ECサイトをオープンソースで構築するためには知識とスキルが欠かせない!理由を解説します

オープンソースを使ったECサイトの構築を検討中の方は、コスト削減やカスタマイズ性の高さに魅力を感じているのではないでしょうか。しかし、メリットとデメリットの両方を把握しないままオープンソースを選択してしまうと、運用面で大きな課題に直面するリスクがあります。

本記事では、オープンソースのメリット・デメリットを詳しく解説し、自社に最適なECサイト構築方法を選択するためのポイントをお伝えします。自社ECサイト構築に、オープンソースを選択すべきか判断するための知見が得られるため、ぜひご覧ください。

オープンソースの特徴

ECサイトにおけるオープンソースとは、ECサイトの構築に必要なソースコードが公開されているソフトウェアの総称です。オープンソースではプログラムの複製や改変、再配布も自由に行えます。また、自分たちが望むようにカスタマイズできるうえ、機能を追加できるさまざまなプラグインも用意されています。

さらに、プログラミングに関する知識やスキルを持っている人材が社内にいれば、ほかの構築方法よりも低コストかつ短期間で構築できるというメリットがあります。代表的なEC用のオープンソースは「EC-CUBE」「Magento」「WooCommerce(WordPressのプラグイン)」などです。

オープンソースを活用すれば、自社のニーズに合わせたECサイトを柔軟に構築できるでしょう。ただし、エンジニアの確保やセキュリティ対策などの課題もあるため、自社の体制とリソースを考慮したうえで、オープンソースの採用を検討する必要があります。

オープンソースで実現できる機能

オープンソースのECサイト構築では、テンプレートやプラグインの活用により、多様な機能が設けられます。

たとえば「EC-CUBE」であれば、オーナーズストアからプラグインとしてダウンロード(有料・無料どちらもあり)することで、売上集計・メルマガ配信・クーポン機能・運送会社連携など、ECサイトの運営に必要な機能が一式使えるようになります。

売上集計とクーポン機能を組み合わせて、クーポンの効果を測定し、マーケティング施策に活かすサイクルをスピーディに回すことも可能です。

ただし、運営に必要な機能を事前に理解していなければ、適切な機能を選択できず、構築に時間がかかるリスクや、必要な機能が不足するリスクがあります。

そのため、オープンソースでECサイトを構築する際は、自社のビジネスモデルや運営方針に基づいて必要な機能をあらかじめ洗い出しておく準備が重要です。

そのうえで、テンプレートやプラグインを活用すれば、開発コストを抑えつつ、短期間でサイトを構築できます。

オープンソースを選択して得られる3つのメリット

ここからは、オープンソースでECサイトを構築して得られる3つのメリットについて詳しく解説します。

コストを抑えた構築が可能

オープンソースは無償のソースコードをもとに構築するため、初期費用を抑えられます。ASPやECパッケージを利用する場合と比べて、ライセンス費用がかからないため、構築だけであればコストを削減できます。

ただし、サーバー代やドメイン代、決済手数料などは別途かかるため、完全無料ではない点に注意が必要です。

カスタマイズ性が高い

オープンソースのソースコードは公開されているため、独自の機能を追加実装できるほか、第三者が開発・公開したプラグインを使って機能をカスタマイズするなど、開発の自由度が高い構築方法です。

ASPでは実現が難しかった自社ならではの販売方式やサイトメニューなども、オープンソースなら構築できる可能性があります。

短期間での構築が可能

オープンソースを活用すれば、カスタマイズによって独自機能を実装する場合でも、フルスクラッチで構築するより短期間でECサイトを構築できます。

基本的な機能が既に実装されているオープンソースを活用すれば、独自機能の開発に集中できるため、開発期間の短縮も可能です。

ハードルが高いオープンソースの3つのデメリット

オープンソースでECサイトを構築する際には、デメリットの把握と対策も必要です。ここでは、オープンソースを選択するうえで障壁となりうる3つのデメリットを解説します。

エンジニアが必須

オープンソースを使ってECサイトを構築・運営するには、エンジニアが必須です。通常運用時における保守・管理はもちろん、事業展開に合わせて機能の追加開発を続ける必要があるため、社内もしくは社外(制作会社や支援企業)に信頼できるエンジニアを抱え続ける必要があります。

仮に社外にシステム保守・管理を委託した場合、ベンダーロックイン(特定のシステムベンダーや開発会社に依存し、他社への乗り換えが困難な状態)が発生しやすくなるという問題もあります。

また、社外の開発会社にオープンソースを使った構築や運営を依頼することは可能ですが、その場合はオープンソースにおける費用面でのメリットが薄れるでしょう。

セキュリティ対策は自己対応

オープンソースはソースコードが公開されているため、サイバー攻撃の標的になりやすい点がデメリットです。脆弱性がある古いバージョンのオープンソースやプラグインを使用していると、不正アクセスのリスクが高まります。

また、構築作業時に、セキュリティホール(プログラミングのミスや不具合によって起こる情報セキュリティ上の欠陥)が生じる可能性も否定できません。たとえば、ログイン機能の実装ミスにより、不正アクセスを許してしまうケースが挙げられます。

実際に、構築当初のまま運用していたオープンソースのECサイトで、不正アクセスによって顧客情報が抜き取られ、多大な損害賠償責任が発生した事例もあります。この事例では、EC事業のみならず、会社全体の存続すら難しくなりました。

サポートが受けられない

オープンソースは、ソースコードにカスタマイズを加える以上、サイトになにかトラブルや障害が起きたら、すべて自己責任で対応する必要があります。ユーザー数の多いオープンソースでは、コミュニティに相談する方法もありますが、実際に手を動かすのは自分自身です。

つまり、オープンソースを使ってECサイトを構築・運営するには、高度な技術力とセキュリティ対策、トラブルシューティング能力が求められるといえます。自社のリソースや体制を十分に考慮したうえで、オープンソースの採用を検討しましょう。

ECサイトをオープンソースで構築する場合の費用目安

オープンソースを使ってECサイトを構築する場合、プログラム自体は無償で利用できますが、機能のカスタマイズをどこまで行うかによって費用が異なります。

一般的な目安としては、基本的な機能を実装する場合の費用で約100万円程度になるでしょう。あくまでも目安であり、オリジナルデザインの制作や商品詳細ページの制作などが加わると、100万円以上の費用を見込んでおく必要があります。

また、サーバー代やドメイン代、決済手数料などの運用コストも別途発生するため、予算計画の際には多少幅をもたせておいたほうが良いでしょう。

ECサイトの構築・運用には、多岐にわたる費用が発生します。そのため、費用の全体像を把握し、適切に予算配分することが重要です。ECサイトに必要な費用の詳細については、以下の記事が参考になります。

 

【検討者必見】ECサイトに必要な費用を構築・運用の17項目で紹介!

2024-04-26

オープンソースの選択を見直したほうがよいケース

オープンソースでECサイトを構築することは、費用面やカスタマイズ性の点でメリットがあります。しかし、すべての企業に適しているわけではありません。以下のようなケースに該当する場合は、オープンソースの選択を見直したほうが賢明です。

  • エンジニアがいない:オープンソースを使ったECサイトの保守・管理には、専門的な知識やスキルが必要不可欠。社内にエンジニアがいない場合、トラブル対応や機能の追加、改修などが難しい
  • 困った時に相談したい:オープンソースは基本的に自前での対応が必要。サポート体制が整っているプラットフォームと異なり、トラブル発生時に専門家に相談できる窓口がない

オープンソースで構築すべきかどうかは、自社の体制やリソースを十分に考慮したうえでの判断が重要です。エンジニアのリソースが不足していたり、トラブル対応に不安を感じたりする場合は、オープンソースではなく、SaaS/ASPの利用やECパッケージなどを検討するのも一つの方法でしょう。

SaaS/ASPやECパッケージは、基本的な機能が揃っているため専門的な知識やスキルがなくてもECサイトを構築できます。また、トラブル発生時のサポート体制も整っているため、安心して利用できます。

自社に最適なECサイト構築方法を選択するためには、オープンソースのメリット・デメリットを正しく理解し、自社の状況との照らし合わせが不可欠です。必要に応じて専門家に相談しながら、慎重な判断をおすすめします。

ECサイトをオープンソースで構築すべきかどうかのチェックポイント

オープンソースでECサイトを構築するかどうかを判断する際には、以下7つのポイントを確認しましょう。

  • ベンチマーク先が使っているか
  • 求める機能が搭載されているか
  • セキュリティ性が高いか
  • サポート体制は整っているか
  • 予算内で構築・運用できるか
  • 拡張性は十分か
  • 希望日にオープンできるか

オープンソースが適していると判断された場合は、費用対効果の高いECサイト構築が可能になるでしょう。なお、オープンソース以外のプラットフォームについても情報を収集し、比較検討することをおすすめします。

ECプラットフォームの種類や選定ポイントについて、より詳しく知りたい方は以下の記事をご参照ください。

 

ECプラットフォームとは?種類から選ぶ際の7つのポイントまで解説

2024-04-05

機能更新に不安が残る場合はSaaS/ASP

オープンソースでECサイトを構築する際に、機能更新やセキュリティ対策に不安を感じる企業も少なくありません。そのような場合は、SaaS/ASP型のECプラットフォームを選択するのも一つの方法です。

実態として、近年ではオープンソースを提供しているサービスであっても、SaaS/ASP型に類似したクラウド形のサービスに移行している流れがあります。

futureshopでは、直感的かつ柔軟なカスタマイズができる「commerce creator」を用意しており、オープンソースのようにエンジニアがいなくても、自社のニーズに合わせてECサイトを構築できます。

また、オープンソースのデメリットである、機能の追加・改修の難しさや、セキュリティ対策の不安なども、futureshopなら解消できるでしょう。たとえば、新しい決済方法を導入したい場合、futureshopでは簡単に設定できます。セキュリティ面でも、常に最新のアップデートが適用されるため、安心して利用できます。

futureshopの詳しい特徴や活用方法については、サービス資料にまとめています。ECサイト構築を検討中の方にとって参考になる情報が満載です。ぜひ一度資料をご覧ください。

まとめ

オープンソースを使ったECサイトの構築は、コスト面やカスタマイズ性の点でメリットがあります。一方で、エンジニアリソースの確保やセキュリティ対策、機能更新への不安など、デメリットも存在します。

自社に最適なECサイトの構築方法を選ぶためには、自社の体制やリソースとの照らし合わせが重要です。

オープンソースだけではなく、SaaS/ASPやECパッケージなどの選択肢も幅広く検討しましょう。自社のニーズに合ったECプラットフォームを選択することで、効率的かつ安定的なECサイト運営を実現できます。