D2Cを成功させるためには、どのような戦略をもって対応するのかが重要です。また、実際にD2Cによって成功した事例を知ることで、自社に活かして成功に結びつけることも可能です。
では、D2Cで成功した事例にはどのようなものがあるのでしょうか。この記事では、D2Cブランドで成功した事例を、各ジャンル別に紹介します。
目次
D2Cブランドにおける近年の傾向
D2Cの市場規模については、今後も拡大が見込まれている状況です。新規参入企業も数多く見られており、競争は激化すると見られています。
さらに、大手企業がD2Cビジネスに参入する事例も多くなっているのが特徴です。今までは新規事業としてD2Cブランドを立ち上げるケースが多かったのに対して、最近では買収または提携なども活発化しています。
【アパレル】D2Cブランドの成功事例6選
アパレル関連でD2Cブランドを成功させた事例として、以下6社があります。
- kay me
- COHINA
- ALL YOURS
- FABRIC TOKYO
- 17kg
- 株式会社ジャパンスコープ(Amel、Day and Grade、Aylaなど)
各社がどのように成功したのかについて、詳しく解説します。
成功事例①「kay me」
働く女性にとって、スーツなどをクリーニングに出す暇もないという人が多いです。そこで、自宅で選択可能なストレッチ素材のスーツなどを展開するブランドとして、kay meが人気を博しています。
単に機能性が優れているだけでなく、エレガントなスタイルを取り入れつつ楽に着られる服のブランドを目指しているのが、kay meの特徴となります。その他にもかゆいところに手が届くサービスを提供しており、試着便では30万円分もの服や靴について、購入前に無料で好きな場所へ配送してもらえます。
これにより、コーディネートを確認した上で購入可否を決めることが可能となり、ECサイトにおける弱点を見事に克服し、リピート率はアパレル平均の2倍以上をキープしている状況です。
成功事例②「COHINA」
COHINAは、小柄な女性にターゲットを絞り、ファッションアイテムを展開しているアパレルブランドとなります。身長が155cm以下の女性に向けて、2017年から自社ECサイトで販売開始しています。
創業者の2名が低身長であり、自分自身が服選びに困った経験を元に、このコンセプトを思いついて創業したのです。創業当初はInstagramのフォロワーが400人程度であったのに対して、2022年には24万人以上のフォロワーを獲得し、月商1億円を超えるブランドに成長しました。
商品が完成したらインスタライブによって毎日配信し続けた結果、広告や宣伝をほぼしていないにもかかわらず、フォロワーを増やすことに成功しています。
成功事例③「ALL YOURS」
ALL YOURSは、ファッションのトレンドにマッチしたアイテムを大量生産、大量商品するビジネスモデルに対して、疑問を持ったことからスタートしたブランドです。作り手と受け手という関係だけでなく、顧客と価値を共創する形をコンセプトとして、クラウドファンディングをおこないました。
その結果、15のプロジェクトで成功を収めて、累計4,000名弱、総額5,700万円以上の支援を達成したのです。国内のD2Cブランドにおいて、最もクラウドファンディングを活用していると言われており、一緒にブランドを作るというスタイルが広く浸透しています。
成功事例④「FABRIC TOKYO」
FABRIC TOKYOは、「FIT Your Life」をコンセプトとして、ライフスタイルや価値観にマッチしたビジネスウェアを提供しているブランドです。創業者自身が、スーツやシャツのサイズ選びの困難さやテーラーの敷居の高さを感じたことで、敷居が低く誰でも気軽に利用できるFABRIC TOKYOを創業したのです。
FABRIC TOKYOでは、初回のみ店舗で採寸しますが、2回目以降はECサイト上でオーダースーツやシャツなどを注文できるスタイルを採用しています。また、提供するカテゴリーを限定することで品質担保を図っているのが特徴です。
自分の体型にマッチしたスーツを、低価格で入手したいという市場ニーズにマッチしたサービスを提供し、売上を拡大させることに成功しています。
成功事例⑤「17kg」
17kg(イチナナキログラム)は、主にInstagramを軸としてマーケティングを展開しており、フォロワーの数は53万人以上を誇るサービスです。
2019年4月には、ラフォーレ原宿において実店舗をオープンさせており、大きな話題を呼びました。インフルエンサーによる拡散を図り、徐々に口コミが広がり多くの女性に人気のブランドとなったのです。
成功事例⑥「株式会社ジャパンスコープ(Amel、Day and Grade、Aylaなど)」
Amel、Day and Grade、Aylaなどのブランドを展開する株式会社ジャパンスコープは、2017年からfutureshopで自社ECを立ち上げました。自社ECは年率50%成長、5年で年商数億円規模にまで自社を成長させることに成功しています。
施策のなかでも効果を発揮したのが「インフルエンサー」を使ったマーケティングです。社長の喜多村さんは「消費者がファッションアイテムを購入するきっかけとして、『人』の影響はとても大きい」と言います。この考えのもと、インフルエンサーと契約を結び、PR戦略を実行しました。
成功要因に関する詳しい内容は以下の記事をご覧ください。
アパレル自社ECの売上が昨対1.5倍!Instagram×インフルエンサー活用の成功事例
【食品】D2Cブランドの成功事例6選
食品関連で、D2Cブランドとして成功を収めた事例として、以下があります。
- BASE FOOD
- Minimal
- Mr. CHEESECAKE
- snaq.me
- ホームタップ
- Gekkeikan Studio
各成功事例の詳細は、以下のとおりです。
成功事例①「BASE FOOD」
BASE FOODでは、主食をイノベーションして健康をあたりまえにという理念を掲げているサービスです。完全栄養食と呼ばれる、厚生労働省が定めている日本人の食事摂取基準をベースとして、主食一食分で1日に必要な栄養素の3分の1も摂取できるものを提供しています。
2021年末までの段階で、累計1,500万セットもの完全栄養食を提供するなど、認知度が確実に高まっています。なぜここまで成功を収めているのかと言えば、顧客との直接的なコミュニケーションを積極的に取っているためです。
特に、独自のオウンドメディアを構築したことで、顧客との接点をつくることに成功しています。
成功事例②「Minimal」
Minimalは、クラフトチョコレートを製造販売しているメーカーです。板チョコレートを筆頭に、生ガトーショコラやレアチーズケーキなどを自社サイトで販売しています。
Minimalでは、セールスターゲットは30代から40代女性を、ブランディングターゲットを30代から40代男性としているのが特徴です。この結果、男女問わず多くのファンを獲得することに成功しています。
かつては、実店舗での販売がメインでしたが、新型コロナウイルスの影響によりECサイトを立ち上げ、ECで売れる商品を開発販売した結果、さらに売上を伸ばすことに成功しています。
成功事例③「Mr. CHEESECAKE」
Mr. CHEESECAKEは、シンプルながらも強いこだわりがあるチーズケーキを販売していることで有名です。ミシュランガイドにも掲載されたことがあるレストランで修行経験のフレンチシェフが、最高級の材料を用いたチーズケーキを販売しており、瞬く間に人気となりました。
Mr. CHEESECAKEの特徴として、温度の変化による味の変化や、最適な食べ方などを提供することで、顧客の心をがっちりと掴んでいます。また、贈答用にも最適なギフトカードによる販売も実施しているのが特徴です。
幻のチーズケーキというストーリー性によって、大量生産しなくてもD2Cで成功を収められることを実証したブランドとしても有名です。
成功事例④「snaq.me」
snaq.me(スナックミーは、定期的におやつを届けてくれるD2Cサービスとして人気です。ただおやつを届けるだけでなく、美味しいものをワクワクしながら食べる体験を付加している点が特徴となります。
人工添加物などを使用せず、自然な素材を厳選して使用していることで、子供にも安心して与えることができます。レコメンデーションを有効活用し、利用をスタートする際に苦手な食材などを登録すると、最適なおやつを提供するサービスを提供している点が特徴的です。
さらに、届いたおやつの評価を得ることで、次に届けるおやつが自分好みのものに反映される仕組みを採用し、高い満足度を得ています。
成功事例⑤「ホームタップ」
キリンが提供しているホームタップは、生ビールのサブスクリプションサービスとして人気です。生ビールサーバーを提供し、そこにビールをセットすることで自宅でも本格的なビールを楽しめると好評です。
ビールの種類や数量は自由に変更可能であり、通年商品だけでなく期間限定のクラフトビールなども取り扱っており、年中楽しめる点も評価されています。このような特別な体験を大切にすることで、脱価格競争を図ることに成功したのです。
成功事例⑥「Gekkeikan Studio」
月桂冠株式会社が新たなブランドとして立ち上げた「Gekkeikan Studio」は、ユーザーの声を収集し、ユーザーと一緒に作っていく日本酒です。活動レポートとして自社のnoteを立ち上げ、ユーザーの意見を収集しながらつくっています。
2021年12月にはno.1を発表。大好評のうちに完売をするなど、評判は上々です。しかしその結果、生まれたユーザー意見を参考にすることで「一緒につくる」というコンセプトを見事に体現しています。
【化粧品・美容】D2Cブランドの成功事例6選
化粧品や美容に関するD2Cブランドの成功事例として、以下が挙げられます。
- meeth
- バルクオム
- FUJIMI
- ドモホルンリンクル
- BOTANIST
- アンブリオリス
各ブランドの具体的な成功事例について、紹介します。
成功事例①「meeth」
meethは、2019年に美容家のソンミさんが1人で立ち上げたブランドとして知られています。徹底的に品質にこだわったコスメアイテムを提供しており、多くのファンを獲得することに成功しています。
日本だけでなく、中国や台湾、シンガポールでも事業を展開しており、グローバルブランドとして成長しているのです。特に、台湾では2020年、2021年と2年連続で台湾美容界のアカデミー賞という位置づけである女人我最大 粉美賞で受賞するなど、人気ブランドとして知名度をさらに高めています。
広告宣伝をコストカットして、化粧品の成分をさらによくする目的で主にInstagramを活用して情報発信している特徴があります。
成功事例②「バルクオム」
バルクオムは、メンズスキンケアに特化しているD2Cブランドとして有名です。木村拓哉さんを起用したCMで大きな話題を呼び、男性だけでなく女性からも注目を集めています。
2020年には、バルクオムが提供している洗顔料が、「Pure Beauty Global Award2020」においてBest New Male Skin and body care product部門洗顔料でグランプリを受賞しています。定期コースでの提供にこだわり、ヘアサロンで展開することで施術方法をレクチャーすることでサポートする体制を整えているのが特徴的です。
成功事例③「FUJIMI」
FUJIMIでは、主にパーソナライズサプリメントとパーソナライズフェイスマスクを提供しているブランドです。利用するためには、無料の美容診断を実施し、ユーザーの肌の状態を測定することからスタートします。
そして、診断結果をもとにしてユーザーの肌の状態や目指す肌について解説して、最適なサプリメントを提案するサービスが人気です。また、LINEを使用してコンシェルジュに相談も可能であり、気軽に相談したい女性に特に人気を博しています。
成功事例④「ドモホルンリンクル」
ドモホルンリンクルは「はじめての方にはお売りしません」という、一見すると敷居が高いイメージがあるキャッチフレーズを使用しています。購入する前に、肌との相性を確認できるお試しセットを配布して、お客様第一の姿勢を貫いています。
今では多くのD2Cブランドが存在していますが、ドモホルンリンクルが先駆者となってビジネスモデルを確立したと言っても過言ではありません。
成功事例⑤「BOTANIST」
BOTANISTでは、植物由来成分と最先端のテクノロジーを融合させたシャンプーを提供しているブランドです。2015年に販売開始して以降、数年でシャンプー市場を代表するブランドに成長しました。
BOTANISTは、既存のシャンプーメーカーが実施してきたマスメディア向けの広告ではなく、主にスマートフォン向けのデジタルプロモーションに注力しています。ほかにも、ボタニカルライフスタイルという世界観を確立し、SNS映えにこだわったデザインを持ち、インフルエンサーによる口コミを拡大させて、今の地位を確立しました。
成功事例⑥「アンブリオリス」
アンブリオリスは1950年にフランス・パリで誕生したスキンケアブランドです。2018年11月に公式オンラインショップを立ち上げてEC事業に参入。2019年1月のコンバージョン率が7%を超えるなど、出足から好調であり、現在も自社ECから多くの顧客を獲得しています。
成功の要因は「限られた予算の中での戦略的なPR活動」と「カスタマージャーニーを踏まえた集客施策」です。「アンブリオリス」の主な客層よりも少し若い方にリーチすることを重視し、合わせてプロモーションを行った結果、成果を挙げています。
詳しくはこちらの成功事例をご覧ください。
PR×広告の成功事例! 人気コスメ「アンブリオリス」がEC参入から3カ月で CVR 7% を達成できた理由
D2Cの成功ブランドに共通する4つ特徴
ここまで紹介してきた、D2Cブランドの成功事例の傾向を見ると、以下のような共通する特徴が見られます。
- ユーザーの声や市場のトレンドを反映している
- SNSを積極的に取り入れている
- ブランドの世界観をうまく共有している
- 顧客側で自分にあった商品を選べる
各特徴について、詳しく解説します。
特徴1.ユーザーの声や市場のトレンドを反映している
D2Cの特徴として、自社において販売からサポートまでを一貫しておこなえるという点があります。これにより、ユーザーの声や市場のトレンドを容易に反映させやすいメリットがあります。
成功を収めているD2Cブランドでは、ユーザーの声や市場のトレンドを反映しているケースが大半です。これにより、既存顧客だけでなく新規顧客の獲得にも成功しています。
特徴2.SNSを積極的に取り入れている
成功しているD2Cブランドの場合、消費者とのコミュニケーションを重視して商品開発や販売などをおこなっているケースが多いです。新商品を開発した段階で、その情報を提供してユーザーの反応を見て、商品開発の方向性を微調整するなどの方法が採られています。
これにより、ユーザー側としても自分が商品開発に参加していると親近感が湧き、ファンを獲得できるメリットもあるのです。ほかにも、自社だけでなくインフルエンサーによる情報拡散で、さらなるフォロワーの獲得にも成功している場合が多いです。
特徴3.ブランドの世界観をうまく共有している
成功しているD2Cブランドでは、ブランドの世界観を確立している場合が多いです。特に、SNSなどを活用してブランドの世界観やストーリー性を共有しているケースが多く見られます。
確立した世界観をもとに、ECサイトを構築したりSNSの投稿を考えたりして、よりブランドイメージの確立と共有が可能となっているのです。
特徴4.顧客側で自分にあった商品を選べる
D2Cでは、ブランド側が一方的に商品やサービスを提供するのではなく、顧客との双方向でのコミュニケーションをいかに取れるかが重要です。また、成功しているD2Cブランドの場合、顧客にマッチした商品を提供する仕組みと、顧客が商品をカスタマイズ可能な仕組みを構築している場合が多いです。
これまでの大量生産大量消費ではなく、消費者のライフスタイルに即した商品やサービスが求められています。そのなかで、消費者が自分にマッチした商品を選ぶため、診断結果によりパーソナライズされた商品を提供するブランドが成功を収めている傾向にあります。
D2Cブランドの成功事例でよくある3つの質問
ここでは、D2Cブランドの成功事例でよくある質問について紹介します。
質問①日本の大手D2Cブランドとは?
日本における、大手D2Cブランドとしては、主に以下のようなブランドが挙げられます。
- PHOEBE BEAUTY UP
- MEDULLA
- meeth
- ALOBABY
- ORBIS
- BOTANIST
- BASE FOOD
- PostCoffee
- GREEN SPOON
- nosh
- ZENB
- Earth MILK
- よなよなエール
- ホームタップ
- Mitas
- FUJIMI
- Sui+
- COHINA
- FABRIC TOKYO
また、今後も多くの大手企業がD2Cに参入するとみられており、目が離せない状況です。
質問②D2Cブランドとは?
D2Cとは、Direct To Consumerの略称であり、小売店といった中間業者を挟むことなく、自社ECサイトやSNSなどを通じて製品を顧客に販売するビジネスモデルのことです。 D2Cは、特にアパレル業界との親和性が高いことで、そのモデルを採用したブランドをD2Cブランドと呼んでいます。
ECモールや仲介業者を経由せずに販売している関係上、販売や配送の手数料、受発注や返品対応のコストも抑えることができるメリットがあります。
質問③D2Cを成功に導くためのおすすめプラットフォームは?
D2Cを成功に導くうえでおすすめのプラットフォームとしては、以下が特に人気です。
- futureshop
- Shopify
- BASE
- Creema
- STORES
- MakeShop
- Growth Palette
いずれも、本格的な知識がなくても気軽にECサイトを立ち上げることができるという共通点があります。
SaaS型ECサイト構築プラットフォームのfutureshopは、ECサイト構築から運用の実用性を追求した数々の機能によって、お客様の売上アップに貢献しています。特に、これまでのECにいままでにないプラスを付加できる最高のUX・UIを実現できる点が魅力的です。⇒futureshop
まとめ
D2Cブランドとして成功している企業は、いずれも確固たる世界観があり、多くのファンを獲得している特徴があります。また、ユーザーのニーズをくみ取って、適切なアプローチで商品やサービスを提供している点が特徴的です。
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