるかもしれませんが、どんな商売でも「集客」には時間がかかり、集めたお客さんをファンにさせるのには時間がかかるものです。むしろ、楽天やAmazonの売上を作るスピードのほうが、異常だと思ったほうがいいと思います。

しかし、時間をかけて集めたお客様は、そう簡単には離れないメリットがあります。長い時間をかけて商品を理解し、長い期間をかけて商品を買い続けてくれているお客様は、一途にお店と商品のことを愛し続けてくれます。

逆に短時間で捕まえたお客様は、ネットショップに限らず、すぐにお店や商品から離れていきます。広告やセールで集まったお客様は、また別の広告やセールになびいてしまうので、店舗の名前すら覚えずに他のネットショップに流れていきます。

自社ECサイトは売上を作るのに時間はかかりますが、一旦売上が伸びてしまえば安定し続ける傾向が強いです。広告と安売りによる焼き畑農業的なビジネスを余儀なくされるモール系のネットショップとは、ビジネスの時間軸が真逆なのです。

経営者の長期的な視点と器量でEC事業の未来が決まる

自社ECサイトの売上が伸びない理由は、残念ながら経営者の器の小ささが要因と言えます。モール系のネットショップが稼ぎ出す目の前の売上が欲しいあまりに、リスクを取ることを嫌い、上昇し続ける課金や利用料で利益を削られてしまうのは、厳しい言い方ですが、自業自得と言えます。

未来に向けて売上を稼いでくれる自社ECサイトに、水も食料も与えずに、飢え死にさせているようでは、いつまで経っても長期的な視点に立ったEコマース事業を展開させることはできません。肥えていくのは永遠にモール側ばかりで、気が付けば会社がやせ細っているという事態にならないように、早い段階で自社ECサイトを「セカンド」から「ファースト」にあげるアクションは取ったほうがいいと思います。

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「ネットショップ運営攻略大全」 

技術評論社 2021年1月4日 発売

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「あきらめないでください。まだまだネットショップの売上は伸びるんです!」

これからネットショップを始めたい人、楽天市場の手数料や広告費に悲鳴を上げている人、AmazonやYahoo!ショッピング、PayPayモールと並行して、自社サイトの売上を伸ばしたい人 ―― そんな「自分たちのネットショップで売上を作るんだ!」という熱い気持ちになっている人のお役に立てる本になればと思い、本書を書かせていただきました。

私が過去に執筆したネットショップ本は、どちらかというと、厳しい現実を突きつけて、それに立ち向かっていくことを前提として書いた本ばかりでした。しかし、ネットショップの競争が激化している今の状況では、そのような厳しいことばかり書いても、気持ちが暗くなるだけで、まったくやる気が出てきません。やる気が出てこなかったらどんなに良質なノウハウを提供しても、売上を伸ばすことができなくなります。つまり、厳しい現実を突きつけても、本末転倒になってしまうのです。

本書ではネットショップ運営が少しでも面白くなるような販促ネタを中心に書かせていただきました。もちろん、少しは辛口なコメントも書かせてもらっていますが、それは私からの「がんばれ!」というメッセージとして受け止めてもらえればと思います。