クラウドECとASP・ECパッケージ・フルスクラッチとの違いは?メリット・デメリットも紹介
- 2024.05.022024.05.02
「ECサイト構築を検討しているが、クラウドECとほかの構築方法の違いがわからない」
「クラウドECのメリット・デメリットを把握したうえで、構築方法を選びたい」
こうした悩みは、ECサイト構築を検討している企業の担当者の方に起きがちです。
本記事では「クラウドECとほかの構築方法の違い」と「クラウドECのメリット・デメリット」を中心に解説します。ECサイトの構築方法の比較に役立つため、ぜひお読みください。
目次
クラウドECとは?
クラウドECとは、ECプラットフォームの提供形態の一つです。クラウド上のプラットフォームでECサイトを構築します。
自社サーバーを用意する必要がなく、システム・セキュリティ対策は自動でアップデートされます。そのため自社でエンジニアを確保する必要がなく、ベンダーにサーバーの管理を任せられます。3か月程度で構築でき、デザインテンプレートを利用した場合は2か月程度で完成可能なサービスもあります。
一般的にSaaS型やASP型は機能個別開発ができないため、個別開発に対応しているものを区別するために「クラウドEC」と言われるようになりました。
初期の開発費用、開発部分の保守が必要となるため、SaaS型(ASP型)と比べて費用が高くなります。
クラウドECとほかのプラットフォームとの違い
ECサイトの構築方法には、クラウドECのほかに「SaaS型」や「ECパッケージ」「フルスクラッチ」といった種類もあります。
個別開発 | メリット | デメリット | |
クラウドEC | やや高い | ・標準機能をベースに個別開発可能
・エンジニアの確保が不要 |
・機能開発すると開発費用が高額になる
・システムの仕様が変更する可能性あり |
SaaS型 | 低い | ・ECに必要な機能が一通り搭載されている
・即日〜3か月程度で構築できる ・エンジニアの確保が不要 |
・機能を店舗ごとに個別開発できない
・システムの仕様が変更する可能性あり |
ECパッケージ | 高い | ・フルスクラッチよりも構築期間が短い
・標準機能をベースに個別開発可能 |
・エンジニアの確保が必要
・導入数年でシステムが陳腐化する可能性あり |
フルスクラッチ | 高い | ・完全オリジナルな機能が実装できる
・独自の要件が実現できる |
・保守・運用・セキュリティ対策は自社で実施
・エンジニアの確保が必要 ・開発に最低でも1年かかる |
前提として個別開発は特殊なケースで用いられます。
大企業を中心に、特殊な基幹システムとの連携や他の社内システムとの連携・統合のために個別開発(カスタマイズ)が必要なケースで利用される形態になります。
クラウドECと各構築方法の違いを解説します。
SaaS型との違い
SaaS型(ASP型)とクラウドECはほとんど違いがありません。
個別の機能開発(カスタマイズ)に対応するかしないかの違いがあり、個別開発のためにクラウドECは費用が高くなります。
ECパッケージとの違い
ECパッケージは、ECサイトに必要な機能がパッケージングされているシステムです。標準機能をベースに個別開発が可能です。
また、インフラ環境が自由に設計でき「自社ならではの販売手法」や「独自のサービス」なども実現できます。フルスクラッチと比べると短い期間で構築可能です。
ECパッケージは、新しいバージョンのライセンス購入の際に機能開発部分を追加する必要があります。そのため「ライセンス+開発費用」がかかります。
追加の機能開発やセキュリティ対策についても個別対応になるので、都度費用が必要となります。
一方、クラウドECは自動的にアップデートされるため、常に最新のシステム・機能が利用できます。個別開発の可否ではやや劣るものの「システム改修」や「改修にかかる費用」が不要なため、中長期的にみるとランニングコストの削減が見込めます。
フルスクラッチとの違い
フルスクラッチは、ゼロからシステムを開発してECサイトを構築する方法です。クラウドECよりもカスタマイズ性が高く、オリジナリティのある機能・デザインなどが開発できます。また独自の販売方法も実現できるため、競合他社との差別化が可能です。
ただしECパッケージと同様、システムのアップデートは自社で行う必要があります。保守・運用・セキュリティ対策も必要なため、クラウドECと違ってエンジニアの確保が必要です。
開発費用は1000万円~1億円程度かかります。新規機能の実装時にも追加で数十万円~数百万円かかるため、構築期間・費用の面でハードルが高い構築方法です。
クラウドECで構築する3つのメリット
クラウドECでECサイトを構築するメリットは、次の3つです。
- 最新のシステムが使える
- 自社インフラが不要
- セキュリティが高い
最新のシステムが使える
クラウドECは「システムのアップデート」や「追加機能のリリース」などが自動で行われるため、常に最新のシステムが利用できます。システム改修費用が発生しないため、中長期的なコスト削減につながります。
一方でECパッケージやフルスクラッチは、構築してから数年経過するとシステムが陳腐化するため、システム改修が必要になります。システム改修には追加でコストがかかるうえに、改修を繰り返すことで保守性の悪化も懸念されます。
自社でアップデートせずに最新システムが使える点が、クラウドECのメリットです。
自社インフラが不要
クラウドECは、プラットフォーム側がサーバーを管理します。インフラ周りの管理を全て任せられるため、エンジニアを確保する必要がなく、ECサイトの運営のみに専念できます。また、一時的にサーバーのスペックを上げることも可能なため「アクセス急増によるサーバーダウン」といった機会損失が防げます。
一方、ECパッケージやフルスクラッチの場合、自社サーバーを用意してシステムを管理します。サーバーの保守に人員を割く必要があり、専門知識がある人材の育成、あるいは採用が必要です。
「自社インフラの整備」や「専門知識のある人材の確保」が不要でECサイトが運営できる点も、クラウドECのメリットとして挙げられます。
セキュリティの安全性が高い
クラウドECはシステムのアップデートだけでなく、セキュリティ対策も自動で更新されます。年々巧妙化するサイバー攻撃に合わせてベンダー側がセキュリティを更新するため、安全性が高い環境でECサイトが運営できます。
ECサイトでは「顧客の個人情報」をはじめとした重要なデータを扱います。個人情報が漏えいした場合「ブランドイメージの低下」や「被害者への賠償金の支払い」などが生じる可能性があるため、ECサイトを安定的に運営するには「高水準なセキュリティ環境」を整える必要があります。
ECパッケージやフルスクラッチでは独自にセキュリティ対策を行う必要があるため、ベンダー側にセキュリティ対策を任せられる点はクラウドECの大きなメリットです。
クラウドECで構築する3つのデメリット
クラウドECでECサイトを構築するデメリットは、次の3つです。
- まとまった費用が必要
- 運用コストがかかる
- 最新機能を入れられないことがある
まとまった費用が必要
クラウドECは、構築時にまとまった費用がかかる点に注意しましょう。また機能開発も必要になります。この場合、初期費用はさらに高額になるため注意が必要です。
ASPと比べると構築時のコストが高くなるため、クラウドECは一定の資金力がある中規模以上の企業が採用する傾向があります。
運用コストがかかる
クラウドECは、月額費用が数十万円程度の運用コストがかかる点がデメリットです。サービスによっては、システム利用料のほかに「決済手数料」や「事務手数料」「オプション料金」などがかかるケースもあります。
またクラウドECは従量課金制のものもあります。この場合は利用し続ける限り費用が発生します。利用するサービスによってはトータルコストが高くなり、費用対効果が合わなくなる可能性があることを認識しておきましょう。
最新機能を入れられないことがある
クラウドECは「追加可能なオプション機能」や「連携できる外部システム」が豊富にある一方で、既に機能開発している領域に限り、最新機能を入れられない可能性があります。
どうしても最新機能を導入したい場合、ECサイトのシステム移管が必要になります。すると、初期費用が再びかかるだけでなく、機会損失につながり売上に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、自社用に機能開発した領域の「アップデートが可能かどうか」を事前に確認しておきましょう。
SaaS型「futureshop」の3つの特徴
SaaS型の「futureshop」は、利用中の7店舗に1店舗の割合で年商1億円を突破しているECサイト構築プラットフォームです。futureshopには以下のような特徴があります。
初期費用は22,000円からスタートできる
futureshopは基本料金のほかに「オプション機能料金」と「決済機能料金」を組み合わせた料金体系となっています。EC事業者様の「ご要望」や「販促施策」に応じ、無駄のないプランが作成できます。
基本料金は登録商品数によって異なり、たとえば50商品まで登録可能な「futureshop 50」では、初期費用・月額費用のいずれも22,000円でご利用いただけます。10,000商品まで登録できるプランであっても、初期費用・月額費用がいずれも52,000円のため、ショップの規模に応じてプランを選んでいただけます。
商品登録数・標準搭載機能がさらに豊富な「futureshop omni-channel」もあるため、EC事業者様の幅広いニーズに応えられるのが特徴です。
ECサイトの成長を促す機能が豊富
futureshopには、CV率アップにつながる「ショッピングカート機能」や、顧客のファン化が実現できる「ライブコマース機能」や「ポイント機能」をはじめとした多種多様な機能がそろっています。
たとえば「ショッピングカート機能」は、購入完了まで最短3ステップを実現しています。クロスデバイスにも対応しているため「外出先でスマートフォンからカートに入れた商品を、帰宅後にパソコンから決済手続きする」といった顧客の動きにも対応可能です。
引用:futureshop「ショッピングカート」
また、カート内では「送料無料まであと○○円」といった表示も可能です。「ついで買い」や「あわせ買い」が促進できるため、購入単価アップにつながります。
幅広い機能があるため「業界での競争力が強化できる機能」や「実現したいことに合わせた機能」などのご提案も可能となっています。
個別開発したECサイト構築も可能
futureshopの「commerce creator」は、サイトのカスタマイズ性・高い更新性が実現できるCMS機能です。
引用:futureshop「commerce creator」
ECサイトを構成する要素を1つひとつパーツ単位で分解し「システム提供分」と「独自に作成できるパーツ」を組み合わせて構築できます。
また「バナーの差し替え」や「文言変更」「イベント告知」などのサイト改善はEC担当者でも変更しやすい設計のため、エンジニアがいなくてもスピーディーに運用できます。
さらにデザイン済みのECサイトも提供しているため、画像や文字を変更するだけですぐにECサイトがオープンできます。スタートアップテーマにも「パーツの追加」や「CSSの適用」が可能なため、デザインにこだわりたい方からとにかくECサイトをオープンしたい方まで、幅広いニーズに応えられる機能です。
まとめ
クラウドECは、ASPと似ているECサイト構築方法です。ASPと比べて費用はかかるものの、カスタマイズ性は高いのが特徴です。「システム・セキュリティのアップデート」や「自社サーバー」が不要であり、エンジニアがいなくてもECサイトが運営できます。
本記事で紹介したクラウドECとASP、ECパッケージ、フルスクラッチとの違いを参考に、自社に適したECサイトの構築方法を選びましょう。