【今すぐできる】越境ECの始め方|日本語サイトで海外に売る方法

2024年1〜6月(上期)における訪日外国人旅行者が過去最高の1777万人(*1)を超え、インバウンド消費が盛り上がるなか、日本から海外にオンラインで商品を売る「越境EC」にもあらためて注目が集まっています。

海外ユーザーの視線が日本に向いている今、新たなマーケットを開拓するために、越境ECを検討している事業者さまも多いのではないでしょうか。

その一方で、「越境ECに興味はあるけれど、何から始めれば良いかわからない」「初期投資や運用コストを抑えて越境ECに取り組みたい」といった悩みや課題を持つ事業者さまもいらっしゃるようです。

そこで株式会社フューチャーショップは、投資を抑えて短期間で越境ECを始める方法を解説するオンラインセミナー「円安のいまこそチャレンジのとき!越境EC最新事情」を2024年7月に開催しました。

スピーカーとしてお招きしたのは、越境EC支援サービスを手がけている3社の方々。日本語のECサイトにタグを埋め込むだけで翻訳や海外決済に対応できるツールや、国際物流やカスタマーサポートを代行するサービスなど、越境ECに役立つツールや手法を具体的に解説していただきました。

越境ECで日本製品を購入した海外ユーザーの意識調査や、日系企業の進出先として人気が高い中国の市場動向など、越境ECの最新トレンドもお伝えした今回のオンラインセミナー。その内容を詳しくレポートしますので、次のような悩みをお持ちの方は、ぜひ参考にしてください。

*1 出典:日本政府観光局 訪日外客数 

【この記事は、次のような悩みをお持ちの方にオススメです】

  • 越境ECに興味はあるけれど、何から始めれば良いかわからない
  • 初期投資や運用の労力を抑えて、越境ECに取り組みたい
  • 実店舗を訪れた外国人観光客に対して、帰国後も越境ECで商品を売りたい
  • ECサイトの翻訳を効率的に、かつ訴求力のある文章に仕上げたい
  • 海外決済・国際物流・顧客対応を、自分たちで行うのは難しい
  • 中国EC市場の現状や最新トレンドを知りたい
越境ECセミナーに登壇したスピーカーの皆さん

【スピーカー紹介】第1部 株式会社ジグザグ 谷古宇さん(左上)/第2部 株式会社イー・エージェンシー 東さん(右上)/第3部 KEMBOグループ 中原さん(左下)/モデレーター 株式会社フューチャーショップ 八木(右下)

本稿は2024年7月18日に開催した「円安のいまこそチャレンジのとき!越境EC最新事情」の内容をもとに構成しています

【第1部】日本語のECサイトで越境ECを始める方法

セミナーの第1部では、国内で運用している日本語のECサイトを使い、短期間で簡単に越境ECを始める方法をお伝えしました。スピーカーを務めてくださったのは、越境ECの購入代行サービス「WorldShopping BIZ」を提供している株式会社ジグザグの谷古宇さんです。

日本語のECサイトにJavaScriptのタグ1行を埋め込むだけで、運用の手間を増やすことなく、越境ECを始める方法をお伝えします(株式会社ジグザグ・谷古宇さん)

【スピーカー紹介】

スピーカーの株式会社ジグザグ 谷古宇さん

株式会社ジグザグ

セールスエグゼクティブ

谷古宇 幹也(やこうみきや)氏

1984年生まれ。2007年に世界28カ国を放浪後、ファッションECベンチャーにてディレクターとして130ブランドと新規契約しアウトレットモール事業を立ち上げる。その後、ECサイト構築サービス会社にてSNS連動型ECモール事業の立ち上げを担い、営業部長として3,000社の新規導入を獲得。ライブコマースショッピングモール、D2C事業の立ち上げ経験後、ジグザグにて現職。

越境ECの障害となる4つの壁

はじめに谷古宇さんは、越境ECを行うためにクリアすべき課題として「言語の壁」「決済の壁」「配送の壁」「顧客対応の壁」の4つを挙げました。

1.言語の壁

越境ECにおける大きな課題の1つは「言語の壁」です。特にECサイトのカート周りや注文確認画面が日本語だと、海外ユーザーは買いにくいでしょう(ジグザグ・谷古宇さん)

2.決済の壁

決済代行会社は、不正利用を防ぐために海外からのクレジットカード決済をブロックすることがあります。その対策として、PayPalやAmazon Pay、Alipayといった海外ユーザーがよく使う決済手段を導入することも重要です(ジグザグ・谷古宇さん)

3.配送の壁

インボイスの作成や通関手続きなど、国際物流でつまずいてしまうとも少なくありません。国ごとの輸入禁止リストを確認するのも大変です(ジグザグ・谷古宇さん)

4.顧客対応の壁

越境ECを手がけると、さまざまな言語の海外ユーザーから問い合わせが来ます。外国語でのカスタマーサポートが越境ECのハードルになっている事業者さまも多いのではないでしょうか(ジグザグ・谷古宇さん)

こうした4つの壁をクリアする方法として、谷古宇さんは株式会社ジグザグが提供している越境ECの購入代行サービス「WorldShopping BIZ」を紹介しました。

JavaScriptのタグ1行で越境ECを実現する「WorldShopping BIZ」

「WorldShopping BIZ」は、日本語のECサイトにJavaScriptのタグを1行埋め込むだけで、海外決済に対応したカートボタンや入力フォーム、外国語の注文確認画面などが実装されるサービスです。

「WorldShopping BIZ」を導入したECサイトに海外ユーザーがアクセスすると、海外IPに反応し、「228の国と地域に海外配送可能」という案内がポップアップで表示されます。そのため、海外ユーザーはECサイトにアクセスした瞬間に「このECサイトで商品を注文できる」ことが一目でわかります。

WorldShopping BIZの導入イメージ1

商品ページにアクセスすると、ECサイトにあらかじめ実装されているカートボタンに加え、画面下部には「WorldShopping BIZ」の外国語表記のカートボタンも表示されます。どちらをクリックしても注文確認画面に遷移します。

WorldShopping BIZの導入イメージ2

注文確認画面には、前日レートで算出している参考値のUSドル価格と国内送料、手数料が表示されます。なお販売価格はJPY(日本円)での決済となります。

WorldShopping BIZの導入イメージ3

「WorldShopping BIZ」の決済画面で海外ユーザーが決済方法を選択し、注文を確定すると、注文情報が「WorldShopping BIZ」に届きます。なお、この時点ではECサイトに注文は入っていません。

WorldShopping BIZの導入イメージ4

注文情報が「WorldShopping BIZ」に届いたら、「WorldShopping BIZ」のスタッフがECサイトで商品を代理購入します。EC事業者さまから見ると「WorldShopping BIZ」から注文が入った格好です。EC事業者さまは、国内ユーザーからの注文と同じフローで受注処理すれば問題ありません。商品の配送先は「WorldShopping BIZ」の国内拠点です。

「WorldShopping BIZ」の国内拠点に商品が届くと、スタッフが商品を開封して検品を行い、問題がなければ海外送料を顧客に通知した上で出荷します。その際、国際配送に必要なインボイスの作成や通関手続き、配送会社の手配、海外ユーザーからの問い合わせ、禁制品の把握、配送補償、リーガルチェックなども「WorldShopping BIZ」が行います。

WorldShopping BIZを活用すると、国内ユーザーからの注文と同じフローで、海外ユーザーに商品を販売することができます。EC事業者さまは手間を増やすことなく越境ECを行うことが可能です(谷古宇さん)

WorldShopping BIZの注文フロー

EC事業者さまは国内ユーザーからの注文と同じフローで受注処理すればOK

futureshopの店舗さまは初期費用と月額利用料が無料

「WorldShopping BIZ」の利用料金は初期費用が3万3000円、月額利用料が5500円です。販売手数料は、購入金額の10%相当額を購入者から徴収するため、販売者(EC事業者さま)が負担する必要はありません。

なお、株式会社フューチャーショップは株式会社ジグザグと業務提携を結んでいることもあり、futureshopの店舗さまは初期費用と月額利用料が無料です(2024年8月時点)。

futureshopの店舗さまは、初期費用も運用コストもかかりません。越境ECを始めない理由はない、と思っています(谷古宇さん)

導入実績3000社超!オンラインの申し込みから最短3営業日で越境ECを始められる「WorldShopping BIZ」のお申し込みは、こちらのページをご確認ください。

【第2部】ECサイトを多言語対応するメリットと方法

セミナーの第2部では、多言語翻訳サービス「shutto翻訳」を提供している株式会社イー・エージェンシーの東さんがスピーカーを務め、日本語サイトを効率的に多言語に翻訳し、商品の魅力を海外ユーザーに伝える方法を解説してくださいました。

【スピーカー紹介】

スピーカーの株式会社イー・エージェンシー 東さん

株式会社イー・エージェンシー

クラウド事業本部

東 悠(ひがしはるか)氏

物流業界、商社での生産企画を経て、2021年に株式会社イー・エージェンシーに入社。Webサイト翻訳ツール「shutto翻訳」のサービスアドバイザーとして、導入前のご提案から導入後のサポートまで幅広く担当している。

多言語対応でカート投入数やCVRが向上

第2部の冒頭、東さんはECサイトの文章を多言語に翻訳することの意義について「海外ユーザーの商品理解を促すとともに、購入時の不安を払拭し、購入意欲を高めることができる」と強調しました。そして、ECサイトを多言語に翻訳する効果を示すデータとして、ECサイトの多言語対応を行った結果、対応していない状態と比べて海外ユーザーからのカート投入数やコンバージョン率(CVR)が上昇したことを示すデータも紹介してくださいました。

機械翻訳と人による翻訳のハイブリッド「shutto翻訳」

東さんは日本語のECサイトを外国語に翻訳する方法として、機械翻訳と人間による翻訳の2つの手段があることを紹介した上で、それぞれのメリット・デメリットを次のように説明しました。

1.機械翻訳

  • メリット:手軽に導入できる/スピードが速く大量の翻訳が可能/コストが安い
  • デメリット:感情的な表現や、文化的背景などを考慮した翻訳は苦手

2.人間による翻訳

  • メリット:商品コンセプトや説明文のニュアンスを汲み取った翻訳が可能
  • デメリット:時間がかかる/コストが高い/ページ更新のたびに修正が必要

機械翻訳と人間による翻訳のメリット・デメリットを説明した東さんは、それぞれの長所を活かした翻訳サービスである「shutto翻訳」を紹介しました。

「shutto翻訳」は日本語のECサイトにJavaScriptのタグを設置するだけで、機械翻訳によって英語や簡体字・繁体字、韓国語など100以上の言語に翻訳できるサービスです。翻訳後の文章をテキストエディタで修正できる「セルフ翻訳」の機能を備えているほか、機械翻訳を使わずにプロの翻訳者に依頼することも可能です。

機械翻訳を活用しつつ、必要な箇所を手作業で修正したり、プロの翻訳家に依頼したりすることで、スピードと品質のバランスがとれた多言語対応が実現します(東さん)

shutto翻訳の導入例

翻訳したいページのURLを管理画面で指定し、言語を選択すると、機械翻訳によって自動的に翻訳が完了する。管理画面のテキストエディタで編集できるほか、プロの翻訳家に発注することも可能。初期費用は無料、月額6000円から。

「WorldShopping BIZ」と「shutto翻訳」で越境ECの環境が整う

東さんは、海外ユーザーが日本のECサイトを訪れたときの購入プロセスにも言及し、「shutto翻訳」と「WorldShopping BIZ」を組み合わせることで海外ユーザーの購買プロセスに沿った越境ECの環境が整うことを強調しました。

「shutto翻訳」で日本語のECサイトを翻訳し、海外のユーザーさんに商品の魅力を伝えるとともに、「WorldShopping BIZ」で海外決済や国際物流、外国語でのカスタマーサポートに対応することで、海外のユーザーさんがスムーズに商品を買える環境が整います(東さん)

海外ユーザーの購入プロセスを説明した図

shutto翻訳」と「WorldShopping BIZ」を組み合わせることで海外ユーザーの購買プロセスに沿った越境ECの環境が整う

なぜ今、越境ECを始めるべきなのか

今回のセミナーでは、株式会社ジグザグの谷古宇さんが、さまざまな統計データや市場調査の結果を紹介しながら、越境ECを始めるべき理由を解説してくださいました。その一部を紹介します。

インバウンド消費の盛り上がりが越境ECにも波及

越境ECを始めるべき理由として谷古宇さんは、「訪日観光客の増加でインバウンド消費が盛り上がり、越境ECにもプラスの影響が期待できる」ことを挙げました。

観光庁が公表した資料を引用しながら「越境ECで日本から商品を買った人の3〜4割は訪日観光がきっかけになっている」と指摘。JETROの調査にも言及し「中国人が越境ECで日本から商品を買う理由として、約4割が訪日旅行中に買った商品を気に入ったからと答えている」と説明しました。

訪日観光客の人数が過去最高を更新し、インバウンド消費が盛り上がっている今は、越境ECのチャンスではないでしょうか(谷古宇さん)

訪日経験と越境ECの利用率に関するグラフ

観光庁の資料を引用し、越境ECで日本から商品を買った人の3〜4割は訪日観光がきっかけになっていることを説明した

人口減少で国内マーケットが縮小

越境ECを行う必要があるもう1つの理由として谷古宇さんは、日本は人口減少によってマーケットが縮小していく可能性があることに触れ、「海外のマーケットにも目を向けていく必要がある」と訴えかけました。

総務省が公表した人口動態調査では、2050年に国内人口が約9500万人に減ると予想されています。これからは、国内に加えて海外のマーケットにも目を向けることが必要ではないでしょうか(谷古宇さん)

日本の人口動態に関するグラフ

日本の人口が減少していく中で、海外のマーケットにも目を向けていく必要があると訴えかけた

越境ECで人気の販売先は?

続いて谷古宇さんは、株式会社ジグザグと株式会社Resorzが共同で発行している「越境EC・ウェブインバウンド白書2024」を引用しながら、越境ECの最新トレンドを紹介してくださいました。

例えば、日系企業が越境ECを行う際の進出先は、これまで中国が圧倒的に多かったものの、2024年は順位が変動して米国が1位になったことなど最新トレンドを紹介。「日系企業の進出先として米国人気が再燃している」と指摘したほか、「越境ECのテストマーケティングとして台湾に進出する動きも見られる」ことを紹介しました。

さらに谷古宇さんは、訪日経験がある米国・中国・香港・台湾の消費者が日本の商品を探すとき、半数以上の人が公式サイトにアクセスして調べていることを紹介した上で、「公式サイト(自社ECサイト)で海外ユーザーが買えるようすることが重要」とあらためて訴えかけました。

訪日経験がある海外ユーザーの中には、商品を探すときに公式サイトにアクセスする人が少なくありません。越境ECの機会損失を防ぐには、公式サイトで海外ユーザーが商品を買えるようにしておくことが重要です(谷古宇さん)

海外ユーザーが越境ECサイトで公式サイトを閲覧している割合に関するグラフ

訪日経験がある海外ユーザーが日本の商品を探すとき、公式サイトにアクセスするケースが多いことを示唆するデータも紹介した

【第3部】中国EC市場の現状と最新トレンド

セミナーの第3部でスピーカーを務めたのは、中国に進出した日系企業の市場調査や商品開発、ブランディング、EC運営、プロモーションなどをサポートしているKEMBOグループの中原さんです。15年以上にわたって中国EC市場の現場を見てきた中原さんが、中国ECの最新事情や中国向けに越境ECを始める方法などを解説してくださいました。

今回のオンラインセミナーでは日本語のECサイトを使って越境ECをスモールスタートする方法をお伝えしましたが、将来的に中国への本格進出を検討しているEC事業者さまも増えていることから、中国EC支援のスペシャリストである中原さんにご登壇いただきました。越境ECの進出先として人気が高い中国におけるECの最新トレンドをお伝えしていますので、中国進出を見据えている事業者さまはぜひ参考にしてください。

【スピーカー紹介】

スピーカーのKEMBOグループ 中原さん

KEMBOグループ

代表取締役CEO

中原 賢一(なかはらけんいち)氏

2000年ITエンジニアとしてキャリアをスタートし、2008年に上海にてKEMBOを設立。中国市場にて15年以上、WEBマーケティング案件を多数支援する、現在は、新ブランドの戦略立案からECコンサルティング、データ分析までデジタルマーケティング全般を支援。日本ディープラーニング協会(E資格)。趣味は空手。

中国EC市場の現状

はじめに中原さんは、中国ECの市場規模やEC化率、越境ECによる輸入額などの各種統計データを紹介してくださいました。

中国のEC市場規模は世界1位です。EC化率もこの10年で約3倍に拡大しました。越境ECによる海外からの購入金額も11兆円に達しています(中原さん)

中国EC市場に関する各種データ

各種データを引用し、中国は世界屈指のEC大国であることを解説した

中国ECはライブコマースがトレンド

中国ECのトレンドとして「ライブコマースが盛り上がっている」(中原さん)ことも紹介しました。中国のライブコマース市場は急速に拡大しており、2023年の市場規模は4兆1400億元(約82兆円)に達しているとするデータを引用したほか、KOL(Key Opinion Leader)と呼ばれる著名なインフルエンサーがライブに出演してコスメや食品、アパレル、雑貨、ジュエリーなど様々な商品を販売して成功していることを説明しました。

2022年のダブルイレブン(11月11日)では、KOLのリージァチーさんが10時間で2900億円を売り上げたことが話題になりました。ライブコマースのプラットフォームは「タオバオ」「TikTok抖音」「RED」などが人気です(中原さん)

中国におけるライブコマース市場に関する各種データ

ライブコマース市場が急速に拡大していることや、KOLのリージァチーさんが2022年11月11日に10時間で2900億円を売り上げたことなどを紹介した

近年はAIを使ったライブコマースも増えているそうです。販売者が商品情報などを登録すると、AIが商品を説明して視聴者からの質問にも回答するなど、「配信者を必要としないライブコマースも出てきている」(中原さん)と説明しました。

AIを使えば配信者は必要ありませんし、ライブを24時間流し続けることもできます。テクノロジーを駆使してコストを抑え、費用対効果の高いライブコマースを模索する動きが広がっています(中原さん)

生成AIによるライブコマースの事例

AIを使ったライブコマースも登場している

「6月18日」セールの最新動向

続いて中原さんは、中国におけるECのビッグイベントである「6月18日」の最新動向も解説してくださいました。2024年6月18日に売上を伸ばしたブランドを解説したほか、中国の大手越境ECモールである「天猫国際」におけるカテゴリ別の販売ランキングにおいて、複数の日本企業が上位にランクインしたことも紹介しました。

【2024年6月18日の動向】

  • 任天堂が天猫618で4時間販売し、1億2000万元(約25億円)を突破
  • フランス高級ブランデー「Remy Martin」の取引が前年比30倍
  • フランスワイン「Chateau La Tour Carnet」の取引が前年比20倍
  • ソニーのゲーム機やカメラなどのデジタル製品の販売が好調
  • レトロ調カメラのオリンパスは売上が8倍
  • アウトドアスポーツ関連のLuLulemon、Onitsuka Tiger、New Balanceなどが伸長
  • アンチエイジング系の保健製品は天猫国際で急速に増加
  • タイのブランド「Mistine」の成約規模が最も大きかった
  • ニベア、肌の泉、シュリーコなどのブランドの成約成長はいずれも前年比10倍
  • フランスのスキンケアブランド「Cible Skin」の成約規模は前年比20倍
2024年6月18日の天猫国際における販売動向

「天猫国際」におけるカテゴリ別の販売ランキングに複数の日本企業が入った。2020年とは上位の顔ぶれが変化している

中国越境ECの主なプラットフォーム

日本企業が中国向けに越境ECを行う場合、中国の越境ECプラットフォームに出店する方法もあります。中原さんは、近年はSNSプラットフォームを活用した越境ECも増えているほか、新興プラットフォームが台頭していることにも触れ「販売チャネルの適切な見極めが必要」と指摘しました。

「天猫国際」や「京東国際」といった大手の越境ECプラットフォームに加え、近年はSNSを活用した越境ECが広がるなど、プラットフォームの多様化が進んでいます。中国向け越境ECにこれから投資する企業は、販売チャネルの適切な見極めが必要です(中原さん)

中国越境ECサービスの各社シェアに関するグラフ

「天猫国際」や「京東国際」といった大手越境ECプラットフォームに加え、中国版TikTok「抖音」を活用した越境ECが広がるなど、プラットフォームの多様化が進んでいる

中国のSNS「RED BOOK」の事例

中国版Instagramとも言われる「RED BOOK」を紹介した。EC機能が備わっており、日本企業が中国向けに越境ECを行っている事例も数多くある。女性ユーザー比率が高いのが特徴

中国ECプラットフォーム「POIZON」の事例

「ポイズン」は個人も出品できるオークション形式のECプラットフォーム。ブランド鑑定サービス付きで、偽物の出品や配送中のすり替えを防げることから、人気が上昇している。

自社ECサイトで中国向けに越境ECを行う方法

中原さんは、日本の企業が自社ECサイトを使って中国向けに越境ECを行う方法も解説してくださいました。主に「直送モデル」と「保税区モデル」の2つの方法があり、在庫の保管場所や税率などが異なります。

  • 直送モデル・・・在庫を日本国内で保管し、越境ECサイトで受注した後に商品を出荷する方法。スモールスタートが可能で、日本語のECサイトを活用して行うことも多い。
  • 保税区モデル・・・「保税区」と呼ばれる一時保管場所に在庫を置き、越境ECサイトで受注後に保税区から商品を出荷する方法。越境ECを本格的に行う企業が活用することが多い。中国のECプラットフォームに出店したり、中国語のECサイトを運営したりして行うのが一般的。

保税区を活用すると、関税がかからず、増値税と消費税の税率は一般貿易より低くなります。なお、どちらの方法でも1回あたりの購入金額や、1人あたりの年間購入金額に上限がありますので、高額商品を販売する場合には注意が必要です(中原さん)

中国向け越境ECを行う2種類の方法

日本の企業が自社ECサイトを使って越境ECを行う場合、「直送モデル」と「保税区モデル」の2つの方法がある。保税区を活用すると関税がかからず、増値税と消費税の税率も一般貿易より低くなる

第3部の最後に中原さんは、KEMBOグループが支援した日系企業の成功事例も紹介してくださいました。商品開発から中国におけるデジタルマーケティング、翻訳、プロモーションといった各種サポートを手がけた結果、1年間で中国事業の売上高が10倍になった食品メーカーの取り組みなどを解説した上で、「中国進出でお困りの方は、お気軽に声をかけてください」と訴えかけてセミナーを締め括りました。

KEMBOグループが手がけている中国マーケティング支援の事例

KEMBOグループが支援した食品メーカーの中国ECの成功事例も紹介した

まとめ

今回のオンラインセミナーでは、日本語のECサイトを活用し、初期投資や運用コストを抑えて日本から海外ユーザーに販売する方法をお伝えしました。越境ECを検討しているEC事業者さまは、インバウンド消費が盛り上がっているこの機会に、国内で運用しているECサイトを活用して越境ECに挑戦してみてはいかがでしょうか。

株式会社フューチャーショップが提供しているSaaS型のECサイト構築プラットフォーム「futureshop」は、「WorldShopping BIZ」や「Shutto翻訳」と連携しており、これらのサービスをオプション契約していただくことで個別開発を行うことなく越境ECを始めることが可能です。越境ECを視野に入れ、自社ECサイトの新規立ち上げやリニューアルをご検討中の事業者さまは、下記「無料相談に申し込む」からお申し込みください。