ECに後払い決済を導入するメリットとは?利用率や注文処理の流れ、導入の注意点も解説

後払い決済のメリットと注意点ECにおける重要な決済手段の1つである「後払い決済」。ECサイトに後払い決済を導入するとカゴ落ちの抑制が期待できるため、コンバージョン率アップを目的として後払い決済の導入を検討しているEC事業者さまもいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで今回、ECサイトに後払い決済を導入するメリットや注意点、後払い決済の利用率などについて、あらためて詳しく解説します。

後払い決済の注文処理の流れをイメージしていただきやすいように、ECサイト構築プラットフォーム「futureshop」シリーズと連携済みの後払いサービスを例に挙げて、注文から支払いまでの手順も紹介します。後払い決済の導入を検討している店舗さまは、実装イメージの参考にしてください。

【この記事を読むと、次のことがわかります】

  • 後払い決済のメリットや利用動向
  • 後払い決済をECサイトに導入するメリット
  • 後払いサービス選びの注意点
  • 後払いにおける注文処理の流れ

後払い決済とは?

後払い決済とは、購入した商品を受け取ってから商品代金を支払う決済方法です。顧客は郵送や商品同梱などで送られてくる請求書にしたがって、コンビニ払いや銀行振込、口座引き落とし、クレジットカード、ID決済などで代金を支払います。なお、請求書は電子データをメールなどで送信する場合もあります。

後払い決済の仕組み

後払い決済には、購入者、加盟店(EC事業者)、後払い決済サービス提供者(Net Protections)、そしてコンビニエンスストア、銀行、郵便局が関わります。

具体的には、以下の流れで決済が完了する仕組みです。

  1. 購入者が商品やサービスの購入時に後払いオプションを選択する
  2. 決済代行会社を介して、後払い決済サービス提供者による決済処理と入金処理が行われる
  3. 加盟店からから購入者へ商品やサービスを提供する
  4. 後払い決済サービス提供者から購入者へ請求書を送付する
  5. 購入者が請求書に基づき、コンビニや銀行または郵便局で代金を支払う

後払いがユーザーにもたらすメリット

後払い決済は消費者にとって、メリットの多い決済手段です。消費者にとってのメリットを知っておくと、ECサイトに後払いサービスを導入するメリットも理解しやすくなりますので、まずは消費者視点での後払いのメリットを解説します。消費者側の主なメリットは「安心・便利」という点であり、具体的には以下の3点に集約されます。

  1. 商品を受け取ってから代金を払うため安心
  2. クレジットカードがなくてもネットショッピングができる
  3. すぐに使えるお金が手元になくても買い物ができる

商品を受け取ってから代金を払うため安心

後払い決済は、商品を受け取った後に代金を支払うため、オンラインショップを利用する消費者にとって商品が確実に届くという安心感があります。特に、初めて利用するオンラインショップで買い物をする際に「商品がきちんと届くか心配」「偽物が送られてきたらどうしよう」と言った不安がある場合でも、後払い決済なら安心して買い物をすることができるでしょう。

クレジットカードがなくてもネットショッピングができる

ECの決済手段はクレジットカードが主流ですが、 中にはクレジットカードを持っていない人もいるでしょう。また、クレジットカードを持っていても、カード情報の漏えいを懸念してカード番号をECサイトに登録することに抵抗を感じる消費者がいるかもしれません。そういった消費者にとって、クレジットカードを使わない後払い決済であれば、安心してオンラインショップで買い物をすることができます。

すぐに使えるお金が手元になくても買い物ができる

すぐに欲しい商品があるのに、使える現金が手元になく、クレジットカードも持っていない消費者でも、後払い決済が使えるECサイトであれば買い物をすることができます。例えば、「今すぐ買わないと売り切れてしまう商品を、バイト代が入ってから支払いたい」といった消費者の注文を獲得することが可能です。

ECサイトに後払いを導入するショップ側のメリット

後払いを導入することでショップ側には以下のメリットがあります。

  • カゴ落ちの削減
  • 請求の手間がなく、未回収リスクも回避
  • 顧客層の拡大

カゴ落ちの削減

前章で解説した通り、後払い決済は消費者にとってメリットの多い決済手段であり、特にクレジットカードを持っていない、あるいは使いたくない消費者にとって有力な選択肢になります。

ここで1つの仮説が成り立ちます。それは、「ECサイトの決済手段に後払いがないと、後払いを使いたい消費者は買い物をやめてしまう可能性がある」ということ。商品をECサイトのカートに入れたにもかかわらず、決済に進んだ段階で後払いが使えないことに気づき、買い物をやめてしまう。いわゆる「カゴ落ち」が発生するのではないかという仮説です。

その仮説を裏付けるような調査結果があります。SBペイメントサービス株式会社が2022年7月に公表した、ECサイトにおける決済手段の利用実態調査によると、よく利用する決済手段がECサイトで使えなかった場合の対応として、約6割※1の消費者がそのECサイトを離脱すると回答しました。

※1「他のネットショップで同じ商品を探して購入する」「購入をやめる」の合計

SBペイメントサービス株式会社「【第3弾】最新のECサイトにおける決済手段の利用実態調査結果を公開」 2022年7月6日 プレスリリース

出典:SBペイメントサービス株式会社「【第3弾】最新のECサイトにおける決済手段の利用実態調査結果を公開」 2022年7月6日 プレスリリース

この調査結果を踏まえると、顧客の使いたい決済手段がECサイトに実装されていないと、その顧客はカゴ落ちしやすくなると考えられます。裏を返せば、ECサイトに後払い決済を導入すると、後払いを希望する顧客のカゴ落ちを防ぐ効果があると言えるでしょう。

請求の手間がなく、未回収リスクも回避

後払い決済をECサイトに導入した場合、後払いを使う顧客の与信審査や請求書の発行、代金回収などの業務が発生します。EC事業者さま自身でこれらの業務を行うことが難しい場合は、それらを代行してくれる後払い専用の決済サービス(以下、後払いサービス)を利用するのがお薦めです。

現在、後払いサービスは「@払い」「後払い.com」「NP後払い」「クロネコ代金後払いサービス」「GMO後払い」「Paidy(ペイディ)」など、さまざまなサービスがあります。

後払いサービスの多くは、顧客が代金を支払ったか否かにかかわらず、商品代金を加盟店(EC事業者さま)に支払います。後払いサービス事業者が代金を立て替えるため、EC事業者さまは未回収リスクがありません。顧客が商品代金を払わなかった場合でも、催促や代金回収を行う必要がないことは大きなメリットと言えるでしょう。

顧客層の拡大

後払い決済の導入により、顧客層の拡大が見込めるのがメリットです。導入すると、クレジットカードを持っていない学生や主婦(主夫)であってもネットショッピングが利用できるためです。

加えて「クレジットカード情報の入力」や「商品到着前の支払いに対する不安」に対しても、後払い決済は問題なく利用できる選択肢となります。顧客層を拡大すれば新しい需要を創出するため、結果として売上の増加も期待できます。

後払いサービスを導入する際の注意点

後払いサービスをECサイトに導入する際は、導入費用や手数料などがかかる場合があります。また、ECサイトの構築・運営にECプラットフォームを利用しているEC事業者さまは、後払いサービスとECプラットフォームのデータ連携の可否にも注意が必要です。

費用や手数料を比較する

ECサイトに後払いサービスを導入すると、初期費用や月額費用、決済1件ごとの手数料、売上高に応じた決済手数料(%)などがかかります。発生する費用の種類や金額、料率などはサービスによって異なるため、後払いサービスをECサイトに導入する際は、各社の条件を比較して自社にとって最適なサービスを選択しましょう。

注文データの連携が可能か確認する

購入者が後払いサービスを利用した場合、ECサイト側の注文データを後払いサービス側にも登録するフローが発生します。その際、ECプラットフォームと後払いサービスがシステム連携していれば、注文データが自動的に送信されるため日々の業務を大幅に効率化することができます。

ECプラットフォームを利用しているEC事業者さまが後払いサービスを導入する際は、ECプラットフォームとのデータ連携が自動的に行われる後払いサービスを選ぶとよいでしょう。

futureshopシリーズと連携済みの「Paidy」と「NP後払い(即時与信)」の利用フロー

本稿を読んでいる方の中には、後払い決済の導入を検討しているEC事業者さまもいると思います。そこで、後払いの注文処理のフローをイメージしていただきやすいように、ECサイト構築プラットフォーム「futureshop」シリーズと連携済みの「Paidy」と「NP後払い」を例に挙げて、後払いの利用フロー(エンドユーザー側の操作)について解説します。

Paidy(ペイディ)

Paidyの公式サイト

70万以上のECサイトが利用している「Paidy」(画像はPaidyサービスサイトのスクリーンショット)

「Paidy」は株式会社Paidyが提供している後払いサービスです。ECサイトでの購入者は会員登録やクレジットカード登録が不要で、メールアドレスと携帯電話があればPaidy を利用できます。なお、請求書は電子データがメールなどで購入者に送られます。

1カ月間にPaidyを何回利用しても、支払いは翌月まとめて1回のみ。支払いは翌月10日までにコンビニ払い・銀行振込・口座振替で行います。

Paidyの決済の流れ

出典:futureshop機能ページ「あと払い(ペイディ)」

【Paidy決済の流れ】

  1. ネットショップの支払い方法で「あと払い(ペイディ)」を選択
  2. メールアドレスと携帯電話番号を入力
  3. SMSで送信される4桁の認証コードを入力して買い物完了
  4. 翌月1日~3日の間に、メールとSMSで請求金額が顧客に通知される
  5. 請求金額が通知された月の10日までに、コンビニ払い・銀行振込・口座振替で代金を支払う

参考:ペイディブランドガイドライン お支払い方法の詳細紹介

NP後払い(即時与信)

NP後払いの公式サイト

2002年にスタートした「NP後払い」。現在、年間ユニークユーザー数は1500万人にのぼる(画像はNP後払いサービスサイトのスクリーンショット)

「NP後払い」は株式会社ネットプロテクションズが提供している後払いサービスです。現在18万9000店舗以上の通販事業者が導入し、年間ユニークユーザー数は1500万人に上ります。

futureshopの店舗さまがNP後払い(即時与信)を契約している場合、エンドユーザーがNP後払い(即時与信)を利用すると、ネットショップに登録されている会員の氏名や住所などが自動的にネットプロテクションズへ送信され、注文時に即時、与信審査が実施されます。

エンドユーザーはNP後払い(即時与信)を利用する際に、会員登録やクレジットカード登録は不要です。後日送られてくる請求書の記載に従って、コンビニ・銀行・郵便局・LINE Payのいずれかで支払います。なお、オプションで請求書を商品と同梱することも可能です。

NP後払いの決済の流れ

出典:futureshop機能ページ「NP後払い(即時与信)」

【NP後払い(即時与信)決済の流れ】

  1. ネットショップの支払い方法で「NP後払い」を選択
  2. 注文処理にて与信審査を即時実施
  3. 与信が完了すると注文を確定
  4. 株式会社ネットプロテクションズが運送会社とやり取りして着荷を確認し、請求書を顧客に送付
  5. 顧客は請求書の記載に従って、コンビニ・銀行・郵便局・LINE Payのいずれかで支払う

まとめ

本稿で解説した通り、後払い決済は消費者にとって多くのメリットがあり、ECサイトに導入するとカゴ落ちの防止が期待できます。futureshopシリーズは、従来から連携しているNP後払い(即時与信)に加え、2022年10月からPaidyとの連携も開始しました。futureshopをご利用の店舗さまは、データ連携のためにECシステム側の開発を個別に行うことなく、NP後払い(即時与信)やPaidyを導入することが可能です。ECサイトのコンバージョン率を高める施策の1つとして、後払いの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

自社ECに後払いサービスを導入しようと検討されている企業さまは、豊富な決済手段と連携しているfutureshopの導入も選択肢の中に入れてみてください。