世界一のユーザー数を誇るECサイトAmazonの特徴とは?楽天との違いや始め方まで解説
- 2024.07.192024.07.19
EC事業を始めたいけれど、Amazonで運営する手順やECサイト自体の概要から確認したいと考えていませんか。選択を誤ると、集客や運営コストで苦労してしまうかもしれません。
本記事では、Amazonの特徴や楽天との違いを詳しく解説します。さらに、自社独自でサイトを構築したほうがよいケースを含めた、重要なポイントを網羅しています。ぜひ、EC事業の参考情報としてお役立てください。
目次
Amazonは世界一のユーザー数を誇るECモール
Amazonは、世界最大のECモールとして知られています。利用者の多い巨大なプラットフォームであり、これからEC事業を始める方にとって大きなチャンスとなる可能性があります。
日本だけではなくアメリカやヨーロッパでシェアNo.1
Amazonは日本国内だけでなく、世界的にみても圧倒的なシェアを誇ります。具体的には、ジェトロ(日本貿易振興機構)が発表した2022年データによると、日本におけるAmazonのシェア率は28.2%、2位の楽天は25.1%です。
同じくジェトロの2022年データにて、アメリカではAmazonのシェア率が40.7%と、圧倒的な強さをみせています。ヨーロッパでも24.8%のシェアを持ち、各地域でトップの座を確立しています。
参考:ジェトロ(日本貿易振興機構)「世界と日本の経済・貿易」第4節
定期的なセール開催で販促が期待できる
Amazonの大きな特徴は、定期的に開催されるセールイベントです。毎月のタイムセールに加え、初売りや新生活応援セール、プライムデーなど、年間を通じてさまざまなセールが開催されます。
セールイベントは、出品者にとって大きな販促のチャンスです。定期的に商品を販売できる機会があるため、年間を通して安定した売上が期待できます。
Amazonと楽天の違い
Amazonと楽天は、どちらも日本における大手ECモールですが、運営方法や特徴に違いがあります。違いについて具体的に理解すれば、自社のビジネスに適したプラットフォームを選択できるようになります。
違い①Amazonは出品・楽天は出店
Amazonと楽天では、事業者の参加形態が異なります。Amazonでは「出品」形式を取り、商品ごとに自社の情報が掲載されます。そのため、商品の認知度向上が狙いやすいといった点が特徴です。
一方、楽天は「出店」形式を採用しており、独自の店舗ページがもてます。そのため、ショップとしての認識を得やすく、ブランド戦略に有利な面があります。
違い②出店スピードはAmazonが早い
ビジネスを始める速さの点では、Amazonが楽天を大きく上回ります。Amazonの場合、必要な情報を提供すれば、わずか3営業日で審査が完了します。なお、出品開始までの準備期間は、平均で3〜4週間です。
必要な情報は以下の7点です。
- 会社情報
- 法人番号
- 登記簿上法人名(ローマ字・日本語)
- 本社所在地 (住所)・郵便番号
- 店舗名(個人事業主の方も必須)
- アカウント担当者情報
- 顔写真入りの身分証明書
- (パスポートまたは運転免許証)
- クレジットカード情報
- 各種明細書
対照的に、楽天では申し込みから開店までに2〜4ヶ月程度かかります。時間がかかる理由は、申し込みの審査に2週間〜1ヶ月、開店前審査にさらに3週間〜1ヶ月を要するためです。
違い③手軽さはAmazon・自由度は楽天
商品ページの作成と管理に関しては、Amazonと楽天で異なるアプローチを取っています。Amazonは、商品ページの基本フォーマットが決まっており、画像は最大9枚(モバイルでは7枚)まで掲載可能です。シンプルな構造により、情報を入力するだけで簡単に商品ページを作成できる手軽さがあります。
一方の楽天はより自由度が高く、商品ページのカスタマイズが可能です。最大20枚の画像と1つの動画を登録でき、さらにHTML形式で追加の画像や情報を表示させられます。柔軟性の高さにより、楽天ではより詳細な商品説明やブランディングが構築できます。
Amazonはこんな方におすすめ
Amazonは多くの出品者にとって魅力的なプラットフォームですが、特に以下のような方々に適しています。自社のビジネスモデルや目標に合わせて、Amazonの特徴を活かせるかどうか検討してみてください。
おすすめ①集客力を活用したい方
Amazonは日本国内のECシェアでNo.1の地位を誇っており、圧倒的な集客力は多くの出品者にとって大きな魅力です。
実際に、ECモール全体の売上を比較すると、Amazonの2023年実績は、ドルベース:260億200万ドル(前年比6.6%増)、円ベース:約3兆6,662億8,200万円(2023年の平均為替レート1ドル=141円で換算)を記録しています。
巨大なマーケットプレイスに参加することで、自社商品の露出を増やし、潜在的な顧客層へリーチできる可能性が高められます。
おすすめ②コンパクトに事業を始めたい方
Amazonはショップの開設や運用が比較的簡単であるため、リソースが限られている場合でもEC事業を始めやすいプラットフォームです。
特に独自システムの「FBA(Fulfillment by Amazon)」を利用することで、出品者の負担を大幅に軽減できます。FBAを利用すれば、商品をAmazonの倉庫に送るだけで、以下の業務をAmazonが代行してくれます。
- 注文
- 梱包
- 発送
- 返品対応
- 決済関係
ただし、クレームやカスタマー対応は基本的に出品者が行う必要があり、迅速な対応が求められる点には注意が必要です。また、在庫管理においても、FBAへの納品時間や在庫反映までの時間を考慮する必要があるため、自社発送よりも厳密な管理が求められます。
おすすめ③グローバル事業(越境EC)を検討している方
Amazonの「グローバルセリング」機能は、国際展開を考えている事業者にとって非常に魅力的なオプションです。本機能を利用すれば、アメリカ大陸、ヨーロッパ、アジア太平洋地域など、世界中の市場に商品を販売できます。
Amazonの国際的な環境の活用により、個別に海外進出を図るよりも効率的かつ低リスクで国際展開を実現できる可能性があります。
AmazonでのEC事業の始め方
ここからは、AmazonでEC事業を始めるための3つのステップを解説します。
ステップ①アカウントの作成
Amazonで出品を始めるには、まず専用のアカウント作成が必要です。具体的には、以下の個人情報が出品者の身元確認と支払い処理に使用されます。
- 有効期限内の顔写真入りの身分証明書
- 過去180日以内に発行された各種取引明細書(1部)
- メールアドレス
- 電話番号
- 銀行口座情報
- クレジットカード情報
ステップ②出品プランの選択
Amazonでは、「小口出品プラン」と「大口出品プラン」の2種類の出品プランが用意されています。プランごとの違いは以下の表のとおりです。
プラン |
小口出品プラン |
大口出品プラン |
月間販売個数 | 49個まで | 50個以上 |
販売手数料 | あり | あり |
基本成約料 | 商品1つ販売するごとに100円 | なし |
月間手数料 | なし | 4,900円(税別) |
販売規模や頻度に応じて、最適なプランを選択することがEC事業の運営では重要です。
ステップ③出品する商品の登録
商品登録の方法は、「型番商品」と「オリジナル商品」で異なります。
- 型番商品の登録:既存の商品カタログに含まれる商品を登録する場合は、商品名やJANコード(商品識別番号)、型番、ASINを入力して検索。該当する商品が見つかったら、在庫数や価格を入力すれば登録が完了。
- オリジナル商品の登録:独自の商品を登録する場合は、より詳細な情報が必要。JANコードや商品名、商品画像、詳細な説明文などを入力して申請。この場合、Amazonによる審査が行われるため、登録完了までに時間がかかる場合がある。
ステップ1から3までを確実に進めることで、スムーズにAmazonでのEC事業を開始できます。
自社ECを構築した方がいいケース
Amazonや楽天などのECモールの利用は多くのメリットがありますが、場合によっては自社独自のECサイトを構築するほうが望ましいこともあります。以下にて、自社ECサイトの構築が有効なケースを紹介します。
ブランディングを重視したEC事業をしたい場合
自社ECサイトは、ブランドイメージを効果的に発信するための強力なツールとなります。なぜなら、Amazonや楽天のようなECモールでは制限されがちな表現の自由度が、自社サイトでは大幅に広がるためです。
サイトのデザインやコンテンツ、画像などを通じて、自社の世界観や価値観を存分にアピールでき、他社との差別化を図れます。
顧客データを自社で管理したい場合
ECモールでは、モール運営者の制限がかかるため、打ち出せるマーケティング施策の質が変わってきます。
一方、自社ECサイトでは、顧客の購買履歴や行動データの収集・分析を直接的に実施できます。
たとえば、顧客の好みや購買パターンの分析により、効果的な商品リコメンデーションやターゲティング広告が可能です。
さらに、データから得られた結果を商品開発や品揃えの改善に活かせれば、顧客満足度の向上とビジネスの成長を同時に実現できるでしょう。
コストを抑えたい場合
Amazonや楽天などの大手ECモールを利用する場合、売上に応じた手数料が発生します。特に売上が伸びるほど、手数料の負担も大きくなる点には注意が必要です。
自社ECサイトの場合、初期構築費用やランニングコストはかかるものの、ECモールよりは運営コストを抑えられます。長期的な視点でみると、売上規模が大きくなるほど、自社ECサイトのほうがコスト効率が良くなる可能性があるといえます。
自社ECの構築方法について詳しい内容は、以下の記事をご覧ください。
まとめ
Amazonはグローバルに展開するECモールとして、多くのEC事業者に支持されています。世界的なシェアはもちろん、定期的なセールや簡単な出品プロセスなどにより、幅広いビジネスニーズに対応できる点が特徴です。
一方で、自社独自のECサイト構築も、ブランディングの強化や顧客データの直接管理、長期的なコスト削減の観点から検討に値します。どちらを選択するかは、事業規模をはじめ、目標やリソースなどを考慮して決定すべきです。
Amazonと自社ECサイトの特性を理解し、自社の戦略に合った最適な選択が、EC事業で結果を出すためのポイントとなります。まずは、どのようなEC事業を展開したいのか、洗い出すところから初めてみてはいかがでしょうか。futureshopでは、ECサイトに関するご相談を承っています。ぜひ、以下よりお気軽にお問い合わせください。