売れるECサイトにするためのデザインの決め方・陥りがちな落とし穴とは?
- 2019.11.13
2024.01.30
先行運営されているECオーナーは、どのような過程を経てサイトを立ち上げたのか?
制作過程での悩みや葛藤にはどんなものがあるのか?
ライター業を営む傍ら、自身でECの運営代行やwebサイトのディレクションも行う筆者。
そんな筆者が、実際業務にかかわったECサイトの制作過程や、挫折・売り上げ目標をクリアしていく様を赤裸々にご紹介する体験談。
▼前回のEpisodeはこちら
今回の記事では、ECサイト制作時のデザインや構成についての顛末をご紹介したいと思います。
これからまさに『ECサイトを運営しよう!』『制作しよう』とお考えの方に、参考にしていただければありがたいです。
目次
ECサイトにおけるデザインの重要性とは
ECサイトはリアル店舗と違い、店員さんやスタッフが商品の魅力や説明を行ってくれるわけではありません。
文字と写真それにイラストだけを使って、自社や自店が取り扱う商品の魅力をサイト訪問者に伝えなくてはならないのです。
それだけにサイトデザインやコンテンツは、重要な役割を果すことになります。
ECサイトは、お客さまに商品を買ってもらうことを目的とするネット媒体ですから、通常のサイトに比べより複雑な要素が求められます。
ではECサイトのデザインに求められる要素には、どんなものがあるのでしょうか?
ECサイトのデザインに求められる要素
- 買い手の選定(ペルソナ)『セグメンテーション』
- 自社/自店のイメージと方向性『ブランド』
- わかりやすい情報伝達『訴求するポイント』
ECサイトのデザイン制作手順の一例
これら3つの要素を選定したら、購入者の目線でサイトマップを作成。
ついで商品を主役にした構図と使い勝手の良いボタン配置を行いつつ、サイト全体の統一性を意識しながらトップページ・下層ページへとデザインを進めていくことになります。

デザインが決まらない理由はどんなもの
サイトデザインを進める上で何が大変なのか?
デザイン要素を的確にとらえ、効率的にセンス良く作業を進めることも難しいのですが、同時にクライアントの意見や方針が決まらないことも問題です。
本エピソードでご紹介している、木材通販のショップさまもサイト制作時に同様の問題に直面しました。
デザインが決まらない代表的な理由
サイト制作をすすめる際、デザインでつまずく要因はいくつもあるのですが、代表的な例は下記の6項目になるでしょうか。
- クライアントと認識のズレがある
- 新たな要望が出てきて取りまとまらない
- クライアントサイドの意見が一致していない
- 修正を続けるうちに元のデザインも崩れる
- そもそもラフの方向性が決まらない
- ビジュアルやバランスが上手くまとまらない
今回ご紹介している事例でいいますと、②と④の問題が発生し結果⑥の状態に陥っていました。
売れないかもしれない…という不安
サイト制作に携わったことがある方であればご理解いただけるかもしれませんが、依頼側と作り手、双方とも真剣だからこそ、思いや意識を一元化できない問題が起こるわけです。
それに加え、今までいくつかのECサイトの制作に関わった経験から感じていることがあります。

サイトオーナーがデザインにこだわる理由は、自社や自店のブランドを具現化したいからという理由もあるでしょう。
ただそれよりも新規サイト運営に対する不安が、度重なる要望の移り変わりの大きな原因だと感じています。
サイト制作を依頼する側(クライアント)が良く陥るスパイラル
ECサイトを制作するにあたり、100~200万円の費用が掛かることは珍しくありません。
その他、サイト運営スタッフの人件費や広告費などそれなりの予算が必要です。
つまりECの立ち上げは、ある程度規模感のあるプロジェクトだということです。
それ故、クライアントの担当者やサイトオーナーの中には、このようなスパイラルに陥る方もいらっしゃいます。
⇒ この不安から、デザインや構成にこだわりはじめる
⇒ それもあって、デザインに対する要望が多様且つ細かくなる
⇒ 制作サイドとの意思疎通が難しくなり、時間や費用がかさみ始める
⇒ その重圧で、ますます売れる確証が持てなくなる
ECサイトのデザインに正解はない
ご紹介の事例でも、当初はクライアントに配慮して細かくご要望を聞いていたのですが、納期を3ヶ月押しても基本となるTopページのデザインが決まらない。
結果として約半年もの間、デザイン制作に時間を割くことになりました。
確かにECサイトにおいてデザインは重要ですが、作業遅延にも限度というものがあります。
どんなにペルソナを想定して、サイトをつくり込んでも売り上げにつながらないことはあります。
いや、むしろそのような状態に陥ることの方が多いかもしれません。

特にECサイトはサイト訪問者の動向や売れ筋商品の変化によって、デザインやページ構成は随時変更する必要があります。
「トライ&エラー」で売れるサイトデザインに寄せていく
この時は、納期もあってないくらいに押しまくっていたこともあり、制作ディレクターである私もデザイナーもお尻に火が付いた状態。
そこで私は、クライアントの担当者と責任者の方々に、次のように熱弁をふるいました。
「使い勝手が良く、直感的に欲しい情報と商品がすぐ手に入るサイトが売れるサイトです。
スタートアップで熟慮するのは大事なことですが、データを反映させたサイトづくりはもっと重要です。
ネットは、紙媒体と違って変化や改善行為ありきの媒体です。
過去私が担当した中で、改善やリニューアルを実施しなかったサイトは一つもありません。奇をてらった行為でECサイトは成功しません。やるべき行動を一つ一つ実行すれば、必ず結果は出ます。
デザインにこだわることが“奇をてらう”ことだとは言いませんが、サイトへの流入データを解析して、サイトのデザインや構成に手を加えることはEC運営では必ずやらなければならない事柄です。
だからこれ以上、サイトデザインに時間を掛けるべきではありません。セグメンテーションしたペルソナが想定されているのであれば、速やかに自社のブランドに合わせて訴求ポイントを活かすデザインを起こすべきです。
同時に後のサイト改善を見据えてアクセス解析ツールを導入しましょう。大丈夫、データを解析しつつトライ&エラーで売れるサイトをつくって見せます。
今思えば、なかなか大きく出た発言でしたね。汗が出る思いです。
余談ですが、ネイティブの方は“トライ&エラー”ではなく“トライアル&エラー”というのだとか。
懸命に説得した甲斐もあり、はじめは渋っていたクライアントも最後にはご納得いただけました。
まとめ

下準備がきちんとできていれば、デザイン制作やサイト構築に大きく手間取ることはないと思います。
今回のエピソードでは、制作を早く進めるという記述を入れましたが、それもこれも十分な打ち合わせや議論があってこそ。
ある程度時間がかかっても、しっかりサイトの方向性は決めておきたいものです。
それが結果的に、制作時間の短縮につながると覚えておいてください。
それでもデザインが決まらない時は、「セグメンテーション」「ブランド」「訴求」というポイントを抑えつつ、まずはサイトをオープンさせましょう。
サイトを運営しながら、取得した顧客データを活かして“売れるデザイン”を目指していくのも良いと思います。
成功しているサイトで、ブラッシュアップを掛けていないところなどないのですから。
▼ECサイト構築時のデザインの作り方・決め方についてはこちらの記事で解説しています。
参考にしてください。
次回のおはなし
どうせECサイトを運営するのであれば、売れ筋の商品を厳選したいもの。
しかしいざ商品を選ぶとなると、「どうやって商品選定をしたら良いのかわからない」というサイトオーナーは多いのです。
また商品登録の方法も、商品選定と同じくらい難しい事柄。
熟慮必須とはいいませんが、商品点数が増えてくることを想定せずに商品登録を行うと、後々大変なことになるかも?
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実際にデザイン作業をすすめたりサイト構成を考えるのは大変です。