さまざまなイベントや法改正が予定され、社会構造が大きく変化することも予想される2019年。
EC事業者にとって、どのような1年になるのでしょうか。
2019年に予定されている主な出来事をピックアップし、ECへの影響を予想します!
目次
- 1 《 2月 》 日本とEUで関税撤廃 日本酒や農産品などの越境ECに追い風?
- 2 《 4月 》 「働き方改革」が本格スタート 働きやすい職場作りが採用の鍵に
- 3 《 5月 》 いよいよ平成が終了 即位の祝賀ムードで消費は盛り上がると予想
- 4 《 6月〜9月 》 女子サッカーW杯やラグビーW杯 スポーツ関連のECも盛り上がる
- 5 《 10月1日 》 消費税が10%に上昇 前回増税時に見るECの駆け込み需要予測
- 6 《 10月 》 スマホ決済が百花繚乱 増税対策のポイント還元でキャッシュレスは加速するか
- 7 さらに 《 10月 》 楽天が携帯電話事業に参入、楽天市場と連携したキャンペーンに期待
- 8 《 11月 》 日本版サイバーマンデーなど 日本でも秋の大型セールが定着へ
- 9 《 番外編 》 ドローンやAI、ロボティクスの物流への活用広がる
- 10 まとめ
《 2月 》 日本とEUで関税撤廃
日本酒や農産品などの越境ECに追い風?
日本とEU(欧州連合)の経済連携協定が2月1日に発効される見通しです。
これにより、自動車や日本酒のほか、肉類や果物など多くの農林水産物は、
日本からEUに輸出する際の関税が撤廃されます。
関税が撤廃されれば…
農産品などのEUでの販売価格が下がるため、
日本の企業や農家などにとって、越境ECを行いやすくなるかもしれません。
逆に、EUから輸入されるワインやチーズなどの関税も撤廃されますので、
EU産のワインなどの国内での販売価格は値下がりするでしょう。
《 4月 》 「働き方改革」が本格スタート
働きやすい職場作りが採用の鍵に
長時間労働の是正などを盛り込んだ、いわゆる「働き方関連法案」が4月1日に施行されます。
時間外労働の上限は原則として月45時間、年360時間になり、
突発的なトラブルなど特別な事情がある場合でも月100時間未満、
年720時間未満に制限されます。
そして、年次有給休暇が10日以上ある社員は、毎年最低5日取得することが義務付けられます。
さらに、正社員と非正規社員(パート、派遣社員、契約社員)で、
同じ仕事をしていれば原則として基本給や賞与に不合理な差をつけることも禁止です。
EC業界は慢性的な人手不足。
時間外労働の上限規制などによって、
業務に支障をきたすことがないよう、人材の確保と育成が一層重要になるでしょう。
また、東京オリンピックや大阪万博といった大型イベントを数年後に控え、
東京や大阪など大都市圏を中心に、さまざまな業界で人材獲得競争が加熱しています。
企業の採用環境が厳しさを増す中、
必要とする人材に入社してもらうには、「働き方関連法案」の趣旨を踏まえて、
社員が働きやすい環境を作ることが鍵になります。
《 5月 》 いよいよ平成が終了
即位の祝賀ムードで消費は盛り上がると予想
4月30日に平成が終わり、5月1日から新たな元号へと移行します。
昭和から平成に変わった際は、昭和天皇の崩御(ほうぎょ)で自粛ムードが強く、
消費は盛り上がらなかったと言われています。
しかし、平成から新元号への移行は天皇陛下の退位によるもの。
そのため、皇太子さまの即位に伴い、
祝賀ムードで消費が盛り上がることが予想されます。
新元号へ移行すると…
■ 新元号の印鑑やカレンダー
■ 記念品
などの売り上げが伸びることが予想されているほか、
印刷業界をはじめ、幅広い分野で経済効果が期待されています。
また、10連休というGWも加わり、思わぬ商品の特需が発生する可能性もあります。
祝賀セールを準備しておくことも重要ではないでしょうか。
《 6月〜9月 》 女子サッカーW杯やラグビーW杯
スポーツ関連のECも盛り上がる
6月から7月にかけて「FIFA女子ワールドカップ」がフランスで開催されます。
また、9月には「ラグビーワールドカップ」が日本で初めて開催されます。
ワールドカップで日本代表チームが活躍すれば、サッカーやラグビーのユニフォームなどの売れ行きが伸びるはず。
サッカーやラグビーなどのスポーツ用品の需要が高まるだけでなく、他のスポーツへの波及効果があるかもしれません。
2020年の東京オリンピックを控えていることもあり、
2019年はスポーツ業界に追い風が吹くでしょう。
《 10月1日 》 消費税が10%に上昇
前回増税時に見るECの駆け込み需要予測
10月1日に消費税率が8%から10%に引き上げられる予定です。
増税の直前に予想されるのが、高額品を中心とした駆け込み需要。
2014年4月に消費税率が5%から8%に上がった際は、
直前の2014年1~3月にネット通販でも駆け込み需要が発生しました。
例えば、「Yahoo!ショッピング」では
2014年の2月から3月にかけて、週次の取扱高が急激に増加。
その一方で、増税後の4月は反動で取扱高が前年同月を下回りました。
2019年8月から9月にかけて、駆け込み需要が発生するかもしれません。
EC事業者は需要を取りこぼさないように、消費動向を注視しておく必要があるでしょう。
《 10月 》 スマホ決済が百花繚乱
増税対策のポイント還元でキャッシュレスは加速するか
政府は消費増税後の需要減退を防ぐため、
キャッシュレス決済で買い物をした消費者に2~5%相当程度のポイント還元を行う可能性を示唆しています。
その際、外食を除く食品には軽減税率が適用されますから、
ポイント還元が実際に行われれば、食品をキャッシュレス決済で買うと
実質的に消費税増税前よりも購入価格が下がることもあり得ます。
こうした事情から、増税前にポイント還元を狙った買い控えが発生する可能性もあるでしょう。
また、キャッシュレス決済でポイント還元が実施されれば、
キャッシュレス決済の普及が一気に加速するかもしれません。
QRコードやバーコードを使ったスマホ決済は、
- 楽天ペイ
- Origami Pay
- LINEPay
- d払い
- Amazon Pay
- PayPay
- ローソンスマホペイ
- EPOS Pay
など…百花繚乱の様相。
KDDIが2019年4月にau PAYの開始を予定するなど、
これからも新規参入が続く見通しです。
消費増税対策を機に、キャッシュレス決済がさらに普及するかもしれません。
消費増税に伴う経済政策がどこまで実施されるかは流動的ですが、
消費動向に大きく影響することが予想されるため、注視しておくことが必要です。
さらに 《 10月 》
楽天が携帯電話事業に参入、楽天市場と連携したキャンペーンに期待
楽天は10月に携帯電話事業に参入する見通しです。
そうなれば、楽天は携帯電話のユーザーを獲得するため、
自社の携帯電話ユーザーを対象に楽天市場のポイントキャンペーンなどを開催するかもしれません。
楽天市場での新たな需要が生まれるでしょう。
《 11月 》 日本版サイバーマンデーなど
日本でも秋の大型セールが定着へ
ブラックフライデーやサイバーマンデーなど、
米国で11月から年末にかけて開催される小売業界の大型セールにちなみ、
日本でも11月にセールを開催する小売企業が増えています。
楽天やAmazon、Yahoo!ショッピングといった大手モールのほか、
イオン、日本トイザらス、カインズといった小売企業もセールを強化しています。
多くの企業が秋から年末にかけての大型セールを年々強化していることから、
2019年はこれまで以上にセールが盛り上がるかもしれません。
《 番外編 》 ドローンやAI、ロボティクスの物流への活用広がる
EC業界では物流倉庫や配送に、
ドローンやAI、ロボティクスといった最新技術を活用する動きが活発化しています。
ヤマト運輸は2019年8月までに、荷物を電動式の垂直離着陸機(eVTOL機)で運ぶ「空の輸送」の実証実験を計画。
2020年までに実用化する方針です。
楽天もドローンを活用した配送の実証実験を行っており、
同社が代表事業者を務める「秩父市ドローン配送協議会」は、
2019年度中に埼玉・秩父地域などでドローン物流を継続的に実施する方針です。
物流倉庫に自動化設備やAI、IoTなどを導入し、省人化や効率化を進める動きも広がっています。
「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングは国内外で倉庫の自動化を進めている他、
3PL大手の日立物流は、AIやIoTを活用して効率化や在庫最適化などを行う
「スマートロジスティクス」をEC事業者らに提供しています。
物流費の高騰や、倉庫スタッフの採用難などを背景に、
2019年以降も倉庫の自動化・省人化は広がっていくでしょう。
まとめ
オリンピックイヤーでもある2020年に向けての最終滑走の年、2019年。
さらに平成の終わり…というような、BIGイベントが目白押しの本年。
今年は特別に上記イベントも考慮した販促計画を立ててみてはいかがでしょうか。
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