注文が増えるほど赤字!?ポイント還元やクーポン施策のやり過ぎにご注意

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ネットショップの売り上げを増やすには、顧客にポイントやクーポンを付与して購入を促すことが有効です。
ECサイトの新規会員登録などの特典としてポイントやクーポンを発行するEC事業者さまも多いのではないでしょうか。

ただし、ポイントやクーポンをむやみに発行することの弊害は少なくありません。

消費者が割引価格に慣れてしまうと、定価で販売することが難しくなります。
また、プロモーション費用が利益を圧迫し、場合によってはせっかく注文が増えたのに赤字になってしまうこともあるでしょう。

さらには、ポイントやクーポンを必要以上にサービスしてしまった事で、狙っていない「タダポチ」「お得ポチ」のSNSで拡散され、単価アップ施策用の低価格商品の在庫がいっきになくなった…ということもよく耳にします。

新型コロナウイルスの影響で売り上げが落ち込んでしまったときに、少しでも売り上げを増やそうとするあまり、ポイントやクーポンを過度に発行して失敗するケースが目立ち始めました。

諸刃の剣であるポイントやクーポンを上手に活用し、いつも買ってくださるお得意さまを増やしながら、利益を確保する方法を解説します。

ポイントやクーポンをプロモーションに活用する主な方法

ネットショップがポイントやクーポンをプロモーションに活用する場合、一般的に次のような使い方があります。

  • 新規会員登録の特典
  • 外部サービスのアカウントとの連携特典
  • 優良会員のポイント還元率を優遇
  • 誕生月などにクーポンを発行

新規会員登録の特典

ネットショップの会員登録の特典としてポイントやクーポンを付与することで、新規会員を獲得しやすくなります。

付与するポイントやクーポンの金額は商品単価によって異なりますが、雑貨やアパレル、食品などでは300~500円程度が一般的。
会員登録後、初回の買い物で使えるクーポンを発行すると会員登録率が高まるでしょう。

外部サービスのアカウントとの連携特典

ネットショップの会員のアカウントと外部サービスのアカウント(LINE IDやAmazon IDなど)を連携する特典としてポイントやクーポンを発行すると、会員のアカウント連携を促進することができます。

アカウントの連携は面倒だと感じる消費者は少なくありませんから、ポイントやクーポンなどの特典を設定することは有効です。

なお、ネットショップの会員のアカウントとLINE IDを連携すれば、メッセージ配信機能などを使ってさまざまなプロモーションやCRMを強化できます。

優良会員のポイント還元率を優遇

会員の購入金額や購入頻度などに応じて「会員ステージ」を設定し、ステージが上がるにつれてポイントの還元率を高めることで、ロイヤリティの高い会員を増やすことができます。

誕生月などにクーポンを発行

会員の誕生月に使えるクーポンや、クリスマスなどのイベントに使える限定クーポンを発行することで購入のきっかけを作ることができます。

「注文が増えるほど赤字」という失敗を避ける

ポイントやクーポンを活用することは、ネットショップの会員獲得や売り上げアップに効果があることは間違いありません。

ただし、ポイントの還元率をむやみに高く設定したり、クーポンの用途を限定せずに発行したりすると、予想外の損失を出してしまうことがあります。

例えば…

ECサイトの新規会員登録の特典として1,000ポイント(=1,000円相当)を発行

さらに、会員アカウントとLINE IDを
連携した特典として1,000円分のクーポンを付与するとします。

そのポイントとクーポンは
初回の購入時点で使える設定です。

ネットショップの客単価が2,000円以下の場合…
会員は実質無料で商品を買えてしまいます。

ネットショップ側は商品の原価や人件費、送料などの金額分が赤字になり、
注文が増えるほど損失は拡大
します。

このように、ポイントやクーポンを発行する場合は商品の販売価格や利益率などとのバランスをしっかり見ておかないと、思わぬ損失を出してしまうことがあるので注意してください。

狙っていない「タダポチ」「お得ポチ」拡散に注意

拡散注意

皆さまは「タダポチ」「お得ポチ」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

「タダポチ」「お得ポチ」とは、企業が発行したポイントやクーポンなどを使い、実質無料(タダ)で商品を注文する(ポチる)ことを意味する造語です。

初回のお買い物時にも使えるポイントやクーポンの還元率を高くし、お得にお買い物をしていただこうとしすぎたあまり、「タダポチ」SNSで拡散され、数百件、数千件という0円でのご注文が殺到するということも、度々起きています。

プロモーションとして、狙っているならば成功かもしれませんが、思いもよらずであればその後の対応も大変です。

また、「タダポチ」で集めたお客さまリストに対して、その後どのように2回目のご注文をしていただくか、戦略がないままではただの「ばらまき」になってしまいます。

特に、2020年3月ごろから、新型コロナウイルスの感染拡大によって外出を自粛している消費者が増えたこともあって、ネットショッピングをご利用くださる機会も多くなりました。

「お得な情報」を見つけて楽しくショッピングしていただくことは、販売者側としても大変喜ばしいことですが、青天の霹靂!のような数百件、数千件の「タダポチ」注文は、狙っていない場合は避けたいですよね。

そのため、ポイントやクーポンの還元率設定と自社商品の最低価格を再度見直しましょう。
実際、「タダポチ」で商品を手に入れる方法を紹介しているブログやSNSアカウントはたくさんあります。

ポイントやクーポンは「リピーターを増やす」ために使う

ポイントやクーポンを活用してお得意さまを増やすには、どのような使い方をすれば良いでしょうか。

ECサイト構築プラットフォーム「futureshop」の導入店舗さまの事例を踏まえ、ポイント還元やクーポン施策の費用対効果を高める方法を紹介します。

まず、ポイントやクーポンは「リピーターを増やす」ために使うという意識を持つことが重要です。

例えば、会員登録の特典として「初回購入限定のクーポン」を付与し、さらに、ID連携の特典として「2回目以降の購入時に使えるポイント」を発行します。

こうすることで、新規会員登録からリピート購入へとユーザーをスムーズに誘導することができます。

また、会員サービスの一環として「会員ステージ」を設け、ステージが上がるにつれてポイントの還元率を高く設定すれば、ロイヤリティの高い会員を増やすことができます。

ウェブ接客ツールを活用して顧客ごとに特典を出し分ける

ECサイトにウェブ接客ツールなどを導入し、ポイントやクーポンなどの特典を顧客ごとに出し分けることで、プロモーション施策の費用対効果を高めることができます。

会員のセグメントを切って、ポイントやクーポンを付与する条件を設定した上で、ウェブ接客ツールでワン・トゥ・ワン・マーケティングを行ってください。

ウェブ接客ツールを導入し、特典を出し分けする方法の例

  • 過去に購入履歴がない新規ユーザーがECサイトの商品ページにアクセスしたら「初回限定クーポン」のキャンペーンを表示する
  • 過去に商品を1回購入したが、会員登録していない顧客がECサイトにアクセスしたら「会員登録で100ポイント付与」といったキャンペーンをウェブ接客ツールなどを使用し表示する
  • 過去に数回商品を買っているが定期購入ではない顧客に対し、定期購入の方が割引率が高いことをポップアップ表示して定期申込を促す

クーポンやポイントの利用条件を設定する

期限を決めて管理しよう

売上アップのカンフル剤としてポイントやクーポンを使う場合、短期的には赤字を許容する場合もあると思います。

そういった場合でも、赤字が無制限に拡大しないように、ポイントやクーポンを利用できる期間や、利用する場合の最低購入金額などを設定しておくことが大切です。

まとめ

2020年は景気の先行きが不透明で、「少しでも売り上げを伸ばしたい」「安定的に買ってくれる会員を1人でも増やしたい」と考えるネットショップさまも多いと思います。

もちろん、事業を継続するために売り上げを確保することは必要ですし、「アフターコロナ」を見据えて新規会員を増やしておくことはとても大切です。

しかし、売り上げが落ちているからといって売り急いでしまい、過度なプロモーションを行って赤字を拡大させてしまっては本末転倒。

ネットショップの客単価や利益率などを踏まえ、費用と利益のバランスを考えた上で、長期的に買い物をしてくれるお得意さまを増やせるようなプロモーション施策を設計しましょう。

会員獲得やファンの獲得に効果の高い、ライブコマースというプロモーションの手法もあります。ぜひ関連の記事を参考に施策を検討してください。

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