ITP2.3でさらに規制が強化! アフィリエイト広告への影響について解説
- 2019.10.182024.01.30
「アフィリエイトの広告効果を正確に計測するのが、どんどん難しくなっている」というのをご存知でしょうか?
その理由は、Appleが独自に開発したトラッキング防止技術「ITP」にあります。
2019年9月には最新版のITP2.3にアップデートされ、アフィリエイトの成果の計測がより困難になりました。
そこで本記事では、ITP2.3の概要やその影響について解説していきます。
商品の購入や申込を増やす施策として、アフィリエイトを検討中・運用中のEC事業者様は、ぜひ最後まで目を通してください。
※前回の記事「ITP2.2とは?アフィリエイト収益に影響を及ぼすその概要や目的を解説!」の続報です。こちらを先にチェックしておくと、ITPに対する理解がよりスムーズです。
▼ IT系最新記事はこちら
目次
ITPとはなにか?4つのポイントで簡単におさらい
ITP2.3の説明に入る前に、「そもそもITPとはなにか」を4つのポイントでサクッと紹介します。
- ITP(intelligent tracking prevention)とは、ユーザーのプライバシー保護が目的の機能
- 主にユーザー情報の記録・保存ができるクッキー(cookie)の利用を制限している
- Apple製品(iPhone、iPad、iMacなど)の標準ブラウザ「Safari」にITPは搭載
- Safariの安心・安全は増す一方で、クッキーを用いた広告配信や成果計測が困難に
アフィリエイトは成果報酬型の広告なので、成果を正しく計測できないと、アフィリエイトそのものが機能しなくなります。
ITPによるクッキーの規制は、Appleユーザーには嬉しい一方で、広告主やアフィリエイターなどには脅威的な存在なのです。
特に日本はiPhoneの愛用者が多く、「スマホでSafariを利用する人」は全体の6割なので、ITPによる影響がダイレクトに出るおそれがあります。
※参照元:【2019年10月】ブラウザのシェアの統計情報(Syncer)
ITP2.3によってローカルストレージも規制対象に!
2019年9月、AppleはITPを最新版の2.3へアップデートしました。
対象となるSafariは、以下の通りです。
- iOS13
- iPadOS(β)
- macOS(Catalina、Mojave、High Sierra)
ローカルストレージ(localStorage)とは、ブラウザ上に任意のデータを保存できる仕組みのことです。
クッキーとほぼ同じ役割を持っていますが、ローカルストレージはクッキーの後継技術として、より優れた特長を持っています。
クッキー | ローカルストレージ | |
保存容量 | 小(4KB) | 大(5MB) |
有効期限 | 有り(指定期限まで有効) | 無し(永続的に有効) |
サーバーへのデータ送信 | 通信ごとに全てのクッキー情報を自動送信 | 必要なデータを必要なときだけ送信 |
ITP2.2までの規制対象は主にクッキーだったため、その代替策としてローカルストレージで成果の計測を行うASP(アフィリエイト業者)もいました。
しかし、ITP2.3はそのローカルストレージにも規制の手を伸ばしたというわけです。
具体的には、以下の条件を満たすとローカルストレージのデータは即時削除されます。
- トラッカー判定されているサイトから、計測対象のLPにユーザーが流入する
- LPのURLに、固有のパラメータやフラグメントが付与されている
- LPに流入後、ページ内で操作(クリックやテキスト入力など)が行われない
※ページ内で操作が行われた場合、データの有効期限は7日まで延長(その後削除)
専門用語が並んで少し難しいと思うかもしれませんが、
「AppleはITPの影響範囲をさらに広げ、どんどん規制を強めている」という認識だけ持っていただければ大丈夫です。
ITP2.3の規制内容についてさらに詳しく知りたい方は、英文になりますがApple運営のブログ「Intelligent Tracking Prevention 2.3(WebKit)」をぜひ参考にしてください。
ITP2.3へのASP(Affiliate Service Provider)の対応は必ずチェック!
ITP2.3によってローカルストレージにも規制が入り、ASP※によっては成果の計測に支障が出るおそれがあります。
成果報酬型のアフィリエイトにとって、成果を正しく計測できるか否かは死活問題です。
そのため、自社で取引をしているASP※はどのように計測をしているか、ITPに対してどんな対策を打っているかなどをしっかり確認しましょう。
一部のASP※では、ITP2.3の対策についてすでにアナウンスを行っています。まずはASP※のサイトを訪問し、最新のプレスリリースをチェックしてみてください。
まだ告知がされておらず、対応が気になる場合はASP※に直接連絡をするのがオススメです。
ITP2.3の対策は必要に応じて行おう
前回のITP2.2と同様、広告主側(EC事業者)はASP※のITP対策を基本的に見守る形になります。
ただし、ASP※が計測方法を変更する際、新タグに移行するなど広告主に業務を依頼することがあります。そのような場合は、速やかに対応しましょう。
また、ITP対策をするにあたり、ASP※には高い技術力や企業体力が求められます。それらに乏しいASP※は厳しい状況にあり、将来は統廃合が進むかもしれません。
アフィリエイトにじっくり取り組む場合は、どのASP※と長くお付き合いをしていくか慎重に検討するのがオススメです。
今後のITP情報にしっかりアンテナを張っておこう
Appleは2017年にITP1.0を導入して以来、アップデートを繰り返してどんどん規制を強めています。
2019年だけでも、以下のように活発な動きが見られます。
- 3月: ITP2.1(JavaScript発行のファーストパーティCookieは7日間で削除)
- 5月: ITP2.2(JavaScript発行のファーストパーティCookieは24時間で削除)
- 9月: ITP2.3(ローカルストレージのデータは最大7日間で削除)
これらに対して各ASP※も対策を講じていますが、最終的な解決には至っていません。
ユーザーファーストでより安心・安全なブラウザを提供したいAppleと、成果を正確に計測したいASP※のいたちごっこは、これからも続いていくと予想されます。
ITPのアップデート情報やASP※の対策について、今後もしっかりアンテナを張っておくことが大切です。
まとめ:アフィリエイトをするならITPの動向チェックは必須
スマホの普及やネット環境の向上などにより、アフィリエイト市場は毎年成長していますが、一方でITPによる規制も進んでいます。
これまではクッキーが主な規制対象でしたが、最新のITP2.3ではローカルストレージにまで規制範囲が広がりました。
成果報酬型のアフィリエイトは、高い費用対効果を得られる優秀なビジネスモデルです。しかし、成果を正しく計測できなければ意味をなしません。
アフィリエイトに取り組むのであれば、今後もITPの動向に注目し、状況に応じて必要な対策を行うことが大切です。
E-Commerce Magazineでも新しい情報が入り次第、記事化してお知らせいたします。
「GDPR」について
混合コンテンツブロックに関して
BERT(バート)アップデートに関して
この記事が気に入ったら、いいね!で応援お願いいたします!